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スネアドラムは、打楽器の一つ。両面太鼓の一種であり、膜鳴楽器に分類される。サイドドラムとも呼ばれる。バスドラムを大太鼓というのに対し、スネアドラムを小太鼓ということもある[1]。
スネアドラムの名称は、英語でsnare wireと称する細いコイル状の金属線が主に底面の膜に接するように張られ、これが振動する膜に副次的な打撃を与えて独特の音響を発揮することに由来する。金属線は底面の膜以外にも打面の膜に取り付けられることもある。日本ではこの金属線を「スナッピー」「響き線(ひびきせん)」とも呼ぶ。日本語で「小太鼓」とも呼ぶが上記の通りスナッピーを備えた太鼓を示す言葉で有り、一般的に小さい太鼓を示す言葉ではない。
必須ではないが、機械的に金属線と膜との接触を解除する機構がついている場合があり、トムトムとして使うことが出来る。また、スネアドラムを使っていないときの他の楽器からの振動によって不要な音を出さないこともできる。
古来、西洋の軍楽隊などで伝統的に用いられ、後にはオーケストラ、ブラスバンド、吹奏楽といった編成の楽団にも加えられる。ドラムセットの重要な構成楽器でもある。
打面は他の太鼓同様、本来は動物の皮であったが、今日では主にプラスチックフィルムが使われる。他の両面太鼓と違い、裏側に打面と比べてきわめて薄い鼓膜を用いることが特徴で、響線の効果を高めるよう工夫されている。
打面のプラスチックフィルムは、表面が滑らかでツルツルな「クリアヘッド」と、ざらつきを持たせるために表面を加工した「コーティングヘッド」がある。ジャズなどでワイヤーブラシを用いて擦って演奏する場合、このコーティングヘッドでないと摺動音が出せない。
ブラスバンド、吹奏楽、マーチングなどでも花形楽器の一つであり、マーチングの場合、今日ではキャリングホルダーを用いるのが一般的。テンポを整える中心的存在なので、パレードなどでの縦隊では中央、ドリルなどにおける横隊では列の後方で演奏することが多い。
ルーディメンツと呼ばれる基礎奏法が存在する。マーチング、ドラムコーで現在も発展してきている。
スティック(ばち)の握り方に2種類が存在する。
右手はスティックに対して上から持つ通常の握り方だが、左手は親指と人差し指で挟み込むように持つ、左右非対称の持ち方。トラディショナル(伝統的な)・グリップとも呼ぶ。 古来スネアドラムは軍隊の行進などに用いられていたが、このとき、奏者のベルトの右側に吊るすように装着していたため、演奏中に打面が右側へ傾斜する。このため、左右対称の持ち方だと演奏しづらいため、左側を上記のように持つレギュラー・グリップが定着した。 現在では後述するマッチド・グリップを利用する奏者が大半だが、クラシックやジャズドラマーを中心に、この奏法を好む奏者も多い。
レギュラー・グリップが左右非対称であるのに対し、両手ともにスティックに対して上から持つ握り方。立奏用スタンドやドラムコーでのベルトなどの機材の発達により、打面を水平にして演奏することが可能となってきたため、現在ではこの奏法が主流となっている。特にクラシックにおいては、スネアドラム以外の楽器は基本的にマッチド・グリップであるため、他の楽器を演奏する際に有利である。
一回の手の動きで一つの打音を出す。すべての基本となる奏法。
一回の手の動きで二つの打音を出す。1打目は一つ打ちと同様に打面を叩き、その反動で跳ね返ってくるスティックを握るような感覚で指をうまく利用し2打目を得る。
管楽器のような持続音を得るための奏法。下記の方法がある。
シングル・ストロークの打音の直前に、反対側のスティックで装飾的な小さな音を鳴らす。 奏法としては、左右のスティックの高さを非対称にし、同時に落とし演奏する。
上記の奏法を組み合わせた基礎奏法がルーディメンツとして体系付けられている。音楽的な表現手法として重要であり、また基礎練習の題材としても広く用いられている。
タムタムやバスドラムと比較してスネアドラムはシェルに用いる材質が多彩で、これら材質の違いによって音色の差が存在する。各メーカーごとに独自の合金を用いる場合もあるが、ここでは金属を含めた材質の一例を列挙する。
金属
木材
その他
通常のヘッド部分をスティックで叩く音以外にも、いくつかのスネアドラム特有の打音を発生させることができる。
キャリングホルダー(「キャリア」「キャリング」などとも略される)と呼ばれる器具を用いて奏者の体に装着し、歩きながら演奏する。スネアドラムは通常1人ではなく数人(10人以上になることもある)で同じフレーズを同時に演奏する。この際、様々なトリック、ギミックを演奏に取り入れる場合がある。屋外で演奏するため通常より音を遠くまで聴かせる必要があり、また複数人数で演奏する際に音を可能な限り揃える目的もあって、通常のスネアドラムより胴を深く高いピッチにチューニングできるように強化された「マーチングスネア」を用いる。
一般的なマーチングは複数人数で演奏されるが、マーチングスネアはルーディメンツや様々なギミック・プレイを組み込むことによるショー的な部分も多く、ソロとしての演奏も盛んである。DCI,PAS主催のソロコンテストが毎年行われている。
練習時やソロ演奏では「マーチングスネア」は一般的なスネアドラムのようにスタンドに取り付けて演奏することがある。伝統的なドラムコーのスタイルではキャリングホルダーを使わずにベルトで体に取り付ける場合もある。
幼児用など若年者用の「マーチングスネア」は軽量にするために一般的なスネアドラムの胴を長くし、キャリングホルダーに対応した物もある。
演目や行事によっては、一般的なスネアドラムをキャリングホルダーやベルトに取り付け歩きながら演奏することもある(本項写真の『スネアドラムを叩く人』では、通常のスネアドラムをマーチング用として使っている。手前の奏者はキャリングホルダーを、その後ろはベルトを使って取りつけている。)。
そもそも、スネアドラム奏者が一人で様々な音が出せるように楽器が増えていき、現在のドラムセットになったといえるため、ドラムセットにおけるスネアドラムの役割も非常に大きい。いわゆるロック・ドラムでは2拍・4拍目のバックビートを強調するために必ずといっていいほどスネアドラムが用いられている。
S.D.やSnare、Side drumなど。
他
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