放射性トレーサー
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放射性トレーサー(ほうしゃせいトレーサー、英: radioactive tracer, radiotracer)は、放射性標識(ほうしゃせいひょうしき、英: radioactive label)とも呼ばれ、1つまたは複数の原子が放射性核種に置き換えられた化学物質である。その放射性崩壊を利用して、反応物から生成物に至る経路を追跡することにより、化学反応の機構を調査するために使用することができる。放射性標識(英: radiolabeling)や放射性追跡(英: radiotracing)という手法は、同位体標識法(英語版)(英: isotopic labeling)の放射性形態である。生物学的な分野では、放射性同位体トレーサーの使用は、放射性同位元素投与実験(英: radioisotope feeding experiments)と呼ばれることもある。
水素、炭素、リン、硫黄、ヨウ素の放射性同位体は、生化学反応の経路を追跡するために広く使用されてきた。放射性トレーサーは、細胞や組織など自然系内での物質の分布を追跡したり[1]、流体の流れを追跡するフロートレーサー(英語版)としても使用されることがある。また、天然ガス生産における水圧破砕法によって生じた亀裂の位置を特定するために、放射性トレーサーが使用されている[2]。放射性トレーサーは、PETスキャン、SPECTスキャン、テクネチウムスキャンなど、さまざまな画像診断システムの基礎をなしている。放射性炭素年代測定は、天然に存在する炭素14を同位体標識(英語版)として使用している。