全面腐食
金属の表面全体で均一に進行する形態の腐食 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
全面腐食(ぜんめんふしょく、英: general corrosion, uniform corrosion)とは、金属の表面全体で均一に進行する形態の腐食である[1]。均一腐食(きんいつふしょく)ともいう[1]。金属の腐食(特に湿食、水溶液腐食)は、この全面腐食と孔食・すき間腐食などの局部腐食に大別される。
金属の腐食は酸化反応を起こすアノードと還元反応を起こすカソードが対となって発生するが、全面腐食では金属表面の至る所に無数のアノードとカソードが発生・分布し、さらにアノードとカソードの位置が常時変動することで表面全体で均一的に腐食が進む。具体的には、海水中や屋外大気中の炭素鋼の腐食などが全面腐食の例として挙げられる。厳密に全面が均一に腐食する事例は少なく、実際にはある程度の不均一性があった上で全面腐食とみなされる。強い酸性溶液中の金属などは全面でほぼ均一に腐食する。
全面腐食が進行する速さは、腐食によって金属材料から減る質量や肉厚で評価される。錆などの腐食生成物が表面に付着する場合は、その表面保護効果によって全面腐食速度が遅くなる。全面腐食の進行は比較的予測しやすいことから、局部腐食に比べると実際に問題となる腐食損傷は少ない。得られている全面腐食速度データをもとに一定の全面腐食の発生を認めた上で、全面腐食で減る分を腐食しろとして部材肉厚に加えて設計することもある。全面腐食で腐食損傷問題に至るのは、どちらかと言えば設計、製造、運用のミスが原因であることが多い。