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『テンピの聖母』(テンピのせいぼ、独: Madonna Tempi、英: Tempi Madonna)は、イタリアの盛期ルネサンス期の画家ラファエロ・サンティによるポプラ板上の油彩画である。ラファエロのフィレンツェ時代末期の1508年に制作された[1][2][3]。17世紀にフィレンツェのテンピ家にあったために、この名で呼ばれる[1]。1829年に、バイエルンのルートヴィヒ1世が20年間にわたる交渉の末に購入した[3][4]。作品はミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されている[1][2][3][4]。
いわゆる「愛撫の聖母」の図像は中世からあるが、優しいながらも諦観の念を隠さない聖母マリアの視線や、幼子イエス・キリストをしっかり抱きしめて頬ずりをしている[2]密着した描き方など、これほどまでに強い愛情で描かれた聖母像はかつてなかった[1]。完璧な衣装表現とともに、美術史上における最も麗しい理想的な聖母子像の1つである[2]。
この作品の背後には、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとするフィレンツェの優れた美術的成果がある[2]。聖母子像の回転する立ち位置などでは、ドナテッロの『話す新生児の奇跡』 (イタリア語: Miracolo del neotato che parla) の聖母子像に影響を受けている[1]。
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