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韓国の小説家 ウィキペディアから
成 碩濟(ソン・ソクチェ、성석제、1961年 - )は、韓国の小説家。慶尚北道尚州市出身[1]。
1994年から本格的に小説を書き始めた。人生の根源と存在の根本を探求した『見知らぬ道に聞く』(1991)、 悲劇と喜劇が入り混じった普通の人々の生活の姿を提示した『黒い雌牛の天国』(1997)などの作品を発表した。初めての詩集では、叙事性が目立っていたが、その後は叙情性が強い詩集を発表している。
成碩濟は諧謔と風刺、あるいは誇張と滑稽などを通して人間の様々な局面を描いている作家として有名である。彼のその諧謔には、カーニバル的な要素がある。言語のカーニバル化というのは、ラブレーの小説での数字が使われる方式と類似していると言える。バフチンは、ガルガンチュアがノートルダム大聖堂の鐘塔で小便をして、それでパリの市民を殺すというエピソードについて話した。そこには死亡者の数を正確に明記したところがある。それは、ラブレー小説の形而上学的な破壊効果である。喜劇的な効果を強化して、遊戯精神に徹した小説のテキストを生み出すことに一役買っている。笑いと共に、秩序を引っくり返そう。カーニバルは、愉快な転覆であり、会話は心と心の通じ合いである。階級的で公式的な既存文化の空間の中で、転覆的で滑稽なカーニバルは、民衆に楽しさをもたらす。バフチンがカーニバルから見つけ出したのは、人間が自分自身を理解して世界を理解するやり方であった。人間は他人に照らされた自分の姿を見てはじめて自分自身のことが理解できるのであるといった。
成碩濟は「왕을 찾아서(王様を求めて)」「위풍당당(威風堂々)」「조동관약전(ジョ・ドングァンの略伝)」「도망자 이치도(逃亡者のイ・チド)」などの男性叙事小説において、男性神話のあだ夢とそのあだ夢の喜劇を描いている。男性英雄小説をパロディしたり、転覆するところから出発している。冒険活劇こそ常套的な叙事構造をもっているといえる。
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