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原子番号88の元素 ウィキペディアから
ラジウム(独: Radium [ˈraːdi̯ʊm]、英: radium [ˈreɪdiəm])は、原子番号88の元素。元素記号は Ra。アルカリ土類金属の一つ。安定同位体は存在しない。天然には4種類の同位体が存在する。白色の金属で、比重はおよそ5–6、融点は700 °C、沸点は1140 °C。常温、常圧での安定な結晶構造は体心立方構造 (BCC)。反応性は強く、水と激しく反応し、酸に易溶。空気中で簡単に酸化され暗所で青白く光る。原子価は2価。化学的性質などはバリウムに似る。炎色反応は洋紅色。
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外見 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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銀白色 | |||||||||||||||||||||||||||||||
一般特性 | |||||||||||||||||||||||||||||||
名称, 記号, 番号 | ラジウム, Ra, 88 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | アルカリ土類金属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 2, 7, s | ||||||||||||||||||||||||||||||
原子量 | (226) | ||||||||||||||||||||||||||||||
電子配置 | [Rn] 7s2 | ||||||||||||||||||||||||||||||
電子殻 | 2, 8, 18, 32, 18, 8, 2(画像) | ||||||||||||||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||||||||||||||
相 | 固体 | ||||||||||||||||||||||||||||||
密度(室温付近) | 5.5 g/cm3 | ||||||||||||||||||||||||||||||
融点 | 973 K, 700 °C, 1292 °F | ||||||||||||||||||||||||||||||
沸点 | 2010 K, 1737 °C, 3159 °F | ||||||||||||||||||||||||||||||
融解熱 | 8.5 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||||||||
蒸発熱 | 113 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||||||||
蒸気圧 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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原子特性 | |||||||||||||||||||||||||||||||
酸化数 | 2(強塩基性酸化物) | ||||||||||||||||||||||||||||||
電気陰性度 | 0.9(ポーリングの値) | ||||||||||||||||||||||||||||||
イオン化エネルギー | 第1: 509.3 kJ/mol | ||||||||||||||||||||||||||||||
第2: 979.0 kJ/mol | |||||||||||||||||||||||||||||||
共有結合半径 | 221 ± 2 pm | ||||||||||||||||||||||||||||||
ファンデルワールス半径 | 283 pm | ||||||||||||||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||||||||||||||
結晶構造 | 体心立方 | ||||||||||||||||||||||||||||||
磁性 | 反磁性 | ||||||||||||||||||||||||||||||
電気抵抗率 | (20 °C) 1 μΩ⋅m | ||||||||||||||||||||||||||||||
熱伝導率 | (300 K) 18.6 W/(m⋅K) | ||||||||||||||||||||||||||||||
CAS登録番号 | 7440-14-4 | ||||||||||||||||||||||||||||||
主な同位体 | |||||||||||||||||||||||||||||||
詳細はラジウムの同位体を参照 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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ラジウムがアルファ崩壊してラドンになる。ラジウムの持つ放射能を元にキュリー(記号 Ci)という単位が定義され、かつては放射能の単位として用いられていた。現在、放射能の単位はベクレル(記号 Bq)を使用することになっており、1 Ci = 3.7×1010 Bqである。なお、ラジウム224、226、228は WHO の下部機関 IARC より発癌性がある (Type1) と勧告されている。
1898年に、ピエール・キュリー、マリ・キュリー夫妻らが放射線の測定と分光学的測定を行うことでラジウムを発見した。彼らはピッチブレンド(閃ウラン鉱)から元素の分離を行なっていた際に、バリウムと似た化学的挙動を示す部分に高い放射能が存在することを見出した。彼らはピッチブレンドの中に新たな物質が存在すると考え、この新たな物質をバリウムから分離、精製した。この操作によってリン光を発する塩化ラジウムが分離された。これによりラジウムの存在が示された。夫であるピエール・キュリーの死後もマリ・キュリーはラジウムの研究を続け塩化ラジウムの電気分解から金属ラジウムを得ることに成功した[1]。
1903年、田中舘愛橘により初めて日本にラジウムが持ち込まれた。また翌年の1904年には、三浦謹之助が「ラヂウムに就て」という神経学雑誌を発表した。また彼は、東京医学会例会において、ラジウムを用いた治療について言及した。1906年には長岡半太郎がラジウムの特徴について紹介している[2]。
以前は、放射線源として放射線治療に使用されたが、現在は工業的な用途はほとんどない[3]。また、1960年代以前は時計の文字盤などの夜光塗料として利用されていた。当時、ラジウムは時計に手作業で塗られていたが、作業を行う女性労働者は放射能を持つラジウムの付いた筆をなめて穂先を整えていた。これにより時計の生産に関わる女性たちの間でラジウムが原因と思われる病気が多発し、次々に死亡した。時計工場の女性労働者は訴訟を起こし、ラジウム・ガールズと呼ばれた。この訴訟は従業員が会社を訴える権利を確立させた最初の例となり、労働法史上画期的な出来事とされている[4]。
223Raは、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に用いられる。[5]
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