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ボルチモア級重巡洋艦(ボルチモアきゅう じゅうじゅんようかん、Baltimore class)は、アメリカ海軍の重巡洋艦の艦級。ボルティモア級重巡洋艦とも呼ばれる。
ボルチモア級重巡洋艦 | |
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艦級概観 | |
艦種 | 重巡洋艦 |
艦名 | 都市名 |
前級 | ウィチタ級重巡洋艦 |
次級 | デモイン級重巡洋艦 |
計画 | 24隻 |
建造 | 14隻[1] |
中止 | 6隻[2] |
性能諸元[3] | |
排水量[4] | 基準:14,472l.t (14,704t) 満載:17,031l.t (17,304t) |
全長 | 673ft 5in (205.25m) |
全幅 | 70ft 10in (21.59m) |
吃水 | 24ft (7.32m) |
機関 | GE式ギヤード蒸気タービン4基/4軸 出力:120,000shp |
速力 | 33kn |
航続距離 | 10,000海里 / 15kn巡航 |
兵装[5] | 8"/55 Mk.12/15 3連装砲 3基9門 5"/38 Mk.12 連装両用砲 6基12門 40mm/60 4連装機関砲 12基48門 20mm/70 単装機関砲 24基24門 |
装甲 | 舷側:4-6in (101.6-152.4mm) 甲板:2.5in (63.5mm) 船内隔壁:5-6in (127-152.4mm) 砲塔前面:8in (203mm) 砲塔後面:1.5in (38.1mm) 砲塔上面:3in (76.2mm) 砲塔側面:1.5-3.25in (38.1-82.6mm) |
乗員 | 1,429-2,039名 |
艦載機 | 4機 (カタパルト2基) |
1937年のワシントン海軍軍縮条約失効後、条約の制限に縛られず建造された重巡洋艦である。排水量は14,000トンを超え、排水量が増大した分、防御力は列強の建造した巡洋艦で一、二を争う強固さを誇った。
ウィチタ級重巡洋艦の設計思想を引き継ぎ、55口径8インチ3連装砲3基を備え、水上戦闘能力は当時の水準に達していた。また、前ウィチタ級よりも船体のサイズは大きかったため、副砲群は5インチ単装8基から38口径5インチ連装砲6基に増強され、有効な対空砲火を提供した。装甲はウィチタ級の5インチ、ニューオーリンズ級の5.75インチから6インチ(舷側)に増強し、船体の拡大と合わせて排水量は9,000トンクラスの条約型重巡洋艦から一気に14,000トンまで増加したが、速度には影響を及ぼしていない。さらに、56口径40mm機関砲(4連装)や55口径20mm機関砲(連装、単装)を多数揃えることで近接対空砲火にも優れ、対艦と対空の双方をこなすことができる汎用艦であった。
1941年から建造が開始され、太平洋戦争中の1943年から1945年にかけて完成した。竣工後は要人輸送、機動部隊の護衛、攻略作戦の火力支援(艦砲射撃)、戦隊旗艦など様々な任務に従事した。
後期の建造艦は改良型として上部構造物や煙突の設計が異なっており、オレゴン・シティ級と分類されることもある。他、派生型には船体を流用して建造されたサイパン級航空母艦がある。
戦後、「ボストン」および「キャンベラ」はミサイルを搭載してボストン級ミサイル巡洋艦に改装され、1970年代後半まで現役であった他、一部の艦は大改装を施されてオールバニ級ミサイル巡洋艦として再就役している。
詳細の艦歴は各艦の記事を参照。
主砲は前級と同じく8インチ55口径砲を3連装砲塔3基9門を備えている。 砲身はMk.12またはMk.15だったが性能的な差異は無く、重量335lbs (151.95kg) の徹甲弾を砲口初速2,500fps (762m/s) で発射し30,000yd (27,432m) まで到達させる能力を持っていた。
主砲諸元[6] | |
---|---|
砲身 | |
口径 | 8in (20.3cm) |
型式 | 8"/55 Mk.12 Mod.1、8"/55 Mk.15 Mod.0 |
種別 | 後装式ライフル砲 |
砲身長 | 55口径長 440in (11.176m) |
重量 | 34,014lbs (15,428kg) |
砲塔 | |
構成 | 3連装砲塔 |
重量 | 297-304l.t (302-309t) |
全高 | 第1砲塔:48ft 11.75in (14.93m) 第2砲塔:58ft 4.25in (17.79m) 第3砲塔:45ft 9.25in (13.95m) |
装甲 | 前面:8in (203.2mm)、後面:1.5in (38.1mm) 上面:3in (76.2mm)、側面:1.5-3.25in (38.1-82.6mm) |
俯仰角 | -5°/+41° |
俯仰速度 | 10.6°/s |
旋回角 | 300° (±150°) |
旋回速度 | 5.3°/s |
装填角 | +9° |
射撃補助 | Mk.33/Mk.37 RF |
性能 | |
砲弾重量 | AP Mk.21:335lbs (151.95kg)、HC Mk.24:260lbs (117.93kg) |
炸薬重量 | AP Mk.21:5.03lbs (2.28kg)、HC Mk.24:21.34lbs (9.68kg) |
装薬重量 | 78lbs (35.38kg) |
砲口初速 | AP Mk.21:2,500fps (762m/s)、HC Mk.24:2,700fps (823m/s) |
最大射程 | AP Mk.21:30,000yd (27,432m)、HC Mk.24:29,800yd (27,249m) |
発射速度 | 3-4発/分 |
砲身命数 | 715発 |
砲弾数 | 合計:1,395発 (各砲塔465発)[7] |
射撃管制 | Mk.34/Mk.37 GFCS |
就役当初は大戦中の多くの艦艇と同様に5インチ38口径連装砲・Bofors 40mm機関砲・Oerlikon 20mm機関砲の3つで構成されており、基本的な構成として5インチ砲を連装6基12門、40mm機関砲を4連装12基48門、20mm機関砲を単装28基28門搭載した。 戦後の改装時には特攻機に対して有効性の低かった20mm機関砲を撤去し、40mm機関砲からVT信管弾頭対応の3インチ連装両用砲への換装が行われた。
また、ボストン級及びオールバニ級として大規模改装が実施された艦艇にはRIM-2 Terrier・RIM-8 Talos・RIM-24 Tartarなどの艦対空ミサイルやRUR-5 ASROC対潜ロケットが搭載され、USS Toledo・USS Macon・USS Helena・USS Los Angelesの4隻ではSSM-N-8 Regulusの試験運用もなされた。
兵装諸元[8][9] | ||||
---|---|---|---|---|
兵装 | Mk.12 5"/38 | Mk.22 3"/50 | Bofors 40mm/60 | Oerlikon 20mm/70 |
口径 | 5in (127mm) | 3in (76.2mm) | 40mm | 20mm |
型式 | 5"/38 Mk.32 Mod.0 | 3"/50 Mk.33 | 40mm/60 Mk.2 All Mod | 20mm/70 Mk.6 |
構成 | 連装 | 4連装 | 単装 | |
重量 | 118,000lbs (53,524kg) | 32,400lbs (14,696kg) | 24,900lbs (11,294kg)[10] | 1,691lbs (767kg) |
シールド | 0.75in (19.1mm)[11] | ― | 0.375in (9.5mm)[12] | 0.5in (12.7mm)[13] |
俯仰角 | -15°/+85° | -15°/+90° | ||
俯仰速度 | 15°/s | 30°/s | 24°/s | ― |
旋回角 | 306° | 360° | 720° | ― |
旋回速度 | 25°/s | 24°/s | 30°/s | ― |
砲弾重量 | 55.18lbs (25.03kg) ※AAC Mk.34 | 12.90lbs (5.85kg) ※AA Mk.31 | 1.985lbs (0.9003kg) ※HE-I Mk.2 | 0.2714lbs (0.1231kg) ※HE-I Mk.3 |
炸薬重量 | 7.25lbs (3.29kg) ※AAC Mk.34 | 0.54lbs (0.2449kg) ※AA Mk.31 | 0.15lbs (0.0680kg) ※HE-I Mk.2 | 0.0243lbs (0.0110kg) ※HE-I Mk.3 |
装薬重量 | 15.2lbs (6.89kg) | 4lbs (1.81kg) | 0.694lbs (0.3148kg) | 0.061lbs (0.0277g) |
砲口初速 | 2,600fps (792m/s) | 2,700fps (823m/s) | 2,890fps (881m/s) | 2,740fps (835m/s) |
最大射程 | 18,200yd (16,642m) | 14,600yd (13,350m) | 11,000yd (10,058m) | 4,800yd (4,389m) |
最大射高 | 37,200ft (11,339m) | 30,400ft (9,266m) | 22,800ft (6,949m) | 10,000ft (3,048m) |
発射速度 | 15-22発/分 | 45-50発/分 | 160発/分 | 450発/分 |
砲身命数 | 4,600発 | 2,050発 | 9,500発 | 9,000発 |
砲弾数 | 500発/門 (各砲塔1,000発) | 1,500発/門 (各砲塔3,000発)[14] | 2,000発/門 (各砲塔8,000発) | ― |
射撃管制 | Mk.37/Mk.56 GFCS | Mk.56/Mk.63 GFCS | Mk.49/Mk.51/Mk.63 GFCS | ― |
これらの他に、オレゴン・シティ級4番艦「ノーザンプトン」が戦争末期に建造が中断された後、戦術指揮艦(CLC)として設計及び艦種変更が実施されて建造再開・就役している。後に再改装が行われて指揮艦(CC)に艦種変更された。
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