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フラットブレッド(英: flatbread)はシンプルなパンで、最も簡単なものでは穀粉、水と塩を混ぜてパン生地を作り、それを平らにのばして焼いて作られる。多くのフラットブレッドは酵母やサワードウを使用せずに焼かれるが、ピタやナンのようにイースト菌を入れた物もあり、この場合一次発酵させた生地を叩いてガスを抜き、平らにのばした直後に焼いて作る。
フラットブレッドに混ぜられる副材料は様々で、カレー粉、さいの目に切ったハラペーニョ、チリパウダー、コショウ、ドライフルーツなどがある。オリーブ・オイルやごま油を加えることもある。フラットブレッドの厚さは、1ミリメートル以下から数センチメートルまで様々である。
バビロンで紀元前4000年ごろのパン窯が見つかっており、この頃から既にフラットブレッドが焼かれていたと考えられている。紀元前2500年の古代エジプトでは、熱した灰と石でフラットブレッドが焼かれていた。パンを焼く技術は、発酵も含めてエジプトからギリシャとローマに伝わった。[1]
フラットブレッドの一種、無発酵パン (英: unleavened bread) は膨張剤を使用しない種類のパンを指すことがある。これらのフラットブレッドは、ユダヤ教とキリスト教の信者に特別な宗教的な意義を持っている。ユダヤ人は過越中はイースト菌を入れないマッツァーなどのパンを食べる。過越は出エジプト記に記録された出来事を記念する行事であり、過越の期間中にイースト菌を入れないパンを食べるのはユダヤ人がパンを発酵させる間もなく急いでエジプトから脱出したという伝説にちなむ。
イースト菌を入れないパンは西方教会の典礼で聖餐を祝うときに使用されている。それに対し、ほとんどの東方教会は旧約聖書と関係があるアーズュモス(希: ἄζυμος、イースト菌を入れないパン)の聖餐での使用を明示的に禁止し、酵母を使用したパンのみをキリストの血による新しい契約の象徴として認める。これが東方と西方の教会の間の大分裂をもたらした、伝統的な口伝における3点の対立の一つ(他は使徒ペテロの覇権と、ニカイア信条のフィリオクェ問題)であった。[2]
ローマ・カトリック教会(ラテン典礼)の教会法は聖体にイースト菌を入れないパンの使用、および信徒の交わりのためにはイースト菌を入れないウエハースの使用を義務化している(しかしウエハースは、材料中の卵白の作用で製造中に膨張する)。より典礼を好むプロテスタント教会はカトリックの慣行に従う傾向があるが、他はその宗派や地方の伝統に応じて、イースト菌を入れないウエハースまたは普通のパンを使う。
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