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1973年から1975年にかけて、『週刊漫画TIMES』(芳文社)に連載された。単行本は多数の出版社から発行されているが、完結しているのは徳間書店より出版された全9巻、ホーム社より出版された文庫版全7巻、リイド社より出版された全4巻のみ。
大阪のヤクザの見習いの日常や戦い、恋愛を描いた極道ものの劇画で、1977年には実写映画化もされた政岡としやの代表作の1つである。
東京を舞台に、15年後を描いた続編で、安部譲二(元暴力団員の小説家)原作・政岡画による『腕貸しの天』がある。安部は「(ダボシャツの天の連載)当時、その面白さに熱狂し、続編を待っていたが、自分が(原作を)やることになって驚いた」と語っている。
大阪で育った「ダボシャツの天」こと松田天は、一人前の極道になるべく、上方会の百足の錦三を兄貴と慕いながら生活していた。ある時、天は上方会に入る条件として、錦三から自らのトルコの経営のために女を連れてくるよう命じられる。女探しの中で、天は家出娘の夏に出会い、勤め口があるといって錦三のもとへ勧誘する。錦三はセックスによる面接で夏を犯し始めるが、そこに錦三の姐が現れ失敗に終わる。
結局行き場を失ってしまった夏を、天は蕎麦屋に連れ込んで食事をした後、教会の中で至福のひとときを過ごした。その後、天は夏をラブホテルまで連れて、夏にビフテキが食べられると説得してからポン引きを行った。天は通りがかりのサラリーマンを誘い出し、1万円を手に入れるも、そこは上方会と対立している大市組の縄張だと知らず、客引きをしているとみられた天は、大市組の若衆に叩きのめされてしまう。
ほどなくして、天は上方会への加入を果たした。天の本格的な極道の人生が始まるのだった。
政岡によれば、これを連載していたために、大阪での取材中にヤーさん(ヤクザ)に絡まれたり、夜中にヤーさんから「(創作の)ネタ買わへんか」と電話がかかってきたり、漫画家志望の若い見習いヤーさんが弟子にしろと来訪してきたりと、とにかくヤーさん尽くめの日々だったそうである。
のちに続編『腕貸しの天』の原作を担当することになる作家の安部譲二は、当作の連載当時にこの作品を読んでいた。安部はその頃は暴力団員であったが「これを描いとる奴は(同業の)ヤクザだな!(でなければ知らないことが描いてあったり、雰囲気がその界隈を知る者でないと表現できない)」と断定していた。
『ピラニア軍団 ダボシャツの天』と題して、1977年2月26日に公開。東映京都製作・東映配給。同時上映は『北陸代理戦争』。
当時ブームであったピラニア軍団の総出演作という触れ込みで公開された[1]。主演である川谷拓三は、原作者である政岡の要望による出演となった[2]。軍団のメンバーは全員忙しく、橘麻紀も「ちょっとしか出れなかった」と話している[1]。ヒロイン役の竹田かほりは本作がデビュー作。しかし結果は不入りに終わり、製作予定だったピラニア軍団総出演作の第2弾『ピラニア軍団 六連発愚連隊』が製作中止となった[2]。
ソフト化は長らく行われなかったが、2013年に東映ビデオよりDVDがリリースされた。
上田正樹とサウストゥサウスの楽曲「むかでの錦三」は、本作の登場人物である百足の錦三をモデルに作詞・作曲されたものである[3]。
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