核膜孔
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核膜孔(かくまくこう、英:Nuclear pore)とは、核の内外を連絡する穴である。真核生物の核膜の内膜と外膜が融合する場にあり、核と細胞質間の物質の移動はこの核膜孔を介して行われる。核膜孔には核膜孔複合体が位置し、これは8個のサブユニットが回転対称に配置された巨大なタンパク質複合体である。脊椎動物の細胞の核膜には約1000個の核膜孔複合体が存在するが、その数は細胞種や生活環の段階に依存して変動する[1]。
核から細胞質への移動にはRNAやリボソームタンパク質が、細胞質から核内への移動には核タンパク質 (DNAポリメラーゼやラミンなど)、炭水化物、シグナル伝達物質と脂質が含まれる。より小さな分子は孔を通って単純拡散するが、より大きな分子は特定のシグナル配列によって認識され、ヌクレオポリンと呼ばれる核膜孔複合体構成タンパク質の助けによって、核内または核外へ拡散する。各核膜孔複合体が毎秒1000個の輸送を行うことができることは特筆に値する[2]。ヌクレオポリンを介した輸送は直接的にはエネルギーを必要としないが、RANサイクルに関連した濃度勾配に依存する。