サイマティクス
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サイマティクス(英: cymatics)とは、砂や水などの媒質によって物体の固有振動や音を可視化すること、またはその現象の研究[1][2]。この語はギリシア語で波を意味する κῦμα に由来し、人智学思想を信奉していたスイス人のハンス・ジェニー(1904年-1972年)によって考案された。
サイマティックな現象を観察する一般的な方法は、平板や膜、ダイアフラム(振動板)などを振動させ、その表面に撒かれた粒子やペースト、液体などを動かすことによって、振動変位が大きい場所と小さい場所を可視化するというものである[2]。この方法で現れるパターンは板の形状と励振周波数によって変化する。
実験には必ずしも高度な機器を必要としない。たとえば、中国に古くから伝わる魚洗鍋(中国語版)では、青銅製の器に水を注いで取手を摩擦すると、器の底で振動が起きて水が吹き上がる[3]。また18 世紀にエルンスト・クラドニがいわゆるクラドニ図形を作成したときは、板を振動させるのに弦楽器の弓が用いられた。