語源
Hinde (1904) は英語 star に対応するキクユ語「ジョゴウィニ方言」(Jogowini dialect)の訳語として njata を記録している[1]。なお、これに対応するカンバ語は ndata、スワヒリ語は nyota とされている[1]。
発音(?)
- Armstrong (1940:254,256) によると孤立形の声調パターンは最も低い音節を1とすると「2、2」であるが、前に nĩ を置いて Nĩ njata.「星である。」と言い切る場合は nĩ を含めて「2、1、1」、前に ti を置いて Ti njata.「星ではない。」と言い切る場合は ti を含めて「2、2、1」となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによって声調の変動が見られる。Benson (1964:xxiv–xxv) によると孤立形の声調パターンは「2、2」であるが、前に nĩ を置いて Nĩ njata. とする場合は nĩ を含めて「2、1、1(中)」、前に ti を置いて Ti njata. とする場合は ti を含めて「2、下降、1(中)」となる。Armstrong (1940) ではこの名詞を代表例とした gĩtara、thĩrĩga などと同じ「njataクラス」という声調クラスに分類されている[2]。Benson (1964) では声調クラスの分類は「クラス7」で、他に同クラスの2音節語幹語には kĩmitũ などがある[3]。
- 〔リムル方言〕湯川 (1981:81) によると孤立形は [ɲ̀dʑátá] であるが、後ろに ĩno〈この〉が続く場合は [ɲ̀dʑátà ènɔ́]、yakwa〈私の〉が続く場合も [ɲ̀dʑátà jáákòà]、後ろに nĩ がある場合も [ɲ̀dʑátà né] で、前に nĩ がある場合は [né ɲ́dʑàtà]、前に ti がある場合は [tì ɲ́dʑátà] となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによってアクセントの変動が見られる[4]。なお、ti の高さについてはリムル方言と同じくキアンブ方言に属するナイロビ方言を調査した湯川 (1985:199) で高いと訂正されている[5]。
- 〔ナイロビ方言〕湯川 (1985:194,197,200) で孤立形、後ろに yakwa が続く場合、 前に nĩ や ti がある場合の分析が行われているが、ti が明確に高声調とされている点を除けば、いずれもリムル方言と同様である[5]。
脚注
Armstrong, Lilias E. (1940). The Phonetic and Tonal Structure of Kikuyu. Rep. 1967. (Also in 2018 by Routledge).