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アノマー効果
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有機化学において、アノマー効果(アノマーこうか、英: anomeric effect)あるいはエドワード=レミュー効果(Edward-Lemieux effect)は、立体電子効果の一つである。シクロヘキサン環内のヘテロ原子に隣接するヘテロ原子性置換基が、立体的考察から予測される障害の少ないエクアトリアル配置ではなくアキシアル配置を好む傾向を説明する[1]。1955年に、J・T・エドワードによってピラノース環において初めて観測された。
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「アノマー効果」という用語は1958年に導入された[2]。この名称は、ピラノースのC-1位炭素を指定する用語である「アノマー」炭素から来ている。アノマー炭素における立体配置のみが異なる異性体は「アノマー」と呼ばれる。グルコピラノースのアノマーはジアステレオマーである。β-アノマーはエクアトリアル位にOH基を持ち、α-アノマーはアキシアル位にOH基を持つ。
アノマー効果は、一般式C-Y-C-X(Yは1つ以上の非共有電子対を持つヘテロ原子、Xは電気陰性原子あるいは基)を持つシクロヘキシルあるいは鎖状系にも一般化することができる[3]。アノマー効果の度合いは糖の場合はおよそ1~2 kcal/molと見積られるが、全ての分子で異なる。
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上図の場合、シクロヘキサン環(上)上のメトキシ基はエクアトリアル位を好む。しかしながら、テトラヒドロピラン環(下)では、メトキシ基はアキシアル位を好む。これは、シクロヘキサン環ではYが炭素(ヘテロ原子ではない)であるためで、この場合はアノマー効果は観測されず、立体効果が支配的である。テトラヒドロピラン環では、Yがヘテロ原子の酸素であるため、アノマー効果が置換基の配向に寄与し、安定化する。どちらの場合もX = OMeである。
アノマー効果はYが酸素の時に最もよく観測されるが、環内に窒素、硫黄、リンといった非共有電子対を持つその他のヘテロ原子がある場合も見られる[4]。アノマー効果が安定化に寄与する具体的な方法は論点となっており、複数の仮説がこれまでに提唱されている。