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ペリカン目(ペリカンもく、学名 Pelecaniformes)は、鳥類の目である。
かつては全蹼目 Steganopodes と呼ばれる、蹼(水かき)が発達した全蹼足(ぜんぼくそく)であるという派生形質を持つ群として定義されていた。しかし分子系統により、カツオドリ目とネッタイチョウ目が分離され、水かきが不完全なコウノトリ目から数科が移された[1][2]。現在のペリカン目と伝統的なペリカン目で一致するのはペリカン科の1科8種のみで、同じ名前だが中身はかなり異なる。
沿岸生の海鳥ないし淡水生の水鳥で、水生の小動物を捕食する。雛は半晩生性・就巣性である[3]。
ペリカン科は全蹼足(ぜんぼくそく)である。つまり、4本の趾(あしゆび、足指)全てが蹼(みずかき、水かき)でつながっている。それに対しその他の科、つまりコウノトリ目から移された科は、三前趾足に不完全な水かきがある半蹼足である。
かつての分類ではペリカン目のほとんど(三前趾足に不完全な水かきがある半蹼足であるグンカンドリ科以外)が全蹼足で、これが旧称の全蹼目 Steganopodes の元になっていた。
これらはペリカン科に近縁であり、コウノトリ目からペリカン目に移された。
伝統的にペリカン目に含められてきたが、ペリカン科とはやや疎遠で、カツオドリ目 Suliformes に分離された。現在のペンギン目とは姉妹群。これらを含め広義のペリカン目とする説もあったが、現在は主流ではない。
ペリカン目ネッタイチョウ亜目 Phaethontes とされていたが、系統的にかけ離れており、ネッタイチョウ目 Phaethontiformes として分離された。正確な系統的位置は不確実だが、ペリカン目など Coronaves とは別の Metaves に属す。
絶滅科であるプロトプテルム科やペラゴルニス科(Pelagornithidae)はかつてペリカン目に含まれたことがある。前者はカツオドリ目とする説が有力で、後者に関しては現生鳥類のグループに含まれない可能性もあるとされるが不明[5][6]。
伝統分類では、欠全蹼足であるグンカンドリ科をグンカンドリ亜目 Fregatae、その他(ネッタイチョウ科も除く)をペリカン亜目 Pelecani に分類していた[7][8]。ただし、このペリカン亜目は単系統ではない。
ウ科・ヘビウ科・カツオドリ科(およびプロトプテルム科)をカツオドリ亜目 Sulae とする説もある。同じグループがSibley分類ではカツオドリ小目 Sulidae と呼ばれた。
伝統的なペリカン目は、現在のカツオドリ目、つまりヘビウ科・ウ科・カツオドリ科・グンカンドリ科に、ペリカン科とネッタイチョウ科を加えたグループだったが、2000年代後半の分子系統により多系統と確定し、分類の再編が行われた。
アメリカ鳥学会北アメリカ分類委員会 (AOU NACC) は2009年、ペリカン目(ネッタイチョウ目に分離することが確定したネッタイチョウ科を除く)とコウノトリ目の再編案3つを検討し、コウノトリ目・ペリカン目・カツオドリ目に分ける分類を採用した[9]。採用されなかった残りの2案は、全体をコウノトリ目1目とする案と、サギ目 Ardeiformes を加えた4目とする案である。
国際鳥類学会議 (IOU) World Birds Names Version 2.0 (2009) は、コウノトリ目とペリカン目に分ける分類を採用した。ここでのペリカン目は、AOUのペリカン目+カツオドリ目に当たる。Version 2.6 (2010) でペリカン目からカツオドリ目が分離され、AOUと同じ分類になった[10]。
ペリカン目をコウノトリ目に含めるが、カツオドリ目は独立目として維持する(ただし名称はウ目 Phalacrocoraciformes とする)説もある[11]。ただし現在判明している分子系統からは、このコウノトリ目の単系統性は疑わしい。
Sibley分類では、ペリカン目は(ほかのさまざまな目と一緒に)拡大されたコウノトリ目に分類されていた。
Hackett et al. (2008)[12]による。全蹼類(伝統的なペリカン目)に含まれる科には ★(実際に全蹼足の科)か ☆(欠全蹼足のグンカンドリ科)をつけた。これらから大きく離れた位置にネッタイチョウ科がある。
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