ゲーリュオーン
ギリシア神話の怪物 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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ゲーリュオーン(古希: Γηρυών, Gēryōn)は、ギリシア神話に登場する怪物である。クリューサーオールとカリロエーの子で[1][2]、エキドナと兄弟[3]。
ゲーリュオーンはアイスキュロスおよびラテン語による表記で、叙事詩中ではゲーリュオネウス(Γηρυονεύς, Gēryoneus)、イオーニア・アッティカ散文作品やアリストパネース、ピンダロスなどではゲーリュオネース(Γηρυόνης, Gēryonēs)、ステーシコロスの抒情詩では Γαρυόνας 、カルキディアの壺絵の表記では Γαρυϝόνης' となっている。エトルリア語ではケルン(Cerun)。日本語では長母音を省略してゲリュオン、ゲリュオネウス、ゲリュオネスとも表記される。
ゲーリュオーンの最大の特徴はその形態で、三頭[4]、または三頭三体の怪物であるとされた[5][6][7]。古注によると、ステーシコロスはゲーリュオーンには6つの腕、6つの脚があり、そして翼が生えていた、と歌っていたらしい。アポロドーロスはさらに詳細に、「三人の男の身体が腹で一つになっていて、脇腹と太腿からは三つに分かれた身体を持っていた」と叙述している[8]。
ステーシコロスによるとゲーリュオーンは鎧兜をつけ、盾と槍でもって武装する古代ギリシア市民の重装歩兵の格好をしていた。対照的にヘーラクレースはライオンの皮一枚を身にまとい、武器は棍棒か弓矢、剣といういでたちだった。この対比は多くのギリシア美術に表現されている。ゲーリュオーンの牛獲りは古代ギリシアで非常に好まれたモチーフで、130ほどの事例が知られている。