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この項目では、複素解析におけるピカールの定理について説明しています。微分方程式論におけるピカールの存在定理については「ピカール=リンデレーフの定理」をご覧ください。 |
ピカールの定理(英: Picard theorem)は、複素解析における定理。大定理と小定理があり、エミール・ピカールによって1878年に小定理が、1886年に大定理が証明された。
背理法による。でであればで
である。
とする。が真性特異点であれば、カゾラーティ・ワイエルシュトラスの定理により
が存在するので
とする。
であるからはで正則である。であるからは正則であり、である。であるからは正則であり、である。故には正則であり
である。従って、任意のについて、が根を持たないが存在する。を固定して
とする。はで正則であり、が根を持たないが存在する。であるから
- :\;|u|<1,(1-|u|)\left|H'(u)\right|\geq {1}\}}
は空でない。の中で絶対値が最大のものをとして
とする。
はで正則であり、が根を持たないが存在する。
これを微分すると
となる。である。 の最大値は、最大値の原理により
である。
であるから、シュワルツの補題により であり、積分すると
となる。任意の について
とすれば の上でであるから、ルーシェの定理によりとはの中に同数の根を持つが、 が根を持つからも根を持たなければならない。そのためには
でなければならない。とすればとなり、によりであるから
となり
となるが
- :\;|z_{2}|<|z|<e^{-60\pi }\}}
であり
であるから、最大値の原理により
でなければならない。故に逆の仮定は矛盾を孕む。