原子単位系
ウィキペディア フリーな encyclopedia
原子単位系(げんしたんいけい、英: atomic units)とは、原子物理学や量子化学において、物理定数を消去することで数式の表現を簡潔にするために用いられる単位系である[1][2][3]。1927年にダグラス・ハートリーによって提案された[3][4]。
原子単位系は電荷、質量、および作用を基本量とし、対応する基本単位をそれぞれ電気素量 e、電子質量 me、および作用量子 ħ に選ぶ単位系である[4]。 原子単位系が基づく量体系は、歴史的には静電単位系などと同じく3元系であり、一貫性のある長さとエネルギーの単位はそれぞれボーア半径 a0 = ħ2/mee2 とハートリーエネルギー EH = e2/a0 である[2][3][4]。 国際量体系と整合させる場合は、ボーア半径かハートリーエネルギーの一方を基本単位として選ぶことで4元系とすることができる。 したがって、原子単位系における一貫性のある時間の組立単位は ħ/EH で表現される[5]。
原子単位系には、エネルギーの基本単位としてハートリー(hartree または Eh)を用いるハートリー原子単位系の他、リュードベリ(rydberg または Ry)を用いるリュードベリ原子単位系[6]などが存在しこちらもしばしば用いられる。IUPACグリーンブック[7]では、ハートリー原子単位系を指すものとして原子単位系が説明されている。