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診断群分類包括評価(しんだんぐんぶんるいほうかつひょうか)は、日本における医療費の定額支払い制度に使われる評価方法。DPC(Diagnosis Procedure Combination;診断群分類)に基づいて評価される入院1日あたりの定額支払い制度で、DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)と呼ばれる。通称はマルメ(丸め)。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
病院数 | ベッド数 | |||
---|---|---|---|---|
DPC対象 | DPC準備 | DPC対象 | DPC準備 | |
2003年7月時点 | 82 | - | 68,982 | - |
2004年7月時点 | 144 | - | 94,115 | - |
2006年7月時点 | 360 | 371 | 177,806 | 114,057 |
2008年7月時点 | 718 | 843 | 288,282 | 192,242 |
2009年7月時点 | 1,282 | 331 | 433,604 | 57,965 |
2010年7月時点 | 1,390 | 266 | 456,201 | 41,179 |
2011年4月時点 | 1,449 | 195 | 467,511 | 26,306 |
2012年4月時点 | 1,505 | 248 | 479,539 | 34,502 |
2013年4月時点 | 1,496 | 244 | 474,981 | 34,501 |
2014年4月時点 | 1,585 | 278 | 492,206 | 36,458 |
2015年4月時点 | 1,580 | 266 | 484,081 | 33,489 |
2016年4月時点 | 1,667 | 284 | 495,227 | 30,537 |
2017年4月時点 | 1,664 | 276 | 483,747 | 28,477 |
2018年4月時点 | 1,730 | 262 | 488,563 | 24,350 |
診断群分類包括評価を用いた入院医療費の定額支払い制度は2003年4月より全国82の特定機能病院等において開始された[1]。
2006年にはDPCに基づき定額支払い制度を導入している病院の名称がDPC試行的適用病院から「DPC対象病院」、DPCの定額支払いに関するデータを提供する病院の名称はDPC調査協力病院から「DPC準備病院」へと変更となりDPC包括評価の本格的な導入段階へと移行した。 2006年時点での全一般病床(約91万床)に占めるDPC病床の割合は約20%であったが、2010年には50%超えて現在は55%程度となっている。[1]。
診断群分類包括評価を用いた入院医療費の定額支払い制度を導入するには必要な要件があり、「DPC制度への参加等の手続きについて」として、厚生労働省保険局医療課長名で通知されている(平成30年3月26日保医発0326第7号)。
望ましい要件
DPC対象病院となった後に、要件を満たさなくなった場合
改定時期 | MDC数 | 傷病名数 | 診断群分類総数 | うち包括分類数 |
---|---|---|---|---|
2003年4月 | 16 | 575 | 2,552 | 1,860 |
2004年4月 | 16 | 591 | 3,074 | 1,726 |
2006年4月 | 16 | 516 | 2,347 | 1,438 |
2008年4月 | 18 | 506 | 2,451 | 1,572 |
2010年4月 | 18 | 507 | 2,658 | 1,880 |
2012年4月 | 18 | 516 | 2,927 | 2,241 |
2014年4月 | 18 | 504 | 2,873 | 2,309 |
2016年4月 | 18 | 506 | 4,918 | 2,410 |
2018年4月 | 18 | 505 | 4,955 | 2,462 |
診断群分類は、1986年の米国エール大学における、一般産業でいうQC活動を医療に応用するための研究に端を発している。その後、各国でさまざまな形で応用され、米国で開発された診断群分類は、DRG(Diagnosis Related Group)と呼ばれている。DRGには資源消費の均質性という特徴があり、1983年、米国において、メディケアの入院医療費の支払方法として診断群分類ごとの包括支払い方式が採用された。これをDRG/PPSという。
1996年、日本でも診断群分類をベースとした定額制の方向が示され、1998年に急性期入院医療費の定額支払い方式の試行事業(日本版DRG/PPS)が開始された。その後2003年にこの診断群の考え方を踏襲して誕生したのがDPC包括支払いである。 DPC(診断群分類)とは、患者ごとに傷病名や年齢、意識障害レベル(JCS)、手術、処置の有無などの治療行為を組み合わせたものである。DPC対象病院が増えてきたこともあり「DPC=包括支払い」と認識されがちであるが、DPCはあくまで診断群分類を意味しており、包括支払い制度を意味するものではない。DPCという呼称については混乱を避けるため、支払制度としてのDPC制度の略称についてはDPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)とすることで2010年12月16日のDPC評価分科会において整理された。
日本における診断群分類は、医療資源を最も投入した傷病名により分類し、次に、診療行為(手術、処置等)等により分類する構造となっている。傷病名は国際疾病分類(ICD10)、診療行為等については、診療報酬上の区分で定義されている。
2014年4月改定におけるDPCの分類項目は2,873分類であるが、包括評価対象となる診断群分類は2,309分類であり、これに該当しない患者は従来どおりの出来高払いとなる。包括評価の範囲は、主にホスピタルフィー的要素(入院基本料・検査・画像診断・投薬・注射・1,000点未満の処置などの施設報酬)であり、ドクターフィー的要素(手術料・麻酔料・1,000点以上の処置などの医療技術料)は対象外となる。従来の点数にあてはめてみると、DPCの対象となる入院患者に算定できる診療報酬の約7割が包括範囲に含まれている。(あくまでも全体の平均であり、手術等の無い入院の場合には包括部分が9割を超す場合や、短期の手術目的での入院では包括部分が1割未満の場合がある)
また、2014年4月改定より一定程度治療法が標準化し、短期間で退院可能な検査・手術の診断群分類を短期滞在手術等基本料3の対象とした上で、包括範囲を全診療報酬点数とする見直しが行われた。入院5日目までに該当する手術・検査を実施した場合は短期滞在手術等基本料3として入院5日目まで定額の診療報酬となる。
なお、短期滞在手術等基本料3はDPC対象病院に限定されず、保険医療機関(診療所を除く)において、入院5日目までに該当する手術等を行った場合は短期滞在手術等基本料3の対象となる。
短期滞在手術等基本料3に該当する手術・検査と診療報酬は次のとおり。
DPCでは、2,873ある全ての診断群分類に対して14桁で構成される「診断群分類番号」つまりDPCコードが割り振られている。このうち2,309のDPCにはそれぞれ入院期間に応じた包括点数が設定されており、2014年3月19日付の官報で告示されている。コードには下記のような意味がある。数字の代わりに「x」とある場合は「該当なし」を意味する。
例)040080x099x0xx
左から順に各桁ごとに決められた定義により表現される。
この例(040080x099x0xx)を端的に表現すれば「肺炎等で15歳以上の人が入院し、特に処置・手術等が無かった」こととなる。具体的な意味としては次のようになる。
DPCにおける総報酬額=診断群分類による包括評価+出来高評価+入院時食事療養費
診断群分類による包括評価は、「診断群分類点数表」と呼ばれる包括範囲点数表をもとに下記の式で算定し、出来高部分については従来からの医科診療報酬点数表をもとに算定する。
診断群分類による包括評価=診断群分類ごとの1日当たり点数×医療機関別係数×入院日数×10円
なお、前出の診断群分類番号(040080x099x0xx)は以下のような包括範囲点数となっている。
(※29日目以降は入院期間III(2SD)超えとなり、従来通りの出来高の計算方式で算定)
※包括評価(包括範囲点数)の水準については出来高報酬制度における点数算定データ(DPC導入の影響評価に係る調査の実績)に基づいて算出されている。
医療機関別係数は、以下の4つを合算(各医療機関の係数については平成26年厚生労働省告示第 91号で告示されている)
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