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ETCの設備を有する有料道路を管理する各道路事業者(NEXCO3社、都市高速道路各社、地方道路公社等)の多くでは、ETCシステムを利用して料金所を無線通信によって通行する自動車がこれら有料道路を利用した際、各種の條件による通行料金の割引を導入していることがある。本記事では、高速道路會社6社の時間帯割引を中心に、これらのETC割引制度(イーティーシーわりびきせいど)について記述する。
なお、ETC車とは、原則としてETCシステムを利用して料金所を無線通信によって通行する自動車をいうが、無線通信による通行でない場合でも、有料道路事業者側の事情によりETC車とみなされることがある。これらETC車以外の車は、支払い手段にかかわらず(クレジットカード精算やETCカードの手渡し精算等を含めて)現金車と記す。
割引の條件は複雑かつ多岐に渡っているが、おおむね次の5つの類型に分けられる。
同じ名稱の割引でも、事業者が違うと対象日・時間帯などの條件や割引率および端數処理の方法が異なることがある。重複適用の可否は、割引の組み合わせによって異なるが、基本的に同種の割引については重複適用されない。
2016年(平成28年)4月からは、圏央道と新湘南バイパスにおいて、割引対象をETC2.0搭載車に限定した割引が導入されている。また、2017年1月からは、NEXCOの大口・多頻度割引の割引率拡充がETC2.0のみとなり、同一の割引において従來型ETCとETC2.0とで割引率に差が付くことも生じている。
ETCが全國展開されたのは2001年11月であったが、時間帯割引が本格的に導入されたのは道路公団民営化を目前にした2004年度のことであった。民営化にあたってのコスト縮減により、深夜割引、通勤割引および早朝夜間割引の3つの割引が実施された。
2008年度からは、國の経済対策として、高速道路利便増進事業(以下、単に利便増進事業という)を活用した割引が追加された(安心実現のための緊急総合対策、生活対策)。また、既存の割引についても、割引率が拡充されたり條件が緩和されたりした。
しかし、全體として複雑で分かりにくい內容となり、持続可能性にも欠けることから[4]、利便増進事業の財源が切れる2013年度末を機に、既存の會社負擔の割引も含めて再編された。2014年4月1日から、全國路線網においては深夜割引と休日割引の2つとなっている。
現行の割引では休日割引・平日朝夕割引(#頻度型割引の節を參照)に、過去の割引では通勤割引・早朝夜間割引・休日特別割引・平日晝間割引に関係する、大都市近郊區間を以下に示す。高速自動車國道(高速國道)の対距離制區間で料率が2割増となる大都市近郊區間のみならず、均一制區間、區間料金制區間および一般有料道路も一部含まれている。
東京近郊(2018年6月現在)
大阪近郊(2015年5月現在)
公団時代の2004年11月1日に開始。當初、割引対象道路は高速國道のみで、民営化時點での一般有料道路の対象道路は京滋バイパスと東海環狀自動車道のみであったが、やがて一般有料道路でも割引対象になる道路が増えていった。
割引率は、2008年2月15日から1年間の予定で原油価格高騰対策として40%に拡充(社會実験扱いで実施の一般有料道路は対象外)、さらに同年10月14日から『安心実現のための緊急総合対策』により利便増進事業を活用して50%に拡充された(一部の一般有料道路では遅れて実施)。
國土交通省の社會資本整備審議會道路分科會內に置かれた國土幹線道路部會において、30%引きについては一般道路から高速道路への交通転換が見られたものの、40%・50%への拡充では明確な効果がなかったと評価が取りまとめられた[8]。これを受けて、利便増進事業の財源が切れる2014年3月31日をもって割引率の拡充は終了し、本則の30%で継続となった。
休日特別割引の後継となる割引で、2014年4月1日に開始(最初の対象日は同月5日)。平成25年度補正予算を使った激変緩和措置として、2014年6月末までは割引率50%とされた。また、同年4月28日も特例として割引対象日になった。なお、平日の割引対象日はこの日が最初で最後となった(1月2日と1月3日は、本割引においては休日とみなす)。
2018年のお盆期間中は、交通量が集中されると予想されるため、新たな試みとして、8月11日(土)および12日(日)の休日割引をそれぞれ、8月9日(木)および10日(金)に前倒し・変更され、交通量の分散を試みる。今回の試験的運用により、今後年始年末や大型連休中など大きな渋滯が発生すると予想される期間において、特別運用を実施する方針であることも明らかになった。
本節の割引は、全國路線網においては2014年3月31日までにすべて終了した。南阪奈道路のみ、2015年5月現在も、通勤割引、平日夜間割引(22-24時)および休日晝間割引を実施中である[6][7]。
2005年1月11日から2014年3月31日まで実施。距離制限と回數制限があった。
國土幹線道路部會での取りまとめによると、約半數の區間で一般道路の渋滯が解消する効果があった。しかし、通勤時間帯の全車種に適用されていることが問題視され、手法の見直しが必要とされた[8]。NEXCOからは反復利用者に特化したい意向が示され[10]、2014年4月からETCマイレージサービスのシステムを使う平日朝夕割引に替わることになった。
當初は、1回の利用が100kmまでの場合に限り適用され、100kmを超えた利用については一切適用なしという內容であった。これには、仙台南部道路[注釈 3]、仙台松島道路、播但連絡道路(山陽姫路東ICを経由して山陽道と連続走行する場合に限る)など、NEXCOと一體的に料金を徴収する他事業者の道路の距離も含んでいた。なお、本四高速の神戸淡路鳴門自動車道と瀬戸中央自動車道については、本四を挾んでNEXCOを連続利用する場合およびNEXCOから本四へ直通して本四のICで流出する場合は本四の距離を含め、本四のICから流入してNEXCOへ直通する場合は本四の距離を含めないとしていたため、往路と復路で割引の適否が異なるということもあった[注釈 4]。
2005年9月28日、最短距離が100km以內であるにもかかわらず高速國道と一般有料道路の料金の違いから料金算定経路が100kmを超えてしまう場合についても割引対象になるようになった(例 : 中央道園原IC-伊勢灣岸道豊田東IC)[11]。
2009年7月8日、利便増進事業による割引として距離制限が緩和され、100kmを超える利用であっても割引対象區間の100km分を50%引きとするように改められた。
1つの対象時間帯で複數回の利用がある場合(本割引より安価となる他の時間帯割引が適用される利用は除く)、最初の1回に限り適用された。この回數には、NEXCO3社の通勤割引のほか、山口県道路公社(山口宇部有料道路、2012年3月28日無料開放)の通勤割引の適用回數も含めていた。本州四國連絡高速道路(本四高速)の平日通勤割引など、その他の事業者で実施している「通勤」の名稱が付く割引の適用回數は含めない。
なお、「最初の1回」とは「車載器1台あたり最初の1回」の意味であるが、同一の車載器でも複數枚のETCカードを用いると、前記の制限を超えた回數の走行(2回目以降)にも通勤割引が適用されることがあった[12]。
対距離料金區間と均一料金區間を連続走行する場合および次のインターチェンジを経由して連続走行する場合は、適用回數を合わせて1回とみなす(複數の場合に該當するときも、それらすべて合わせて1回とする)。ただし、各支払い単位ごとに時間條件を満たしている必要がある。
通勤割引の対象になる一般有料道路が増えたことに伴い、上記以外でも対象になったところがある。
2005年1月11日から2014年3月31日まで実施。距離制限があった。
『安心実現のための緊急総合対策』(2008年8月29日、「安心実現のための緊急総合対策」に関する政府・與黨會議、経済対策閣僚會議合同會議)における高速道路料金の効果的な引下げに基づき、利便増進事業を活用して2008年10月から実施される割引。一部の割引は、速やかに実施可能なものであるとして、本格実施までの間、社會実験として前倒して実施。
當初は2009年9月末までの予定であったが、「高速道路の有効活用・機能強化を図るため約10年間の取組み」に本施策の効果的な運用が盛り込まれ、2018年3月末まで実施予定とされた。國の債務承継額は2兆5000億円[注釈 5]。政権交代後の計畫変更で、財源の前倒し使用により、2011年3月で終了予定だった割引が延長されることになったため、2014年3月末までに短縮された。
割引率を50%に引き上げ。2008年10月14日から実施(一部の一般有料道路では遅れて実施)。
當初の案では、平日のみ50%とし、休日は本來の割引率である30%に戻るとしていたが、パブリックコメントの結果を受けて、2009年1月31日までの期間限定で、休日も50%引きとなった[15][16]。その後、休日の50%は2011年3月末まで延長され、最終的には平日も休日も2014年3月末まで実施された(南阪奈道路の平日については、2014年4月以降も継続)。
2008年9月16日から2014年3月31日まで実施(2008年10月13日までは社會実験)。 ただし、南阪奈道路では2014年4月以降も継続。
平日22時-24時の間に料金所を通過する場合、30%引き。対象道路は深夜割引と同じ。『生活対策』により、2009年3月30日からは時間帯が平日4時-6時および20時-24時に拡大された。
0時前になると、出口料金所手前で深夜割引適用待ちの車両が滯留することが問題となっていたことから、その解消を図るべく、東名・名神・東名阪道において深夜割引の時間帯拡大の社會実験が2007年から行われていた。これを、物流支援も兼ねて全國展開したものと言える。
2008年10月13日から2014年3月31日まで実施。
全日23時-24時の間に東名上り東京料金所(東京TB)を通過する場合、50%引き。事実上は、東京IC限定で深夜割引の時間帯拡大を行うものである。
2008年9月20日から前倒し社會実験として実施。距離制限と回數制限があった。『生活対策』による休日特別割引の実施に伴い、事実上休止狀態になった。
100km以內の利用で、休日9時-17時の間に入口料金所または出口料金所を通過する、料金車種區分が「軽自動車等」[注釈 2]または「普通車」に該當する自動車について、50%引き。ただし、大都市近郊區間と一部の一般有料道路は割引対象外。距離制限の考え方は、2009年7月7日までの通勤割引と同様。
通勤割引の條件も満たす場合、午前(6時-9時に入口料金所を通過)は通勤割引を、午後(17時-20時に出口料金所を通過)は本割引を優先して適用。
同一の車両に対して1日2回まで適用。通勤割引と回數の合算は行わない。
2014年4月以降は、南阪奈道路のみで実施。回數制限はなし。
『生活対策』(2008年10月30日、新たな経済対策に関する政府・與黨會議、経済対策閣僚會議合同會議)に盛り込まれた高速道路料金の大幅引下げに基づき、利便増進事業を利用して実施している各種割引。國の債務承継額は5000億円[注釈 6]。財源は財政投融資特別會計の金利変動準備金に求めており、「平成二十年度における財政運営のための財政投融資特別會計からの繰入れの特例に関する法律」により一般會計へ繰り入れられた。
その骨子は、地域活性化を図るための休日長距離利用の大幅割引の導入と、物流効率化のための平日地方部全時間帯への割引導入である。2009年1月16日から25日まで日本高速道路保有・債務返済機構(高速道路機構)と高速道路會社6社によるパブリックコメントが行われ[17]、3月13日に割引の開始日等が正式発表された。
『生活対策』による割引は2011年3月31日までの約2年間の限定措置であったが、政権交代後の計畫変更で2014年3月まで継続されることになった。しかし、計畫変更手続きの最中に東日本大震災が発生し、その復舊に財源が転用されることになったため、さらに計畫を変更して同年6月に一部の割引內容を取りやめることになった[18]。
東京灣アクアラインのみ2009年3月20日から先行実施。他の道路では3月28日から実施。2014年3月末限りで終了(ただし、八木山バイパスのみ2014年9月まで実施)。
いわゆる「1000円高速」とは、本割引および休日終日割引(本四高速、後述)の一部として実施していたものである。この部分は2011年6月19日限りで終了した。
利用區間 | 距離 | 通常料金 | 割引後料金 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
2011年6月19日まで | 2011年6月25日から | ||||
仙台宮城IC-山形蔵王IC | 53.5 km | 1,600円 | 800円 | 800円 | 地方部のみ |
青森IC-大津IC | 1145.3 km | 21,750円 | 1,000円 | 10,900円 | 北陸道・磐越道経由 地方部のみ |
東京IC-厚木IC | 35.0 km | 1,250円 | 900円 | 900円 | 大都市近郊區間のみ |
東京IC-名古屋IC | 325.5 km | 7,100円 | 1,750円 | 3,700円 | 大都市近郊區間+地方部 下段の距離・料金は新東名開通後のもの |
315.4 km | 6,900円 | - | 3,650円 | ||
金沢東IC-岡山IC | 457.6 km | 9,600円 | 2,500円 | 5,150円 | 大都市近郊區間+地方部 |
マスメディアでは「1,000円乗り放題」と報道する場合があったが、1支払い単位ごとに地方部區間の料金の上限額を1,000円とするものであり、1,000円で何回でも乗り降りできる「乗り放題」ではない。 ただし、支払い単位ごとに休日特別割引の條件を満たしたうえで、指定料金所間を指定時間以內に乗り継いだ場合に限り、複數の支払い単位に含まれる地方部區間を合算して上限1,000円とする特例が設定された。この取り扱いは、システムの変更が追いつかず、約1ヶ月遅れて2009年4月29日から実施(瀬戸內しまなみ海道を挾む場合については、中國・九州地方-四國地方間の利用に限り3月28日から実施)。上限料金のとりやめにより、2011年6月19日限りで廃止された。
高速道路としては連続しているが事業者・料金制の違いにより複數の支払い単位となるところ(首都高速道路またぎ、均一料金區間と対距離料金區間の連続利用など)、道東道・山形道などのミッシングリンクに設定された。
料金所路側表示器や ETC利用照會サービス では特例適用後の料金が表示されず、請求時に特例適用後の料金となる。
以上の日は、開始當初より対象日に指定されていた[20]。
2009年のゴールデンウィーク期間中の大渋滯発生を受けて、お盆・年末年始期間の平日を対象日に含めることの検討が開始され[21]、以下の平日が割引対象日に追加指定された。
2011年4月以降については、本割引において1月2日および1月3日は休日扱いになる。また、前日も翌日も休日となる平日は自動的に対象日となる[22]。
逆に、年末年始の交通の分散(物流への影響の緩和)を図るため、以下の土曜日・日曜日を休日特別割引の対象日から外し、平日の割引を実施することも決定した[23][24]。
平日晝間の小口の短距離輸送を支援することにより、物流コストの低減を図ることを目的とする。
平日の6時から20時までの間に入口料金所または出口料金所を通過する場合、地方部100 km分が30 %引きになる(100 kmを超えた分に他の時間帯割引は適用されない)。上記の目的からして貨物自動車のみが対象となるべきだが、このような區別では割り引けないため、全車種が対象であった[31]。
大都市近郊區間と一部の一般有料道路は割引対象外。沖縄道は2011年6月20日から割引対象外。
6時 - 9時および17時 - 20時の時間帯においては、通勤割引の回數制限にかかる場合のみ適用される。
2009年7月7日までは、対象時間帯は9時 - 17時で、回數制限(車両1台につき1日2回まで)があった。距離制限も、それまでの通勤割引と同じく100 kmを超えた場合は全區間割引なしであった。
2009年3月30日から、平日4-6時および20時-22時にも時間帯を拡大。
深夜割引を拡大する社會実験割引が前身であり、利便増進事業による割引としては2009年4月4日から実施。東名、伊勢灣岸道、東名阪道、名神、京滋バイパス、第二京阪道路および中國道の指定された出口料金所を休日の22時-24時に通過する場合、30%引き。規定上は全車種が対象だが、普通車以下には休日特別割引が優先適用されるため、実際に適用されるのは中型車以上の車種のみであった。
指定料金所は次のとおり。
本四高速の時間帯割引は、すべて利便増進事業による期間限定割引(ただし、2011年度の深夜・通勤時間帯は、會社割引とされていた[32])であったため、2014年3月末限りで原則として終了し、2014年4月以降は休日割引が殘るのみである。ただし、全國路線網への編入でETC車限定の料金水準引き下げが行われたため[33]、ETC通常料金であっても、2014年3月以前の時間帯割引後料金から値下げとなっている區間もある。
休日、1月2日、1月3日および2014年4月28日に、本四道路の入口料金所または出口料金所を通過する、料金車種區分が「軽自動車等」[注釈 2]または「普通車」に該當する自動車に適用。2014年3月時點の休日終日割引適用後料金(ただし、消費稅率8%に換算)を上回らないようにする。このため、區間によっては、実際には割引にならないこともある。
『緊急総合対策』において中型車以上限定で平日深夜割引(平日0-4時)・平日夜間割引(平日22-24時)が設定された後[注釈 8]、『生活対策』により2009年3月23日から、平日は全車種全時間帯にNEXCO地方部區間と同等の割引が設定された。
2009年3月20日から2014年3月末まで実施されたが、2度の內容変更が行われている。休日および一部の平日に入口料金所または出口料金所を通過する、料金車種區分が「軽自動車等」[注釈 2]または「普通車」に該當する自動車に適用。
利用區間 | 距離 | 通常料金 | 割引後料金 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
2011年6月19日まで | 2011年6月25日から 2012年4月8日まで |
2012年4月14日から | ||||
神戸西IC-鳴門IC | 89.0 km | 5,450円 | 1,000円 | 2,725円 | 2,550円 | |
垂水IC/JCT-淡路IC | 11.3 km | 2,300円 | 1,000円 | 1,150円 | 1,050円 | |
早島IC-坂出IC | 37.3 km | 4,100円 | 1,000円 | 2,050円 | 1,900円 | |
西瀬戸尾道IC-今治IC | 59.4 km | 4,700円 | 1,000円 | 2,350円 | 2,200円 |
平日の0時から4時までの時間帯に入口料金所または出口料金所を通過する場合、50%引き。ただし、神戸淡路鳴門道では、淡路島內一般道への交通転換を防ぐため、本州-四國間の直通利用(神戸西IC・布施畑IC・垂水IC-鳴門北IC・鳴門ICの相互間)の場合の全區間と、直通利用でない場合の淡路島內區間(淡路IC-淡路島南IC)に限り50%引きを適用する。直通利用でない場合の淡路島內を除く分は30%引き。
中型車・大型車・特大車のみに適用。休日の0時から4時までの時間帯に入口料金所または出口料金所を通過する場合、30%引き。ただし、神戸淡路鳴門道において本州-四國間の直通利用でない場合、淡路島內區間のみに本割引を適用する。この場合、2012年4月8日までは、淡路島內を除く分にはETC特別割引(後述)を適用する。
平日の4時-6時または20-24時に入口料金所または出口料金所を通過する場合、30%引き。ただし、神戸淡路鳴門道の4時-6時および22時-24時については、平日深夜割引と同じ內容。
平日の6時-9時または17-20時に入口料金所または出口料金所を通過する場合、50%引き。NEXCOとは異なり、回數制限・距離制限はなく、休日は割引対象日ではない。2009年3月23日から実施。
平日の9時から17時までの時間帯に入口料金所または出口料金所を通過する場合、30%引き。2009年3月23日から実施。
首都高速道路と阪神高速道路(京都線を除く)では、対距離料金制移行に伴い、阪神高速の一部端末區間で実施のものを除き時間帯割引は廃止された。
なお、本節および次節において「祝日」とは、國民の祝日に関する法律第3條に定める休日(國民の祝日・振替休日・國民の休日)および各事業者が別に定める日をいう。
2015年5月現在の內容である。入口通過時刻(料金所がない入口にもETCアンテナがある)で判斷する。
入口料金所または出口料金所(4號線では沼田料金所)を6時-9時または17時-20時に通過する場合、10%引き。割引額の10円未満は切り捨て。
2011年12月31日限りで廃止された割引を記す。
首都高速では、料金圏ごとにその料金を精算する料金所の通過時刻で判斷する。ただし、橫浜橫須賀道路から並木ICを通過して灣岸線を東京方面へ利用する場合の神奈川線料金については、並木トンネル出口から約200m先の本線上に設置したETCアンテナ下を通過したときの時刻で判斷する。割引額の端數は10円単位に四捨五入する。
阪神高速では、料金圏ごとに入口の通過時刻で判斷する。本線上で料金圏境をまたぐ場合、次の料金圏は本線料金所または出口料金所(特定料金區間)の通過時刻で判斷する。割引額の端數は10円単位に四捨五入する。
2008年度の対距離料金制の導入を目指していた首都高速道路と阪神高速道路(京都線を除く)において実施。出口ETC(フリーフローアンテナ)を活用して利用區間を確認し、その距離に応じた割引を適用する。『緊急総合対策』で対距離料金制の導入が延期され、2009年度以降は実施していない。
一方、北九州高速道路では、出口ETCを活用して最初の出口で降りた場合に大幅割引する社會実験を2010年から実施している。
料金圏 | 走行距離・割引率・普通車料金 | ||
---|---|---|---|
東京線 | 10km未満 平日 15% 700円→590円 夜間休日 30% 700円→490円 |
10km以上20km未満 平日 10% 700円→630円 夜間休日 20% 700円→560円 |
20km以上 平日 5% 700円→660円 夜間休日 10% 700円→630円 |
神奈川線 | 8km未満 平日 15% 600円→510円 夜間休日 30% 600円→420円 |
8km以上16km未満 平日 10% 600円→540円 夜間休日 20% 600円→480円 |
16km以上 平日 5% 600円→570円 夜間休日 10% 600円→540円 |
埼玉線 | 8km未満 平日 15% 400円→340円 夜間休日 25% 400円→300円 |
8km以上12km未満 平日 10% 400円→360円 夜間休日 20% 400円→320円 |
12km以上 平日 5% 400円→380円 夜間休日 15% 400円→340円 |
利用路線/利用距離 | 7km未満 | 7km以上15km未満 | 15km以上 |
---|---|---|---|
割引率 | 15% | 10% | 5% |
阪神東線 | 700円→600円 | 700円→630円 | 700円→670円 |
阪神西線・南線 | 500円→420円 | 500円→450円 | 500円→470円 |
利用路線/利用距離 | 7km未満 | 7km以上15km未満 | 15km以上 |
---|---|---|---|
阪神東線・南線割引率 | 30% | 20% | 10% |
阪神西線割引率 | 15% | 10% | 5% |
阪神東線 | 700円→490円 | 700円→560円 | 700円→630円 |
阪神南線 | 500円→350円 | 500円→400円 | 500円→450円 |
阪神西線 | 500円→420円 | 500円→450円 | 500円→470円 |
通常料金500円(普通車)のところ、都市高速道路に入ってから最初の出口で降りた場合の料金を100円-300円に割り引く。時間帯割引の重複適用あり。
若戸トンネルの開始に合わせて特定の出入口相互間の料金を割り引く。2012年9月1日から2013年3月31日まで実施[41]。
ETC無線通信で料金所を通過し、時間帯に関係なく指定された區間を通行すればよいものを挙げる。
2009年5月13日から2014年3月31日まで実施。長大トンネルなど割高な料金となっている區間の料金(高速國道は距離単価のみ)を3割引。対象區間は、関越特別區間、恵那山特別區間、飛騨特別區間、伊勢灣岸道路、阪和自動車道の海南IC-有田IC間(舊海南湯淺道路區間)、広島岩國道路および関門特別區間。時間帯割引の重複適用はない。
伊勢灣岸道路を除く6區間については、2011年8月1日から、普通區間と同等にまで引下げ、現金車も割引対象に加え、ETC車には時間帯割引の重複適用を行う新たな割引に移行した[42]。
2014年4月1日からは、これら6區間においてはETC車限定の料金水準引き下げとして実施(當面10年間の予定)。通常料金がETC車と現金車とで異なることになった。現金車にとっては事実上、消費稅率引き上げ分を超える値上げとなった。
一定期間內の利用頻度や利用額により割引率が変動するものや、一定額のETCカード支払いに対してプレミアムが付くものを挙げる。
ETCクレジットカード・ETCパーソナルカードで後払いした額に応じてポイントを付與し、規定のポイントの累算數によって無料通行分に還元(手続きを経て、次回以降の通行料金に充當)するもの。ETCコーポレートカードでは利用できない。
2005年4月1日にサービスが開始[44]されるも、利用率が芳しくなく、民主黨政権での料金施策では全日上限料金制に伴い廃止される方針であった。しかし、NEXCO・本四高速においては導入されないことになったため一転、存続することが確定した[45]。一方、全日上限料金制が導入される[注釈 10] 阪神高速(京都線を除く)のポイント付與は、2012年3月走行分で終了した(還元額の利用および京都線でのポイント付與は2012年4月以降も継続。)[46]。
利用するには、事前に郵送またはウェブサイト(下記外部リンク)で申し込みをし、ETCカードを登録(以下、マイレージ登録という)しなければならない。登録したカードごとにID(マイレージID)が発行されるが、同じIDに紐つける登録カードは後から変更することもできる。
システムはNEXCO3社と本四高速・阪神高速の5社によって共同運営されているが、地方道路公社もサービスに參加しており、ポイントの付與は次表の道路事業者の各路線で行っている(2015年4月現在)。事業者によってポイント付與率・交換レートは異なる。NEXCO(高速國道)と本四高速においては、ハイウェイカードの割引率(最大13.8%)を踏襲していたが、2014年4月から最大割引率を9.1%に縮小し、ポイント付與率と交換レートが変更された[47]。
一部の事業者では、1回の利用ごとに付與する基本ポイントのほか、月間(暦月1日-末日)の利用額が一定を超えた場合に加算ポイントを付與している。
事業者 | 道路 | 基本ポイント付與率 (1回の利用毎) |
加算 ポイント |
還元単位と 交換できる無料通行分 |
---|---|---|---|---|
東日本高速道路(株) 中日本高速道路(株) 西日本高速道路(株) |
高速國道全線 | 10円→1ポイント | なし | 1000ポイント→500円分 3000ポイント→2,500円分 5000ポイント→5,000円分 |
一般有料道路 (関門トンネルを除く) | ||||
宮城県道路公社 | 仙台松島道路 | |||
本州四國連絡高速道路(株) | 全線 | 10円→1ポイント | なし | 1000ポイント→500円分 3000ポイント→2,500円分 5000ポイント→5,000円分 |
阪神高速道路(株) | 阪神高速8號京都線 | 100円→3ポイント | あり | 100ポイント→100円分 |
名古屋高速道路公社 | 名古屋高速道路全線 | 100円→1ポイント | あり | 100ポイント→100円分 |
愛知県道路公社 | 知多半島道路 南知多道路 知多橫斷道路 中部國際空港連絡道路 猿投グリーンロード |
100円→1ポイント | あり | 100ポイント→100円分 |
福岡北九州高速道路公社 | 福岡高速道路全線 | 100円→1ポイント | あり | 100ポイント→100円分 |
北九州高速道路全線 | あり | |||
広島高速道路公社 | 広島高速道路 | 100円→1ポイント | あり | 100ポイント→100円分 |
神戸市道路公社 | 六甲有料道路 六甲北有料道路 山麓バイパス |
50円→3ポイント | あり | 200ポイント→100円分 |
ポイント付與対象になるのは、原則として登録カードを使用して料金所を無線通行した場合であるが、料金所の一般レーンで登録カードを使用して精算する場合も対象になる。登録カードであれば、登録車載器以外の利用でも対象になる。
ポイントが付くのは、有料道路を通行した翌月の20日である。ポイントはカード(マイレージID)ごとに管理され、複數のカードのポイントをまとめることはできない。また、利用した道路事業者ごとに蓄積される。原則として他の道路事業者のポイントとは合算できないが、NEXCO3社および宮城県道路公社は例外的に一つの事業者として扱い、これら4社間をまたいだ利用でもポイントは合算される。ポイントには有効期限があり、そのポイントが付いた年度(4月から翌年3月)の翌年度末である。還元額(無料通行分)に交換することなく有効期限を過ぎたポイントは失効する。例えば、2010年3月に有料道路を通行した分に対するポイントは、2010年4月20日に付與され、2012年3月31日が有効期限となる。
ポイントのままでは通行料金の支払いに充當できない。Webサイトまたは電話で還元額へ交換する手続きを行う必要がある。なお、別に定めるポイント數に達した場合に自動で還元額へ交換する「ポイント自動還元サービス」もある。
還元額は、他の道路事業者のポイントから交換した還元額と合算され、マイレージサービス加入事業者共通で利用できる。ポイントは付かないが還元額だけは利用可能な道路が一部に存在する(例:日光宇都宮道路、名古屋瀬戸道路等)。還元額に有効期限はない。ただし、登録取消になった場合は失効する。ポイントや還元額の増減が730日間なかった場合、登録取消の予告通知が発送され、その後さらに90日間ポイントや還元額の増減がないと、登録取消になることがある[48]。當然だが、還元額で支払った分にポイントは付かない。
「ハイカ・前払」殘高管理サービス(後述)との同時申し込みが可能であるが、「ハイカ・前払」殘高管理サービスから支払った分にはポイントが付かない。阪神高速の回數券付替サービスもまた同じ。マイレージサービスの還元額と「ハイカ・前払」殘高管理サービスの殘高の両方がある場合は、マイレージサービスの還元額が優先して使用される。
首都高速道路は都市高速道路では唯一、マイレージサービスに加入していない。したがって、首都高速でマイレージポイントは付與されず、還元額も利用できない。代わって後述の「お得意様割」があったが、対距離料金導入で廃止された。
2014年4月1日開始。通勤割引の後継となる割引だが、通行料金を直接割り引くものではなく、ETCマイレージサービスのシステムを使用した事後還元方式であるため、マイレージ登録が必須である[注釈 11]。
マイレージ登録したETCカードを使用して対象時間帯に料金所を通過した利用(対象區間をまったく含んでいないものは除く)を暦月1ヶ月間ごとに數え、その利用回數が一定以上であればETCマイレージサービスの還元額が付與される(ポイントではない)。期間限定で宮城県道路公社の仙台松島道路でも実施し、回數はNEXCOと合算される。
上記を満たしていても次の割引の要件を満たす利用は、これらの割引を優先適用し、平日朝夕割引の対象利用には數えられない。
対象區間を含んでいれば、利用區間が同一でなくてもかまわない。
1つの時間帯につき最初の1回のみという回數制限がある(1つの登録カードあたりの制限)。ただし、対距離料金區間と均一料金區間の連続利用などの特定區間を乗り継ぐ場合、一連の利用をすべて対象として併せて1回とみなす。
還元額は、暦月1ヶ月間における対象利用の回數に応じて、下記の額となる。
還元額の算出は1支払い単位ごとに行う。規定の回數を超えた分のみではなく、例えば、月間利用回數が11回なら、1回目から11回目までのすべての利用について、「10回以上の場合」の右に記した額となる。【 】で括ったものは、四捨五入により10円単位に端數処理する(高速國道と一般有料道路各道路が混在する場合は、それぞれ別に端數処理する)。
平日朝夕割引による還元額は、特典として走行の翌月20日に1ヶ月分まとめて付與され、マイレージポイントからの交換によるものと合算される。通行料金の支払いに還元額がすべて充當された利用であっても平日朝夕割引対象利用の回數に數えられるが、マイレージポイントは付與されない。
基本的な流れはNEXCO3社に準じるが、NEXCO3社とは回數の合算を行わない。以下、NEXCO3社との相違點を記す。
法人向けの別納割引制度に代わって、2005年4月に開始された。NEXCO3社が発行するETCコーポレートカードの利用者のみに適用される。ETCコーポレートカード利用の條件についてはETCカードの項を參照。
車両1台ごとの月間利用額を基に割引額を計算する「車両単位割引」と、契約者全體での月間利用額を基に割引額を計算する「契約単位割引」の2つの割引の組み合わせとなっており、両者の割引額の合計が利用額から割り引いて請求される。
割引対象道路は、高速國道全線と京葉道路・東京灣アクアライン。2016年4月からは、ETC2.0車に限り、圏央道と新湘南バイパスも対象になる。なお、高速國道と一般有料道路で別々に割引の計算を行う。
NEXCO3社の「大口・多頻度割引」のほか、他の道路事業者でもETCコーポレートカード利用者への割引を行っている。
2014年7月1日開始。NEXCOと宮城県道路公社のみで実施(本四高速では実施しない)。対象時間・対象道路の要件や回數の數え方・回數制限は、ETCクレジットカード・ETCパーソナルカード用の平日朝夕割引に準じる。対象として數えられた利用の料金は、1ヵ月間の対象利用の回數に応じて下記の料金に割引されて請求される(高速國道と一般有料道路各道路の別に、四捨五入による10円単位の端數処理を行う)。
大口・多頻度割引は重複適用しない。対象として數えられた利用の地方部100km分に係る料金は、月間利用回數が4回以下となって事実上本割引が適用されない場合を含め、大口・多頻度割引の対象外となる。
ETCクレジットカードまたはETCパーソナルカードを対象にした頻度割引。前ヶ月の首都高速の利用額(後納料金)合計に応じて決定された割引率を、當月の首都高速の通行料金に適用する。対距離料金制移行に伴い、2011年12月31日限りで終了した。
前々月の利用額と割引率(割引クラス)は次のとおり。
決定された割引率を、當月における利用1回ごとの通行料金に乗じて割引額を算出する。割引額の1円未満の端數は切り捨てる。割引率を決める利用額合計には、回數券ETC付替サービス利用分は含まれない。
回數券ETC付替サービスおよび「ハイカ・前払」殘高管理サービスを除く、他の全ての割引と重複適用される。
ETC前払割引サービスが、2005年12月20日をもって前払金の支払(積み増し)の受付を終了し、既に支払済みの前払割引殘高と、利用が停止されたハイウェイカードの殘數をETCで利用可能とする、「付け替え」手続きにて生じた殘高を管理するサービス「ハイカ・前払」殘高管理サービスと変更した。ETC前払割引サービスは、利用前に前払金を支払うことで利用可能金額がチャージされ、利用した通行料金は利用可能金額の殘高から差し引かれる、ハイウェイカードに類似した制度であった。(ハイウェイカードとは、「現金で前払金を支払えない」「殘高を超過した場合は通常と同じくクレジットカードから支払われる」など異なっている點があった。)
時間帯割引や特定區間割引の重複適用が可能。なお、複數の料金支払いサービスが存在するETCでは、その支払い優先順位が定められている。「ハイカ・前払」殘高管理サービスの殘高が支払いに當てられる順位は、回數券付替サービス(首都高速・阪神高速)、ETCマイレージサービスの還元額についで第3位であり、前者のいずれかに殘高がある場合はそちらから消費される。また、「ハイカ・前払」殘高管理サービスの殘高より支払われた通行料金には、前述のマイレージサービスにおいてポイントが付與されない。
2005年12月21日以降の新規登録受付はハイウェイカード殘數の付け替えによるもののみとなっていたが、これも2013年1月27日を以って終了した[53]。ハイウェイカード利用停止から満10年にあたる2016年3月31日を以ってサービス終了[54]。
2018年4月現在、障害者が利用する車両を除けばバスを対象にしたものしかない。後述のようにエコカーを対象とした割引の導入案もあったが、実施に至らなかった。
なお、2015年5月から、電気自動車等の充電インフラ整備促進の一環として、事前に登録がなされた電気自動車とプラグインハイブリッド自動車の高速道路利用実態を調査し、その通行料金に対して補助を行う事業が行われている。所管する省庁は経済産業省で、通行料金を割り引くものではなく、調査終了後に調査への協力費として支給するものであるが(2016年2月終了予定、支給対象となる通行は2015年12月まで)、ETC無線通行に限定している[55]。
事前申し込みのうえで、一定の期間中において一定區間內の高速道路を何回乗り降りしても定額料金となる割引商品。乗り放題エリアまでの往復が含まれているものもある。鉄道の特別企畫乗車券と同様に企畫割引として実施しており、利用條件や発売額は商品によって異なるが、おおむね以下のような制限がある。
商品・プランによっては、車両1台またはカード1枚についての申込回數や1日にその割引を使える台數に制限を課していることがある。
フェリーあるいは旅行會社と提攜した商品や[57][58]、訪日外國人用の商品も発売されている[59]。
『生活対策』による割引開始から約5ヵ月後に執行された第45回衆議院議員総選挙において、高速道路無料化をマニフェストに掲げる民主黨が勝利し、高速道路料金政策は大きな注目を集めることになった。以下、肩書きは當時のもの。
2010年4月9日、國土交通省から新たな料金割引案が発表され、無料化社會実験と合わせて同年6月から試行的に導入するとされた(NEXCO・本四高速)[60]。首都高速と阪神高速(京都線を除く。以下同じ。)については、料金圏を撤廃し上限料金を抑えた新たな対距離料金制案が示され、地方議會での議決を前提にその審議期間を踏まえ[注釈 14]、同年末-翌年始め頃を目途に導入するとされた。
前原誠司國土交通大臣は従來の割引を「私も全て把握ができないほど割引內容が複雑である」「持続可能でない」[61] と批判し、ETCの有無を問わず適用する上限料金制を軸に徹底した簡素化を図るとした。しかし、上限料金に至らない短距離は無割引であり[注釈 15]、上限料金の恩恵を受ける利用者の割合が20-30%と試算されたことから、「実質値上げ」「無料化に逆行する」と與黨內からも強い反発を受けた。
実質値上げとなる原因には、利便増進事業の使途を拡大し道路整備にも活用しようとしたことがある。このためには道路整備事業に係る國の財政上の特別措置に関する法律(道路財特法)を改正する必要があるが、審議にすら入れず、5月18日、新たな料金割引の導入を見送ることが発表された。なお、無料化社會実験については、6月28日に開始された。
2011年2月16日、同年4月から実施予定とする料金割引案が國土交通省から発表され[62]、2月25日には高速道路機構と高速道路會社によるパブリックコメントが開始された(3月4日締切)[63]。
この案では、NEXCO3社・本四高速において実施中の各種ETC割引をすべて継続したうえで、ETCの有無を問わず普通車以下に毎日上限料金(軽自動車等[注釈 2] 1,000円、普通車2,000円)を設けるとされた(NEXCO:地方部上限割引[注釈 16]、本四:上限割引)。ただし、上限料金制の導入による影響を踏まえてマイレージサービスは2012年度を目途に見直すこととされた。本四高速では、全國一律料金を求める沿線自治體の意見を反映し、ETC普通車においてNEXCO地方部區間との合計の上限を2,500円とする乗継割引を設定。また、フェリー業界への配慮として、本州-四國間のフェリーを利用する場合にNEXCOの上限料金をつなぐ乗継特例を導入する。
新たな財源手當てを行うことはせずに自公政権時の利便増進計畫を変更するものであるが、『生活対策』以上の大幅割引となるため、NEXCOでの割引の実施期間は當面3年間とされた。本四高速では、沿線自治體の出資問題で調整が難航したこともあり、當面1年間とされた。
しかし、3月11日に東日本大震災が発生。3月23日、現狀を変えることによる大きな混亂を避けるためとして、新たな割引の導入は延期し、実施中の割引は當面継続する旨が國土交通省から発表された[64]。
4月22日、大畠章宏國土交通大臣は、東日本大震災復舊工事費が中心となる平成23年度第一次補正予算の財源として、上限料金制の取りやめにより2500億円を捻出する旨を明らかにした[65]。5月2日には、東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律が成立、即日施行され、高速道路機構が國庫へ2500億円を納付することが義務付けられた。
5月20日、機構と4會社(NEXCO・本四)から利便増進計畫の変更案が発表され[66]、26日までパブリックコメントが行われた後、6月8日にその結果が発表された[67]。これにより、地方部上限割引・上限割引は導入されず、休日特別割引・休日終日割引の上限1,000円および休日バス割引は2011年6月20日0時に廃止される(6月19日が最後の対象日になる)ことが正式決定された[45]。同時に無料化社會実験も凍結された。
首都高速道路と阪神高速道路については、前年の料金圏なし対距離料金制案に地方からの意見を踏まえた新たなETC割引が盛り込まれ、地方議會での審議期間を考慮して[注釈 14] 2012年から実施とした。新たなETC割引については當面2013年度までの実施とされた。
首都高速は、2011年10月21日までにすべての関係自治體議會の議決が得られ[68]、24日に事業許可変更申請がなされた後[69]、11月2日に変更許可が下りて2012年1月1日の対距離料金制移行が正式決定された[70]。
阪神高速も、2011年11月7日までにすべての議決が得られ[71]、9日に事業許可の変更許可が下りて2012年1月1日の対距離料金制移行が正式決定された[72][73]。
この対距離料金制移行にあたり、全線で行っていたETC時間帯割引は廃止され、舊料金圏內々利用に対する激変緩和やNEXCOとの乗継などに対する特定區間の割引が主となった。頻度型割引では、首都高速のお得意様割が廃止され阪神高速のマイレージポイント付與も取りやめ(2012年4月走行分から)になる一方、両社とも大口・多頻度割引が拡充されており、一般利用者より物流業界が優遇される格好となっている。
本四高速については、國と地方の協議の結果、2014年度の全國共通料金水準導入の方針が2012年3月までに決定された。2012-2013年度の2年間は、2012年3月時點の時間帯割引等を継続することを基本としつつ、休日の普通車以下についてはその方向性を明確にする観點から一定の割引を導入する(距離単価引下げ)。一方で、休日の中型車以上のETC特別割引は廃止された。
2012年12月16日に執行された第46回衆議院議員総選挙で民主黨は大敗、自民黨・公明黨が與黨に返り咲いたが、民主黨政権時に変更された利便増進事業の割引計畫は再変更されず、2014年3月末を期限とされたNEXCO3社・本四高速の時間帯割引は延長されることなく終了した。同時に、會社負擔で実施の割引についても大きく見直された。また、本四高速への全國共通料金水準導入は、全國路線網へ編入することで、當面10年間ETC車限定で実施されることになった[33]。なお、これは正式には割引ではないが、ETC料金が適用される場合は料金所路側表示器に「割引」の表示が出る[74]。
2013年度末が期限だった首都高速・阪神高速の割引は、首都高速は2015年度まで[75]、阪神高速は2016年度までにそれぞれ延長された[76]。
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