二次性徴抑制剤
子どもの第二次性徴を遅らせる薬 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
二次性徴抑制剤(にじせいちょうよくせいざい、思春期ブロッカーとも呼ばれる)は、子どもの第二次性徴を遅らせる薬である。主にGnRHアゴニスト(英語版)が使用され、アンドロゲンやエストロゲンといった性ホルモンの産生を抑制する[1][2][3]。二次性徴抑制剤は、第二次性徴による望まない体の変化を遅らせるためにトランスジェンダーの子どもに使われており[4]、患者は時間をかけてジェンダー・アイデンティティを模索することが可能となる[5]。また二次性徴の発達に伴って生じる可能性のある苦痛を軽減することが期待される[6]。この薬は思春期早発症の子どもや、成人におけるホルモン感受性のがん、子宮筋腫の治療にも用いられている[7][8][9]。
トランスジェンダーの若者に対する二次性徴抑制は、アメリカ医師会[10]、アメリカ心理学会[11]、アメリカ小児科学会[12]を含むアメリカのすべての主要な医学会およびオーストラリアの4つの医学団体[13]、内分泌学会[14]、ヨーロッパ性医学学会[15]、世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会(英語版)(WPATH)[16]から支持されている。
2020年代になり、二次性徴抑制は政治的論争の的となっている。2024年5月までにアメリカの25の州で二次性徴抑制は禁止され[17]、一部では犯罪化された[18][19]が、連邦政府は規制にいたる根拠が不十分であるとし、複数の州で法律の施行を阻止している[20]。