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二炭酸ジ-tert-ブチル(にたんさんジ-tert-ブチル、di-tert-butyl dicarbonate)は、有機化学で広く使われる試薬である[1]。tert-ブトキシカルボニル(Boc)基から誘導される酸無水物とみなすことができるため、Boc無水物とも呼ばれる。この試薬はアミンとの反応で、N-tert-ブトキシカルボニルアミン(Bocカルバメート)を与える。これらの誘導体はアミンのようには振る舞わない。また、Boc基は後に酸を使ってアミンから取り外すことができる。したがって、Boc基は保護基として使われる(例:ペプチド固相合成法)。 Boc基はほとんどの塩基と求核剤に対して安定である。
二炭酸ジ-tert-ブチル | |
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Di-t-butyl dicarbonate | |
別称 di-tert-butyl pyrocarbonate Boc anhydride Boc2O ピロ炭酸ジ-tert-ブチル Boc無水物 Boc2O | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 24424-99-5 |
PubChem | 90495 |
ChemSpider | 81704 |
日化辞番号 | J88.260G |
ChEBI | |
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特性 | |
化学式 | C10H18O5 |
モル質量 | 218.25 g·mol−1 |
外観 | 無色固体 |
密度 | 0.95 g·cm−3 |
融点 |
22–24 °C |
沸点 |
56–57 °C (0.5 mmHg) |
水への溶解度 | 不溶 |
その他の溶媒への溶解度 | ほとんどの有機溶媒 |
構造 | |
双極子モーメント | 0 D |
危険性 | |
主な危険性 | 吸入毒性 T+ |
関連する物質 | |
関連物質 | クロロギ酸エチル ホスゲン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
炭酸水素ナトリウムのような塩基の存在下で二炭酸ジ-tert-ブチルを使うと水溶液中でアミンのBoc化を行うことができる(ショッテン・バウマン条件)。また、アミンの保護はDMAP存在下、アセトニトリル溶液でも行うことができる。 Bocのアミノ酸からの除去はトリフルオロ酢酸とジクロロメタンの混合溶媒、もしくは塩化水素のメタノール溶液のような強酸で行う[2][3][4]。
2-ピペリドンからの6-アセチル-1,2,3,4-テトラヒドロピリジンの合成は二炭酸ジ-tert-ブチルを用いたBoc保護を経ることによって達成された[5]。最初の反応では、アセトニトリル中、二炭酸ジ-tert-ブチルとDMAPを用いて第二級アミンをBocカルバメートとする。
二炭酸ジ-tert-ブチルは、tert-ブチルアルコール、二酸化炭素、ホスゲンからDABCOを使って合成される[6]。
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