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リヒャルト・ワーグナー作曲のオペラ ウィキペディアから
『ニーベルングの指環』(ニーベルングのゆびわ、ドイツ語: "Der Ring des Nibelungen")は、リヒャルト・ワーグナーの書いた楽劇。ワーグナー35歳の1848年から61歳の1874年にかけて作曲された。ラストから発表され、4部作完結まで26年。上演に約15時間を要する長大な作品であるので、少なくとも4日間をかけ、新演出を普通1曲しか出せない為、通して演奏することはあまりないが、ドイツのバイロイト祝祭劇場で毎年行われる音楽祭の際やヨーロッパのAクラスのオペラ・ハウスでは目玉作品としてよく上演される。
当初は北欧神話の英雄であるシグルズの物語をモチーフとした『ジークフリートの死』として着想したが、次第に構想がふくらみ現在の形となった。
4日間の内訳は以下の通り[注 1]
作曲にあまりにも時間がかかりすぎていたため、ワーグナーの支援者であったバイエルン王国の国王ルートヴィヒ2世は出来たものから上演するよう催促した。ワーグナーにしてみれば非常に不本意なことであったが、経済的な問題もあり、仕方なく『ラインの黄金』と『ワルキューレ』の先行上演を了承した。『ラインの黄金』は1869年9月22日に、『ワルキューレ』は1870年6月26日にいずれもミュンヘン宮廷歌劇場で、フランツ・ヴュルナーの指揮によって初演された。
1876年8月13日、第1回バイロイト音楽祭にて。ハンス・リヒター指揮。ルートヴィヒ2世、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世、ブラジル皇帝ペドロ2世、またフランツ・リスト、アントン・ブルックナー、ピョートル・チャイコフスキーらの音楽家などの観衆を集めて上演された。『ジークフリート』と『神々の黄昏』はこの時が初演となる。
「ミュンヘンでの舞台より見栄えが悪かった」という論評もあり、舞台評や収支の面で俗に言う「こけた作品」となってしまい、ワーグナー自身鬱になり、音楽祭自体もしばらく開かれなかった。
『ラインの黄金』が1969年に若杉弘指揮、二期会メンバーにより[1]、『ワルキューレ』が1967年に大阪で開催されたバイロイト・ワーグナー・フェスティバルにてトーマス・シッパーズ指揮NHK交響楽団、ジェス・トーマス、アニャ・シリヤなどにより[2]、『ジークフリート』が1983年に二期会メンバーにより[3]、『神々の黄昏』は後述の朝比奈隆指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団などにより行われた。
前述の『神々の黄昏』初演を含む1984年から1987年にかけて1年1作ペースで行われた朝比奈隆指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団などによるオール日本人キャストによる演奏会形式での上演を初演と見なすか、1987年に来日公演を行ったヘスス・ロペス=コボス指揮・ベルリン・ドイツ・オペラによる上演[4]を初演と見なすか、2通りの見方があるが、基本的には連続して演奏された後者を日本初演扱いにすることが多い。
その後も日本で『指環』が上演される時はだいたい4年がかりで完結させることが多い。
3部作、舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』は序夜『ラインの黄金』、第1日『ワルキューレ』、第2日『ジークフリート』、第3日『神々の黄昏(たそがれ)』から成立している。
本作品は、並外れたスケールと領域の作品である。指揮者のペース配分にも依存するが、全体の演奏時間は約15時間ほどであり、4夜に渡って演奏される。最も短い『ラインの黄金』でも約2時間半ほどで、最も長い『神々の黄昏』では最長4時間半(休憩を除く)ほど続く。さらに、第1・第2ヴァイオリン各16、ヴィオラ、チェロ各12など、108名による大管弦楽団の編成によって演奏される。
物語のスケールと領域は叙事詩である。全世界の支配を可能とする魔法の指輪をめぐる、神、英雄、神話上のいくつかの生物の戦いの物語で神々の黄昏、天空の城ヴァルハラの炎上、地上のラインの洪水まで、ドラマと陰謀は、ヴォータンの支配する天上の神々の世界で、地上の人間界の世界で、地下のニーベルング族の住むニーベルハイムで、3世代にわたって続き、最後に神々の世界の灰から真の愛がよみがえる。
本作品の音楽は、重厚で雄大な感触があり、サイクルが進むに連れて複雑になっていく。
(R:ラインの黄金、W:ワルキューレ、S:ジークフリート、G:神々の黄昏)
全4部を通じて共通であり、完全な4管編成である。
フルート3、ピッコロ、オーボエ3、イングリッシュホルン、クラリネット3、バス・クラリネット、ファゴット3(ところによって出ない音域にコントラファゴットを使用)、ホルン8(うち4はワーグナーチューバに持ち替え)、トランペット3、バストランペット、トロンボーン3、コントラバストロンボーン、コントラバスチューバ、ティンパニ2人、打楽器奏者3人(シンバル、中太鼓、鉄琴、トライアングル、ハンマーなど)、ハープ6、弦5部(16型で第1ヴァイオリン16、第2ヴァイオリン16、ヴィオラ12、チェロ12、コントラバス8)、総計108名。更に鉄床12などのバンダなどが加わる。
以下の場面の音楽は演奏効果が高く、しばしばコンサートでもとりあげられる。
※印は管弦楽だけでなく、通常歌手の独唱を伴う。ただし場合によっては管楽器などにパートを置き換えて、管弦楽のみで演奏することもある。 また『ワルキューレ』第1幕は、3人の歌手で上演可能なこともあり、演奏会形式でよくとりあげられる。
管弦楽編曲版はいくつかあり、ロヴロ・フォン・マタチッチは1967年に自身の編曲による「神々の黄昏 組曲」をチェコ・フィルハーモニー管弦楽団と録音したほか、NHK交響楽団との定期公演でも取り上げた。ジョージ・セルは1968年に50分程に編曲した「ニーベルングの指環・ハイライト」をクリーヴランド管弦楽団と録音。ヘンク・デ・フリーヘル(Henk de Vlieger)による管弦楽編曲版「オーケストラル・アドヴェンチャー」(1992年エド・デ・ワールト指揮・オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団で初演)は、次の14曲を60分程度に抜粋・編曲している。
ワールトが2009年にNHK交響楽団を指揮した際には『ラインの黄金』の4曲をカット、「ブリュンヒルデの自己犠牲」にソプラノ・ソロを加える指揮者自身によるアレンジを行っている。
音楽・音声外部リンク | |
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派生音楽作品を試聴 | |
ゾンターク『ニーベルンゲン行進曲』 - ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管楽アンサンブルによる演奏、ユニバーサル・ミュージック提供YouTubeアートトラック | |
フォーレ/メサジェ『バイロイトの思い出』 - Pierre-Alain VolondatとPatrick de Hoogheによるピアノ連弾、ナクソス・オブ・アメリカ提供YouTubeアートトラック |
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