精管結紮術
男性の不妊・避妊手術 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
精管結紮術(せいかんけっさつじゅつ、英: vasectomy)、通称でパイプカット(和製英語: pipe cut)は、男性の不妊手術、つまり永続的な避妊のための外科的処置。
精液に精子が入るのを防ぐため、精管を切除し結紮または閉鎖し、これにより性交による女性の妊娠を防止する。精管結紮術は通常、診療所で行われる。動物に対して行われる場合は動物病院で行われる。単純な手術であり切開は小さく、必要とされる器具も一般的なものであるため、入院は通常不要である。
精管結紮術には複数の術式が存在し、どの術式においても2本の精管のそれぞれについて1か所を閉鎖する。不安を軽減し患者の快適さを高めるため、針が苦手な男性は「針なし」麻酔を検討でき、メスを使用しない術式(NSV法、ノースカルペル法)や無閉鎖法(オープンエンド法)は回復を速め、健康回復の可能性を高める[1]。
単純な手術であるため、精管結紮術は通常30分以内で完了する。診療所内での短い回復時間(通常1時間以内)の後、帰宅となる。この手術の侵襲は非常に小さいので、多くの患者は通常の性生活を1週間以内に再開でき、その際の不快感は非常に少ない。
この手術は永続的な避妊方法と考えられ、元に戻すのは難しいので、男性は通常、カップル双方に感情的・肉体的に長期的にどのような影響を与えるか考慮するよう助言される。若く独身で子どもがいない男性にはこの手術はあまり勧められない。生物学的に子を残す機会が半永久的にほぼゼロとなるからであるが、最終的には本人が将来パートナーと子どもを持ちたいと願う可能性があると思うかどうか次第である(ただし日本においては母体保護法第2章3条の、結婚していること、子どもが2人以上いること、配偶者の同意があることの要件を満たす必要があり、本人が希望すれば必ず受けられるとは限らない)。犬にはこの手術はめったに行われない(代わりに去勢が行われる)が、牛については一般的である[2]。