ニヤマ、ニヤーマ(Niyamas、サンスクリット: नियम、勧戒)とは、前向きな義務・遵守事項のことである[1]。鍛錬による自己浄化を目指す[2]。対義語はヤーマ(Yamas、禁戒)であり、進んでしない自己抑制の事項である[2]。
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インド哲学、特にヨーガ学派では、ニヤマとヤマは、健康的生活、精神的な悟り、そして存在からの解放のため推奨される活動と習慣となっている[3]。ヒンドゥー教においては、文脈に応じて複数の意味がある。仏教ではニヤマ・ダルマ(niyama dhammas )として自然に決定されるものである[4]。
徳は、ヒンドゥー教の古代・中世のさまざまな書物で広く論じられている。そのヨーガ学派では、八支(段階、枝、構成要素)のうち最初の2つで説明されている。第一肢はヤマ(Yamas)と呼ばれ、高徳な自制心(すべきではないこと)が述べられる。第二肢はニヤマと呼ばれ、高徳な習慣、行動、遵守(ドーズ)が含まれる[5][6]。
ヒンドゥー教では、これらの徳と倫理の前提は、個人が自己実現し、悟りを開き、解放された存在状態(解脱)に至るために必要と考えられている[7]。
10つのニヤマ
ヒンドゥー教の多様な伝統と歴史的な議論の中で、いくつかの文献は拡張された複数のニヤマの一覧を示唆している。例えば シャンディリヤとヴァラハのウパニシャッド[17]、ハタ・ヨーガ・プラディーピカー[18]、ティルマンディラムの第3巻552から557節[19]は、前向きな義務、望ましい行動、規律として10つのニヤマを挙げている。
以下に、ハサヨガプラディピカ(1.18節)による10のニヤマを挙げる[18]。
- タパス (Tapas、तपस् )[11][12]
- サントーシャ(सन्तोष)[3]
- アースティカ (Āstikya、आस्तिक्य):真我への信仰(ジュニャーナ・ヨガ、ラージャ・ヨガ)、神への信仰(バクティ・ヨガ)、 ヴェーダ/ウパニシャッドへの確信(正統派)[21]
- ダーナ (Dāna、दान):気前のよさ、慈善、分かち合い[22]
- イシュワラ・プラニダーナ (ईश्वरपूजान)[23]
- シッダーンタ・シュラヴァナ(英語版) (Siddhānta śrāvaṇa ; सिद्धान्त श्रवण):古代の聖典に耳を傾ける[21]
- 慚 (Hrī、ह्री):反省と受け入れ、謙虚、謙遜[18][24]
- マティ (मति; Mati):理解するために考え、反映し、矛盾した考えを調整する[25]。
- 低謡(英語版) (जप):マントラを復唱し、知識を暗唱する[26]。
- 護摩 (Huta, हुत) または 誓願儀礼(英語版) (व्रत; Vrata):
- 護摩 (हुत):儀式(ヤジナのような生け贄の儀式)
- 誓願儀礼 (व्रत):宗教上の誓い、規則、遵守を忠実に実行する[27]。
紀元5世紀から13世紀にかけての仏教注記書では、pañcavidha niyama(五つのニヤマ)が以下に確認される。
- Aṭṭhasālinī (272-274) - ブッダゴーサによる最初の注記書であるDhammasangaṅi に記載[30]
- Sumaṅgala-Vilāsinī (DA 2.431) - ブッダゴーサによる長文の注記[31]
- Abhidhammāvatāra (PTS p. 54) - ブッダゴーサによるアビダルマ要約[32]
- Abhidhammamātika Internal Commentary. (p. 58) - Coḷaraṭṭha Kassapa による論蔵解説。
- Abhidhammāvatāra-purāṇatīkā (p. 1.68) - スリランカの Vācissara Mahāsāmi による文献。
これらにおいては、次の5つのニヤマが示されている。
- utu-niyāma(季節の制約) - たとえば、地球のある地域のある時期には、木々が一斉に開花・結実し(エカッパハーレンヴァ)、風が吹いたり止んだりし、日照量や降雨量が異なる。花によっては蓮のように、昼に開き夜に閉じる。
- bīja-niyāma(種や菌の制約)- 大麦の種によって大麦が生まれるように、自分自身の種を生み出す。
- kammaniyāma(業の制約) - 善い行いは良い結果を生み、悪い行いは悪い結果を生む。この制約を象徴しているのが、ダンマパダ127の「行為の結果は避けられない」という説とされる。
- citta-niyāma(心の制約) - 心的活動のプロセスの順序。先行する思考が後続の思考を引き起こし、条件づけるという因果関係を示す。
- dhamma-niyāma(法の制約) - 菩薩が母の胎内で受胎するときや誕生する際に、万界系が震動するような出来事。
Moyer, Donald (1989). “Asana”. en:Yoga Journal 84 (January/February 1989): 36.
Sharma and Sharma, Indian Political Thought, Atlantic Publishers, ISBN 978-8171566785, page 19
Kaelber, W. O. (1976). "Tapas", Birth, and Spiritual Rebirth in the Veda, History of Religions, 15(4), 343-386
SA Bhagwat (2008), Yoga and Sustainability. Journal of Yoga, Fall/Winter 2008, 7(1): 1-14
SV Bharti (2001), Yoga Sutras of Patanjali: With the Exposition of Vyasa, Motilal Banarsidas, ISBN 978-8120818255, Appendix I, pages 680-691
Burley (2000年)[20]。原典は右記のとおり。तपः सन्तोष आस्तिक्यं दानम् ईश्वरपूजनम् ।
सिद्धान्तवाक्यश्रवणं ह्रीमती च तपो हुतम् ।
नियमा दश सम्प्रोक्ता योगशास्त्रविशारदैः ॥१८॥
。。注記:無料のオンライン資料ではあるが、著者は 「Tapas」を「niyamas」一覧に重複して2回掲載。他者は上記資料の第2行目の文末から2点目の言葉を「जपो」すなわちJapa と読み解く。
Mikel Burley (2000), Haṭha-Yoga: Its Context, Theory, and Practice, Motilal Banarsidas, ISBN 978-8120817067, pages 190-191
“Niyama”. United We Care. 8 Limbs of Yoga (June 30, 2021). 2021年6月閲覧。
William Owen Cole (1991), Moral Issues in Six Religions, Heinemann, ISBN 978-0435302993, pages 104-105
Hri Monier Williams Sanskrit English Dictionary
E. Muller, ed (1979年(初版 1897年)). PTS. p. 272
Pe Maung Tin tr. The Expositor, London: PTS, 1921, vol.II p.360.
"Aṭṭhasālinī" の言及[28]、英語訳は Pe Maung Tin 訳(1921年[29])。
Sumaṅgala-Vilāsinī, Buddhaghosa’s Commentary on the Dīgha Nikāya. ed. W. Stede. PTS 1931, p.432.
Abhidhammāvatāra in Buddhadatta’s Manuals. ed. AP Buddhadatta. PTS 1980 (orig. 1915) p.54.