祖霊
日本における先祖の霊魂の概念 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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祖霊(それい)とは、先祖(家族または親族の祖先)の霊魂である[1][2][3]。英語(事実上の現代国際共通語)では "ancestor spirits[2] (日本語音写例:アンセスター スピリッツ)" など[* 1]という。この概念の下では、係る霊魂に正邪・善悪の区別は無く、子孫を祟る祖霊も、子孫をこそ祟る祖霊も、過ちを犯した子孫に制裁を加える祖霊(例:サン人[2])も、広く世界には珍しくない[* 2][2]。
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しかしこれとは別に、古来日本で「ミオヤノタマ」「ミオヤノミタマ」[構成|日本語古語:御祖ミオヤ + …の + 霊タマ(御霊ミタマ)]と呼びならわしてきた祖霊の概念では、子孫に害悪をもたらす祖霊はあり得ず、先祖の霊魂のうち、守護神的属性を帯びていると見なされるもののみを指す[1]。古来中国の概念も日本のものに近い[1]。
祖霊という概念が成立している社会において、その概念は、災禍をもたらす懲罰的なものと、恩恵ある守護的なものに大別でき[1]、アフリカ諸社会[* 3]の祖霊は前者の、東アジア諸社会の祖霊は後者の傾向が強い[1]。
現代の創作作品の多くで、先祖の霊に祟られる物語や世界観が見られるが、上述した広義の祖霊の概念の反映と考えられ、少なくとも東アジア古来の概念とは異なる[* 4]。翻って言えば、このような害悪をもたらす祖霊を指す語として、日本語「祖霊(それい)」は(広義と捉えることで)問題無いとしても、「みおやのたま/みおやのみたま(祖霊)」を当てるのを適切とは言い難い。