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優先度付きキュー(ゆうせんどつきキュー、英: priority queue)は、以下の4つの操作をサポートする抽象データ型である。
優先度付きキューを実装する最も簡単な方法は、連想配列を用いて、それぞれの優先度に要素のリストを繋げることである。連想リストやハッシュテーブルを連想配列の実装に用いた場合は、要素の追加はO(1)であるが、要素の削除や先頭の参照にはすべてのキーを探索しなければならないのでO(n)かかる。もし、平衡2分探索木を使用した場合は、上記の3つの操作をO(log n)で行うことができる。平衡木は用意されているが、それ以上のものは用意されていない場合は、これが一般的な方法である。 Van Emde Boas treeは連想配列の一種で、上記の3つの操作をO(log log n)で行うことができるが、キューの空間コストがO(2m/2)かかる。ここで、mは優先度を表現するために必要なビット数である。
上記のアプローチよりも性能がよかったり、より多くの操作を提供するヒープデータ構造は多い。
STLにはコンテナアダプタとしてpriority_queueが存在する。同じ優先度を持つ2要素の順番は定義されていない。C++の抽象データ型の定義に準拠しているが、イテレータによる要素へのアクセスを認めていないため、コンテナとしての要件は満たさない。実装はコンパイラ依存であり、GCC (libstdc++-v3)では二分ヒープが採用されている[1]。
g++拡張のPBDSには内部データ構造を選択可能なpriority_queueが存在し、デフォルトはペアリングヒープである[2]。
java.util.PriorityQueue
が標準クラスライブラリにあり、二分ヒープで実装されている。
Java 8 現在、計算量は以下の通り[3]。優先度の変更は API が無いので 先頭以外の削除 → 追加 で実装できるが、先頭以外の削除が一般的な二分ヒープよりも計算量が多いことに注意。ダイクストラ法などで使う場合は違う実装を使った方が良い。
操作 | メソッド名 | 最悪計算量 | 平均計算量 |
---|---|---|---|
先頭の参照 | peek | O(1) | O(1) |
要素数の取得 | size | O(1) | O(1) |
追加 | add | O(log n) | O(1) |
先頭の削除 | poll | O(log n) | O(log n) |
先頭以外の削除 | remove(Object) | O(n) | O(n) |
優先度の変更 | 存在せず | O(n) | O(n) |
優先度付きキューからはソートを思い浮かべることができる。つまり、ソートしたい要素をすべて優先度付きキューに入れて順番に取り出せばそれはソートされている。優先度付きキューによる抽象化を取り除くと、これは実際にいくつかのソートアルゴリズムで用いられている手続きである。このソート法は以下のソートアルゴリズムと等しくなる。
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