低温電子顕微鏡法
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低温電子顕微鏡法(ていおんでんしけんびきょうほう、Cryo-electron microscopy、cryo-EM、クライオ電子顕微鏡法)は透過型電子顕微鏡法の一種で、試料を低温(多くの場合液体窒素の温度)において解析する手法である[1]。構造生物学や細胞生物学の分野において用いられる[2]。
生物学におけるクライオ電子顕微鏡法では、試料を染色せず、凍結することで「固定」して試料を観察する。このため、通常の染色や化学固定をして試料を作製する電子顕微鏡法と比べると、より生体内に近い試料の構造を観察出来ると考えられる。
電子顕微鏡のデータ収集や解析の方法により大きく、(1)単粒子解析法 (single particle analysis)、 (2) トモグラフィー、(3) 二次元結晶、(4) 三次元微小結晶 (micro electron diffraction) に分けることが出来る。特に(1)単粒子解析法は結晶化の困難なタンパク質についても近原子分解能での解析が可能となっており、ウイルス、リボソーム、ミトコンドリア、イオンチャネル、酵素複合体、膜タンパク質などの構造が得られている[1]。また、テスト試料については2 Å以上の解像度を持つ解析も行われている[3]。