酸化銀(I)

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酸化銀(I)

酸化銀(I)化学式Ag2Oで表される化合物の一つ。黒から褐色の細かい粉末で、他の銀化合物の調製に用いられる。

概要 識別情報, 特性 ...
酸化銀(I)
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識別情報
CAS登録番号 20667-12-3 
PubChem 9794626
ChemSpider 7970393 
EC番号 243-957-1
MeSH silver+oxide
RTECS番号 VW4900000
特性
化学式 Ag2O
モル質量 231.74 g mol−1
外観 黒から褐色の固体
匂い 無臭[1]
密度 7.14 g/cm3
融点

300 °C, 573 K, 572 °F (200℃以上で分解を始める[2][3])

への溶解度 0.013 g/L (20℃)
0.025 g/L (25℃)[4]
0.053 g/L (80 °C)[2]
溶解度平衡 Ksp(AgOH) 1.52·10−8 (20℃)
溶解度 塩基に可溶
エタノールに不溶[4]
構造
結晶構造 立方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −31 kJ/mol[5]
標準モルエントロピー So 122 J/mol·K[5]
標準定圧モル比熱, Cpo 65.9 J/mol·K[4]
危険性
安全データシート(外部リンク) Material Safety Data Sheet
GHSピクトグラム 支燃性・酸化性物質急性毒性(低毒性)[6]
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H272, H315, H319, H335[6]
Pフレーズ P220, P261, P305+351+338[6]
EU分類 酸化剤 O 刺激性 Xi
NFPA 704
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Rフレーズ R36/37/38
Sフレーズ S17, S26, S36
半数致死量 LD50 2.82 g/kg (ラット、経口)[1]
関連する物質
関連物質 一酸化銀
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
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合成

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水酸化リチウムと希薄な硝酸銀との反応

銀イオン Ag+ を含む水溶液に水酸化物イオン OH を含む物質を加えることで沈殿として得られる。具体的には、硝酸銀とアルカリ金属水酸化物等を用いて合成できる[7]。この反応では水酸化銀が生成するが、これはすぐに分解して酸化銀(I)と水になる[8]

(pK = 2.875[9])

構造と性質

要約
視点

酸化銅(I)と同一の結晶構造を持つ。このために、化学反応によるものを除いてはあらゆる溶媒にほぼ不溶となっていると考えられる[10]。水にはAg(OH2)
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のような加水分解産物を生成してごくわずかに溶ける[11]

Ag2O懸濁液は次のように酸と反応する。

HX = HFHClHBrHIHO2CCF3

アルカリ塩化物水溶液と反応すると、対応するアルカリ水酸化物と塩化銀(I)が生成する[12][11]

アンモニア NH3チオ硫酸イオン S2O2−
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の水溶液には以下のように反応し溶解する。それぞれジアンミン銀(I)イオン、ビス(チオスルファト)銀(I)酸イオンといった錯イオンを生じる。

多くの銀化合物と同様に感光性である。また、280℃以上では酸素に分解する[10]

利用

有機化学では温和な酸化剤として利用され、例えばアルデヒドのカルボン酸への酸化に用いられる[13]。この場合は、硝酸銀とアルカリ水酸化物によってin situ で調製されることが多い。また、一酸化銀 Ag4O4と同様に酸化銀電池に用いられる。

微細な電子回路の製造時に導電性材料として銀粉が用いられることがあるが、より粉末化の容易な酸化銀を用いて、加熱することで導電性の銀に変換する手法が開発されている[14]

脚注

関連項目

外部リンク

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