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化学合成生物(かがくごうせいせいぶつ Chemotroph)は、周囲環境にある電子供与体の酸化によってエネルギーを得る生物である。化学栄養生物とも言う[1][2]。 使う分子は有機物の場合もあるし無機物を使う例もある。前者の場合は化学合成有機栄養生物(chemoorganotroph)、後者の場合は化学合成無機栄養生物(chemolithotroph)と言う。化学合成生物は、太陽光エネルギーを利用する光合成生物と対比する呼称である。
化学合成独立栄養生物(Chemoautotrophs, chemotrophic autotroph)は、化学反応からエネルギーを得ることに加えて、必要な全ての有機化合物を二酸化炭素から合成する。化学合成独立栄養生物が利用するエネルギー源は、硫化水素、硫黄、酸化鉄(II)、水素分子、アンモニアなどがある。ほとんどは真正細菌か古細菌で、往々にして熱水噴出口のような極限環境に棲息しており、その生態系の一次生産者である。 化学合成独立栄養生物は一般的にいくつかのグループに分類される。メタン菌、メタン酸化菌、硫黄細菌、水素細菌、鉄酸化菌、硝酸菌、亜硝酸菌、アナモックス菌(anammox=「嫌気性アンモニア酸化」)。化学合成無機栄養生物の成長は劇的に早いことがある。チオミクロスピラ属の Thiomicrospira crunogena は、およそ1時間で分裂する[3]。
化学合成従属栄養生物(Chemoheterotrophs, chemotrophic heterotrophs)は、有機物を作るための炭素固定の能力を持たない。化学合成従属栄養生物は、無機物質からのエネルギーを利用する化学合成無機従属栄養生物(chemolithoheterotrophs)である場合もあり、たとえば硫黄などの無機物をエネルギー源とする。一方で、炭水化物、脂質、タンパク質などの有機物をエネルギー源とする化学合成有機従属栄養生物(chemoorganoheterotrophs)に当たるものもある[4][5][6][7]。
深海において、鉄バクテリア(鉄酸化バクテリア)は、鉄(II)を鉄(III)に酸化することでエネルギーを得ている。この反応によって得られた電子が細胞のエネルギーとなり、光合成などで行われる光によるエネルギー獲得(phototrophism)の代わりになる。
マンガン酸化バクテリアは、火成岩をほぼ同じような方法で使用する。マンガン(II)をマンガン(IV)に酸化するのである。海洋地殻中においては、マンガンは鉄よりはるかに少ない。しかし、火成岩のガラス成分から取り出すことはより容易である。さらに、マンガンの酸化においては、2個の電子が得られるので、鉄を酸化するときよりも倍のエネルギーが得られる。マンガン酸化バクテリアに関しては、研究や記録があまり無いので、未知の部分が多く残されている。
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