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日本の法律 ウィキペディアから
債権管理回収業に関する特別措置法(さいけんかんりかいしゅうぎょうにかんするとくべつそちほう)は、日本の法律。略称はサービサー法など。1998年10月16日に公布された。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
バブル崩壊後に大量に発生した不良債権を迅速に処理するために、民間企業の活力を利用することが本法の立法趣旨である。すなわち、立法目的は、特定金銭債権の処理につき、債権回収会社が業として特定金銭債権の管理・回収を可能とし、許可制度など必要な規制により業務の適正な運営の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に資することにある(1条)。1998年に議員立法された。
弁護士法では、弁護士又は弁護士法人以外の者が、業として、委託を受け又は譲り受けて債権の回収を行うことは非弁活動・非弁提携として禁じている(弁護士法72条、73条)。しかし、不良債権の効率的な処理のためには債権回収の担い手が弁護士のみでは不足であることから、弁護士法の特例として民間業者に債権回収業を解禁するとともに、暴力団等の介入を排除するためにこれを許可制とすると共に様々な行為規制を置いたものである。
サービサー(債権回収会社)とは特定金銭債権の管理及び回収を行う営業の許可を受けた株式会社をいう(2条2項、3項、3条)。「株式会社」とは日本法に準拠して設立された株式会社をいい、外国法人は債権管理回収業の許可を受けることはできない。
不良債権の処理を迅速に進めるという立法趣旨から、サービサーが取り扱うことができるとされている債権(特定金銭債権)は一定の範囲に限定されている。具体的には以下の通りである(2条1項各号)。
特定金銭債権にあたらないものとして、一般的な売掛代金債権や請負代金債権などが挙げられる。これらは流動化対象資産(2条1項8号、12号)になっていたり、ファクタリング業者が買い取ったものであったり(2条1項15号)、倒産手続中の者が保有している場合(2条1項16号)にあたらない限り、特定金銭債権にはならない。
また、貸付債権(2条1項1号)については、主体が限定されており、例えば貸金業者でない個人が貸し付けた貸金債権などはこれにあたらないことになる。
債権回収業務の性質上、債務者保護の観点から様々な行為規制が置かれている。
民法468条が受取証書の交付請求権を定めているのに対し、さらに一歩進んでそれをサービサーの義務として規定したものである。
受取証書の記載事項については規則9条に詳細な規定がおかれている。
民法467条が債権証書の返還請求権を定めているのに対し、これをサービサーの義務として規定したものである。
サービサーの業務従事者は、その業務を行うに当たり、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により相手を困惑させてはならない。
ここで「威迫」とは、脅迫に至らない害悪の告知等により相手方に不安の念を生じさせることいい、たとえば、以下の行為がそれにあたる(「債権回収会社の審査・監督に関する事務ガイドライン」。以下、「ガイドライン」と略記。)。
「私生活若しくは業務の平穏を害する言動」とは、社会通念上私生活や業務の平穏を害するに足りる言動をなす事をいう。
サービサーの業務従事者は、相手方の請求を受けた場合に、サービサーの商号や自己の氏名等を明示しなければならない。
サービサーの業務従事者は、一定の事項を記載した身分証を携帯しなければならない。
サービサーは暴力団員等を業務に従事させ、又は業務の補助者として使用することが禁止されている。
サービサーは、その業務に関して広告をするときは、一定の事項に関して、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
ここで、「著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示」とは、例えば以下のようなことをいう(ガイドライン3-2(6))。
サービサーは、債権回収を行うに当たり、債務者等との間で執行認諾文言付公正証書を作成することが考えられる。その場合、執行認諾文言付公正証書を得る目的で債務者等から委任状を取得することがありうるが、その際白紙委任状を取得することを許すと、サービサーが後日、白紙委任状に委任事項と異なる内容を記入して不正に使用する危険がある。そこでこのような危険を避けるため、委任状に記載すべき事項に関する規制が置かれている。
「偽りその他不正の手段」を用いるとは、債権者の保護に欠け、又は債権の管理・回収の適正を害するような偽計その他の工作を行うことをいい、例えば、以下のようなことなどをいう(ガイドライン3-2(7))。
平成13年改正までは、利息制限法の制限額を超える利息・賠償額の約定がされている特定金銭債権に関してはそもそもその履行を請求することが禁止されていた。平成13年改正によってこの点が改められ、利息制限法の制限額を越える利息・賠償額の支払いを要求することが禁止され、元本、および利息制限法上の制限利息に引き直した利息・賠償額については請求が認められるようになった。
なお、この引き直しの計算は債権の発生時点にまで遡る必要がある(ガイドライン3-2(8))。
サービサーは債務者等に対し、貸金業者からの借り入れ等の方法により弁済資金を調達することをみだりに要求してはならない。これは、結果的に債務者等の経済状態を悪化させるのを防止するためである。
サービサーは、債務者の親族等に、債務者に代わって債務を弁済することをみだりに要求してはならない。
サービサーは、債務者等が債務の処理を弁護士等に委託し、その旨の通知があった場合には、債務者に対して弁済要求することが禁止される。
サービサーは、委託者のために収受した弁済金とサービサーの財産とを明確に区別して保管しなければならない。
サービサーは、業務上の用途以外の用途に使用するために、債務者等の信用情報を収集し、又は収集した信用情報を業務上の用途以外の用途に使用してはならない。
サービサーはその営業所ごとに、法定の様式により作成した標識を公衆の見やすい場所に掲示しなければならない。
「公衆の見やすい場所」とは、営業所の内であるか外であるかは問題とせず、債権回収会社の営業所を訪れた一般人が容易に視認できるような場所に掲示がされていることをいう(ガイドライン3-2(11))。
サービサーは、債権の管理又は回収を他のサービサー又は弁護士(弁護士法人に)以外の者に委託してはならない。
サービサーは、債権譲渡の相手方が以下の者であることを知り、又は知ることができるときは、当該債権譲渡をしてはならない。
取立手数料や譲受代金の額に関する規制は置かれていない。これは、債権の譲渡人(原債権者)は専門知識を有する金融機関等であることが通常だからである。
債権回収会社は、その業務に関する以下の帳簿書類を作成、保存しなければならない(20条、規則15条1項)
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