名岐鉄道デボ800形電車
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名岐鉄道デボ800形電車(めいぎてつどうデボ800がたでんしゃ)[* 1]は、現・名古屋鉄道(名鉄)の前身事業者である名岐鉄道が、主に優等列車運用に供する目的で1935年(昭和10年)より導入した電車(制御電動車)である。
名岐鉄道デボ800形電車 名鉄モ800形電車(初代) | |
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モ800形810 (旧名岐デボ800形804) | |
基本情報 | |
運用者 | 名岐鉄道→名古屋鉄道[1] |
製造所 | 日本車輌製造本店[2] |
製造年 | 1935年(昭和10年)[2] |
製造数 | 10両[3] |
運用開始 | 1935年(昭和10年)4月[4] |
運用終了 | 1996年(平成8年)4月[5] |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 | 直流600 V(架空電車線方式) |
車両定員 | 120人(座席64人) |
自重 | 37.53 t |
全長 | 18,354 mm |
全幅 | 2,740 mm |
全高 | 4,173 mm |
車体 | 半鋼製 |
台車 | D16 |
主電動機 | 直流直巻電動機 TDK-528/5-F |
主電動機出力 |
93.25 kW (端子電圧600 V時一時間定格) |
搭載数 | 4基 / 両 |
駆動方式 | 吊り掛け駆動 |
歯車比 | 3.21 (61:19) |
定格速度 | 49 km/h(全界磁時) |
制御方式 | 電動カム軸式間接自動加速制御(AL制御) |
制御装置 | ES-509-B |
制動装置 | AVR自動空気ブレーキ |
備考 | 主要諸元は設計認可時[4]。 |
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同年8月には名岐鉄道(名岐)と愛知電気鉄道(愛電)の合併により現・名古屋鉄道(名鉄)が発足したため、同年4月に落成したデボ800形801 - 805の5両は名岐鉄道最後の新製車両となった。また、現・名鉄発足後の同年12月にはデボ806 - デボ810の5両が落成し[2]、デボ800形に属する車両は計10両となった[3]。
デボ800形は幕板部分を広く取った18 m級2扉車体・110 kW級主電動機(架線電圧1,500 V時)・電動カム軸式間接自動加速制御器・自動空気ブレーキなど、1950年代前半までに名鉄が導入した鉄道車両各形式に共通する基本仕様を確立した車両形式である[10][11]。デボ800形より始まったこれらの特徴を備える大型吊り掛け駆動車各形式は、後に「AL車」と総称されることとなった[12]。
現・名鉄発足後に実施された形式称号改訂にてデボ800形はモ800形(初代)と形式称号を改め[13]、後に同形の制御車ク2300形(初代)および付随車サ2310形の両形式が増備された[14]。これらは後年の各種改造を経て、最終的に制御電動車モ800形(初代)・制御電動車モ830形・制御車ク2310形の3形式に再編された[15][14]。前記3形式は800系と総称され[6][11][* 2]、モ830形は1980年(昭和55年)まで[16]、ク2310形は1988年(昭和63年)まで[17]、モ800形は1996年(平成8年)まで[18]、それぞれ運用された。
以下、本項においては、上掲3形式を総称する場合は「本系列」と記述し、また編成単位の説明に際してはモ800形およびモ830形の車両番号をもって編成呼称とする(例:モ800形801-ク2310形2311の2両で組成された編成は「801編成」)。