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民事再生法(みんじさいせいほう、平成11年12月22日法律第225号)は、経済的に窮境にある債務者の事業または経済生活の再生に関する日本の法律である。日本における倒産法の一つ。
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1999年(平成11年)12月22日に公布された。主務官庁は法務省民事局民事第一課である。
従来、同じ目的で用いられてきた和議法(大正11年法律第72号。民事再生法の施行に伴い2000年〈平成12年〉4月1日廃止。)の特徴であった簡素な手続構造を基本的に維持しつつ、再建計画(再生計画)の可決要件を緩和する一方で、その履行確保を強化するなど、使い勝手のよい再建型倒産法制の構築を目指した。
手続を利用できる債務者の範囲については法律上の制限はなく、個人、株式会社その他の法人などが利用できるが、主として中小企業の再生に用いられることを想定している。上場企業その他の大企業も利用している。債務超過に陥っていなくても利用可能である。それと引き換えに、手続保証の観点から公告されたり、帝国データバンクや東京商工リサーチの倒産速報に掲載されるため、取引打ち切りや与信限度額の縮小、採用活動への悪影響など、事業価値の毀損に繋がることもある[1][2]。
基本的には従来の経営陣が事業の経営を継続する事が可能であるDIP(Debtor In Possession)型民事再生手続と、会社更生法や破産法と同様に従来の経営陣が事業の経営権を喪失し、管財人や保全管理人がその経営に当たる管理型民事再生手続がある。DIP型民事再生手続には、収益を元金にして債権者へ弁済を行う自力再建型、他の企業から支援を受けた上で再建を行うスポンサー型、申請前にスポンサー企業を決定した上で資金援助を受けるプレパッケージ型、申し立てた企業が手掛けていた事業の一部または全部をスポンサー企業や第三者である企業へ譲渡して清算手続に入る清算型がある[2]。DIP型民事再生手続に関しては、経営陣の刷新は法律上必須ではない。
一方で、再生計画を立案できず申請が棄却されたり、認可決定を受けても民事再生計画を履行できず破産に移行したり、スポンサー企業への事業譲渡や他社との合併、解散・廃業によって法人格が消滅するケースもある[1]。東京商工リサーチは民事再生法を申請した7988社を調査した結果、同一企業で事業を継続しているのは2133社にとどまっている事が明らかとなった他、民事再生法を申請した企業の内、2110社が破産法へ、46社が特別清算へ移行している[1]。
従来の和議法では、破産原因のあることが手続開始の要件とされていたため、手遅れ感があったが、民事再生法では「破産手続開始の原因の生ずるおそれ」又は「事業の継続に著しい支障を来すことなく債務を弁済できないこと」とされ、より早い時期に手続を開始することができるようになっている。
同法第2章以下に定めるところにより再生計画(同法154条)を定める手続を、「再生手続」という(同法2条4号)。実務上は、民事再生手続とも呼ばれる。
個人のための再生手続の特則として、小規模個人再生、給与所得者等再生の手続が設けられている。
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