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職業教育(しょくぎょうきょういく、英語:vocational education)とは、即戦力となる職業人としての人材を育成するための知識・技能を習得させるための教育のことをいう。徒弟制度と関連が深い。
世界人権宣言においては「技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならない(第26条1)」と定められている。また技術教育および職業教育に関する条約(1989年、ユネスコ[1])があるが、日本はこの条約を批准していない。
割合(%) | 徒弟に就く | 徒弟以外 として働く | 学習のみ |
---|---|---|---|
ドイツ | 72.7 | 20.3 | 6.8 |
オーストラリア | 43.0 | 48.4 | 8.5 |
オランダ | 19.6 | 50.9 | 29.4 |
イングランドおよび 北アイルランド | 6.0 | 60.7 | 33.2 |
オーストリア | 36.9 | 28.4 | 34.6 |
デンマーク | 26.5 | 37.9 | 35.4 |
ノルウェー | 14.3 | 45.5 | 40.1 |
フィンランド | 6.6 | 24.8 | 68.5 |
エストニア | 5.4 | 19.9 | 74.5 |
スウェーデン | 1.2 | 22.8 | 75.9 |
ポーランド | 3.4 | 10.6 | 85.9 |
スペイン | 1.4 | 12.4 | 86.1 |
チェコ | 2.5 | 10.3 | 87.1 |
フランドル地方 | 3.9 | 8.6 | 87.4 |
日本 | 0.0 | 12.1 | 87.9 |
韓国 | 4.6 | 6.6 | 88.7 |
フランス | 5.7 | 3.3 | 90.93 |
スロバキア | 3.3 | 4.2 | 92.43 |
イタリア | 0.2 | 4.7 | 95.01 |
カナダ | 0.0 | 48.9 | 51.04 |
国際標準教育分類(ISCED)1997年版では、職業教育の分類は各国で以下のようにばらつきがある[3]。
また短期職業教育(Short-cycle professional education)とは、学位レベル以下の職業教育プログラムと定義されている(大学一般教育免状など)[4]。
欧州連合ではコペンハーゲン・プロセスが進行しており、これは欧州31カ国で職業教育の資格認定を調整する政策である[5]。また各国の資格の互換性として欧州資格フレームワーク(EQF)が定められている。これら調整機関として欧州職業訓練開発センター(CEDEFOP)等が存在する。
英国にて最初のTrades School(商業学校)はStanley Technical Trades School (現在のHarris Academy South Norwood) である。これはWilliam Stanleyによって設計・建設・運営され、1901年に構想されて1907年に開校した[6]。
英国の職業教育制度は、初期は政府とは独立して発展し、ロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツやロンドン・シティ・ギルド協会が技能検定試験を行っていた。後に1944年教育法(Education Act 1944)によって、グラマースクール、Secondary Technical School、Secondary modern schoolのTripartite System(三分制)が確立され、1975年には英国人若者学生のうち技術学校を選ぶのは0.5%となり、これはドイツの割合の3分の2であった[7]
現在では、ビジネス・イノベーション・職業技能省および児童・学校・家庭省が所管しており、職業教育機関としては継続教育カレッジ(Further Education College)が最大である[8][9][10]。近年英国政府は職業教育の普及と拡大を図っており、1970年代には商業技術教育委員会(BTEC)が設立され、継続教育と高等教育の評価に取り組むようになった。
1980-90年代には、英国保守党政権は Youth Training Scheme、全国職業資格(NVQ)、General National Vocational Qualification(GNVQ)に取り組み、フルタイム教育の割合は増加したが、若年者の教育は取り残されていた[7]。
1994年、政府の支援による現代徒弟制度(Modern Apprenticeships, MA)が導入され、若年者(16-24歳)の職場訓練制度が整備された[11][12]。徒弟の数は近年増加しており、児童学校家族省によれば、この現代徒弟制度をイングランド教育制度の主流にしていきたいとしている[13]。
英国においては、4-5年のインターンシップが必要ないくつか技術士職については、高等国家サーティフィケート(HNC)、高等国家ディプロマ(HND)、またはロンドン・シティ・ギルド協会以上の学位を必要としている。そのため徒弟制度は、ますます現場ベースの訓練の定番とみなされるようになってきている。
イタリアの教育においては以下が存在する。
オーストラリアの職業教育は、その多くは二次教育後において認定教育機関(Registered training organisation)にて行われる。一部の学校では、10-12歳から職業教育を始めている所もある。制度においては公立と私立の両者が存在し、認定についてはNQFとして豪州資格フレームワーク(AQF)が存在する[14]。AQFはレベル1-10まで分類されている。
公立機関としては、技術・継続教育(Technical and Futher Education, TAFE)と呼ばれる州立の職業教育学校があり、2004年では全国に79校存在する[15]。
職業教育と高等教育の境界はより曖昧になってきている。メルボルン・ポリテクニック、ボックスヒル機関、ウィリアム・アングリースTAFE機関などの多くの職業教育機関が、現在、大学では中核的に提供されていない特定分野において、特定の学士号を提供している。それら応用コースには、馬額、ワイン造りとブドウ栽培、水産養殖、情報技術、音楽、イラストレーション、料理マネジメントなどがある[16]。
オランダの教育では、以下の職業教育機関がある。統計的な文献分析によると、オランダにおける職業教育の成功には職場学習の質が求められている[17]。
オーストリア、ドイツ、リヒテンシュタイン、スイスなどのドイツ語圏ではジャーマンモデルを採用しており、職業教育は徒弟制度によって行われるデュアルシステムである[18]。たとえばドイツにおいては義務教育は15-16歳で終了するが、しかし18歳になるまでは、フルタイム制の学校に通学していない者は就業するかたわら、パートタイム職業学校(ベルーフスシューレ)に通学する義務がある(デュアルシステム)。
ドイツの15歳以上人口では、およそ8%が5Bレベルの高等職業教育認定を所持しており、これは5Aレベル所持者の12%と比較される(2010年)[19]。
ノルウェーにはFagskoleutdanningが存在し、中等教育修了レベルの者を対象とした2年制の第3期の教育課程である(4Cレベル)[20]。初等教育に属する学生のうち1.5 %が私立学校へ通う。他の高等教育機関と違うのは、入学試験は課されず、課程は研究者育成を目指するものではない。公立および私立が存在し、所管はノルウェー資格管理庁である。
フィンランドでは一般大学のほか、Ammattikorkeakoulu(AMK,ポリテクニック)が存在し、ポリテク学士号、ポリテク修士号を付与する。
フランスの教育においては、1989年教育基本法(ジョスパン法)によって、すべての国民を最低CAPまたはBEPレベルの水準に、80%をバカロレア水準に到達させることを目標とされた[21]。
どの職業教育認定を取得するかは、以下の前期中等教育終了後の進路によって変化する[22]。
通常は"CAP Automobile"、"BTS Electrotechnique"などというように各職種のタイトルが後につく国家資格になっている[23]。
さらに、フランスの教育の基準であるバカロレア(BAC, 高校卒業資格・大学に進む能力検定)が加味され、「CAP」の「BAC」無、「BTS」で「BAC取得者+2年の最低授業年数」などのような条件設定とされている。日本でも大学に入学し卒業をするまで試験を多く課せられて大変なように、フランスでも高校を卒業するだけで様々な単位資格を取得し、さらに卒業試験といったものが科せられ、「BAC」取得までもさまざまな難関が待っている。
明治初年には、職業教育という言葉ではなく「実業教育」や「技芸教育」の用語が使用されたが、1899年(明治32年)の「実業学校令」の公布以降、「実業教育」に統一された[24]。戦後は、産業教育振興法(1951年)の成立により、産業教育の語にとって代わられた[24]。 日本版NVQ制度であるキャリア段位制度は平成24年度から始まった。
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