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飛翔体の構造 ウィキペディアから
翼(つばさ)は、鳥や航空機などの飛翔体が備え、空気中での飛行のために使用される構造。さらに広義の用法もある。文脈によっては「ヨク」とも読む。
日本語では、「鳥の翼」(英語: wing)を表す言葉には「つばさ(翼)」「はね(羽)」の2語があり、いずれも万葉集より用例がある。
葦辺行く雁の翼を見るごとに君が帯ばしし投矢し思ほゆ (13#3345)
梅が枝に鳴きて移ろふ鴬の羽白妙に沫雪ぞ降る (10#1840)
「つばさ」がもっぱら「鳥の翼」の意味であったのに対し、「はね」はより広い語義をもち、「昆虫の翅」を指すのにも用いられる[1]。さらに、「矢羽根」「赤い羽根」「羽根ペン」というように、「羽根」と書けば 英語: feather の意味になる。英単語 feather 「羽根」がギリシア語 pteron[2]「翼」と同じ語源をもち、古くは複数形で「翼」を意味したことからも分かるように、「翼」と「羽根」とは互いに距離の近い概念であると言える。
漢字「羽」は羽根2枚、または双翼を並べた象形字、「翼」はそれに音符を加えたものである。
20世紀に入ると飛行機が登場し、「飛行機の翼」という概念が生まれると共に、流体力学などの新しい学問分野が発展し、「翼」という言葉も新しい定義を得ることとなった。 その定義とはおおむね、「流体との相互作用によって効率よく揚力を得られるような形状をした物体」というものである。
またこの定義から、この語は、飛行機の翼以外にも多様なものを指しうる。
なお、こうした用法における「翼」の字は、音読みで「ヨク」と読まれることが多い。
転義として、一般に、中央に位置する中心的な構造から左右に張り出したような構造を称して「翼」(ヨク)と呼んだり、また「ウイング」などとも呼ぶ。思想的立場を意味する「左翼」「右翼」の語は、革命期フランスの議会における、左右に分かれた議員席をそう呼んだことに由来するという。建築物の例としては、宇治平等院鳳凰堂の「翼廊」や、羽田空港(ビッグバード)の棟名「ウィング」などを挙げることができる。
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生物学などの分野において特に厳密な「翼」の定義がある訳ではないが、一般的な用法でいえば、翼を持つ生物は以下の4種類である
中生代になると脊椎動物にも羽ばたき飛翔を行う翼の持ち主が現れた。現在のところ、三畳紀中ごろの翼竜がそのさきがけであったと考えられている。、比較的横に長く、膜状の翼だったと考えられている。補強のないただの膜だったという見方と、すじ状の補強がなされたものだったという見方とがある。後縁付け根の付着部位についても諸説ある。
羽毛をまとった翼を持ち、翼を使って翔ぶために骨の中を空洞にしたり、おおきな大胸筋を持ったりと、様々な進化を遂げてきた。例外としてペンギンやエミュー、ダチョウなど、空を飛ばないものもいる。ジュラ紀頃になると、恐竜の系統の一部から、鳥が生まれた。とはいえ、羽毛が化石に残りにくいこともあり、恐竜-鳥系統の進化の中で羽ばたき飛翔がいつ、どのように始まり、翼の進化がどのような過程を踏んできたのかについては、あまりよく分かっていない[4]。
他の哺乳類と同じように指の骨の構造を持ち、その間に皮膜を張ることで翼を形成している。最後に登場した羽ばたき飛翔を行う生物は哺乳類のコウモリであり、新生代の第三紀のことであったと考えられている。
昆虫の翼は一般的に翅と呼ばれるが、それを持つ目的は他の生物とおおよそ同じであり、外骨格が変化してできたキチン質でできている。翼の羽ばたきによる飛翔を最初に行った生物は古生代の昆虫であり、この能力の獲得が昆虫の今日の繁栄の1つの要因であったと考えられている。昆虫は、羽ばたきによる飛翔能力を獲得した唯一の無脊椎動物である。
以上のような一般的な用法にこだわらず、航空機的な「翼」の意味を流用するなら、グライダーのように滑空する能力をもつ様々な生物が視野に入ってくる。 羽ばたいて上昇したり長距離を航続する能力は彼らにはないが、中には高度差の4〜5倍の距離を滑空するものもいる。 様々なアプローチのものが知られている。
四肢の間などに発達した皮膜の“翼”を持つ。
肋骨が横に伸び、体幹から大きく突き出した形になり、そこに皮膜が発達する。普段は折り畳まれている。現生脊椎動物のなかで四肢から独立した“翼”をもつ唯一の生物[要出典]である。
トビトカゲほど発達しないが肋骨が広がり翼の役割を果たす。
化石種。発達した胴体の複数の鱗が翼の役割を果たした。
肋骨を広げ体を扁平にし、全身をS字形にすることで、ほぼ全身を翼として使う[5][6]。当然、四肢はなく、絶滅もしていないので、四肢を翼の前後につけて滑空するトビトカゲが、四肢から独立した翼をもつ唯一の原生脊椎動物ではない。
四肢の指が長く、そこに発達した“水かき”を使って滑空する。(樹上生であり、遊泳はしない)
胸びれ、腹びれ、尾びれが発達し、翼の役を果たす。
“先尾翼(カナード)”を備えるとともに、脚と粘液とで楕円平面形の“翼”を形成。
一部の植物の果実には、動的揚力を利用して移動距離を稼いでいるものがあり、翼果と呼ばれる。ほとんどは一種の回転翼であり、カエデの種子が有名。特徴的なのはボルネオ島の森林に生えるハネフクベ(Zanonia Macrocarpa; ウリ科)で、これは左右対称な、無尾翼のグライダーである。 さらに意味を広げるなら、水生生物の多くに見られる「鰭」(ひれ)もまた、流体力学的な意味で「翼」であると言えなくもない。とはいえこれら生物が滑空や遊泳のために発達させた器官は第一義的には「皮膜」であり「鰭」なのであって、これらを「翼」と呼ぶことは一般的ではない。
航空機、特に浮力でなく動的揚力を利用して飛行する重航空機にとって、翼はエンジン以上に重要な必須の装備品である(たとえば、グライダーにはエンジンがないが、翼はある)。固定翼やプロペラの翼の断面の形状、ならびに推力を持った飛行機を完成させたのは、いずれも飛行機を初めて実際に飛ばせたアメリカのライト兄弟であるといわれる。歴史的経緯についての詳細は航空史や飛行機の歴史などを参照。
自家用小型機のような低亜音速機の翼は一般に以下のような断面形状(翼型)をしている:
これに似た翼型を持つものが翼と呼ばれたり、このような形状を指して「翼状」などと言うことが多い。しかしながら、現実には使用される流れの性質(速度・粘性など)によって断面形状は様々なものがある。
一様な流れに対して少しだけ傾けて翼を置くと、翼周りの流れは傾けた側に凸となり、翼後縁から滑らかに流れ去る。これは流体が持つ内部摩擦性(粘性)によって生ずる。そして、翼周りの流れの曲がりは、これを維持するための向心力が求められ、これは翼表面の圧力分布として現れる。この翼表面の圧力分布の一様流れに垂直な成分のみ翼全体で積分すると、揚力が求められる。また、圧力が低い翼面側では流れは吸い込まれて早くなり、圧力の高い翼面側では流れが押し戻されて遅くなる。
以上のことを応用すると、翼周りの流れの様子を調べるには翼表面の圧力を測定さえすれば、ベルヌーイの法則により翼周りの流速を求めることができる。
飛行機などの固定翼機は、翼を備えた機体全体が前進し、翼に風を受けることで揚力を得る。滑空中の鳥なども同じ。詳しい揚力発生の原理、揚力と抗力の関係などについては揚力や抗力を参照。
ある軸を中心に回転して相対速度を得る翼を回転翼という。揚力を発生する原理そのものは固定翼と変わらないが、翼自体が回転することで(も)周囲の流体との相対速度を得られる(すなわち、揚力を得られる)という点が異なる。
一般に回転翼と呼ばれるものは、回転軸が細長い翼状物体の一端にあるもので、ヘリコプターのローター・飛行機や船のプロペラ・カエデの種子などのようなものを指す。この場合、回転軸側と先端側で流れの速度に差ができ揚力の差となるため、揚力差の軽減を目的に、ねじりを付ける・位置によって翼型を変えるといった対策が採られることが多い。詳しくはプロペラ・ローター・タービンを参照。
一方、このような円盤面内運動でなく水車のような回転をする翼も存在する。こうしたものは、あまり回転翼とは呼ばれることはない。
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白いハトとオリーブ
キリスト教のノアの箱舟が起源であるとされ国際的にも平和の象徴であるとともに、自由の象徴であるともされている。現代のオリンピックでも開会式でハトを飛ばすことが通例となってるが、1900年のパリ大会では鳩撃ちという競技があったり、1988年のソウル大会では開会式の聖火式で誤って鳩を放してしまい、聖火台の火と一緒に燃えるなどの事故もあった。しかし、国連が定めたSDGs勲章の「平和と公正をすべての人に」では、ハトとガベルをかたどったデザインとなっており、すべての人法の下では平等であり公正であることを示している。
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