ひっつき虫
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ひっつき虫(ひっつきむし)は、動物の体やヒトの衣類に張り付いて分布域を広める種子散布様式をもつ植物の種子(果実)の俗称[1]。表面に独特の構造(フックや逆さトゲなど)または粘液をもつ[1]。くっつき虫ともいう。広島ではひっつきもっつき、秋田ではあばづぎ[2]、広い地域でばか、どろぼうなどの呼び名がある[3][4]。英語ではburもしくはburrと呼ばれる
運ばれるのは種子そのものではなく、散布体としての果実や、あるいは小穂である場合が多い。しかしたいてい果肉は薄く、日常感覚では種子と捉えられるものが多いため、ここでは区別なく一括して種子として説明する。
通常、植物は自ら動くことができないため分布域を広げることができるのは花粉か種子のときに限られる[1]。ひっつき虫は動物(哺乳類の毛、鳥類の羽毛)やヒトの衣類にくっついて分布域を広める草の種子である[1][5]。付着の程度は簡単に払い落とせるものから比較的強力なものまである[5]。山林や原野などを歩いたあとに、衣服や動物の体にこれらの種子が引っかかっていることが多い。動物側には利益はなく、場合によっては付着装置である針や鉤によっていやな思いをしたり、傷がつくこともある。