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映画『スター・ウォーズシリーズ』に登場する架空の宇宙要塞・人工天体 ウィキペディアから
デス・スター(Death Star)は、映画『スター・ウォーズシリーズ』に登場する架空の宇宙要塞・人工天体である。
銀河帝国の保有する大型軍事バトル・ステーション。直径は約120km[注釈 1]にも及ぶ。
巨大なカイバー・クリスタルを経由して収束された複数のレーザーを一か所に収束させて発射することによって、惑星をたった一撃で破壊可能な高威力を誇る強力なスーパーレーザー砲を主砲として搭載している。エピソード4ではこのレーザー砲により惑星オルデランが破壊された[1]。また、リアクター(反応炉)の稼働数を調節することで威力を自由に制御でき、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』において試射として惑星ジェダに向けて発射したものはリアクター1基のみの稼働であったため、オルデランのように星ごと破壊されてはおらず、惑星の首都であるジェダ・シティとその周辺のみが消滅させられた。また、デス・スターの防諜のために惑星スカリフに向けて発射したものも同様であり、シタデル・タワーとその周辺のみが消滅させられた。
このスーパーレーザー砲以外にも敵艦隊による攻撃を排除すべく、約数百機以上もの艦載機と各種ターボ・レーザー砲により強固に武装されていた[1][2]。
映画『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』ではジオノーシアンの所有していたデス・スターの設計図をドゥークー伯爵(ダース・ティラナス)がダース・シディアスに届けるシーンがあり、ジオノーシアンが本体設計に関与していたことが明かされている。なお、「クロスセクション」では、ターキン総督の発案としている[1]。映画『ローグ・ワン』及びその前日譚に当たる小説『カタリスト』では上記の「スーパーレーザー」の開発に際し、オーソン・クレニックによる指揮のもと、主任開発者であるゲイレン・アーソなど大勢の科学者を強制的に動員した事が明かされた。
デス・スターは惑星をも破壊可能な非常に強大な兵力を持つ宇宙要塞だが、通常航行のためのイオン亜光速エンジンと、ハイパー・スペースジャンプに必要なハイパー・ドライブとを兼ね備えた巨大宇宙戦艦(戦闘ステーション)でもある[1]。劇中でもデス・スターが惑星オルデランに接近する様子が描写されている。この巨体を稼働させるためのエンジンやハイパードライブ等は、デス・スターの赤道溝に沿って設置されていた[3]。また、このトレンチは港湾施設も兼ねており、エピソード4でミレニアム・ファルコンが拿捕されたドッキングベイ3207も、ここに存在する[4]。更に最高司令室は、スーパーレーザー・デッシュの縁(デス・スターの"目")に位置していた[5]。
デス・スターはそれ自体が巨大な軍事組織でもあり、乗員は計約120万人にも及んだ。なお内部には乗員の生活する居住施設のみならず、トレーニングジムから酒保に至るまで様々な福利厚生施設が完備されていた。また初代デス・スターの指揮官はターキン総督であり、その補佐役として帝国軍上層部の高級将校たちがこのデス・スターに乗り込んでいた。なお、第2デス・スターの指揮は皇帝自身がとっており、モフ・ジャジャーロッドが司令官として、皇帝の命令下にデス・スターの乗員たちを指揮していた。
本編におけるデス・スターは2度に亘り建造されたが、いずれも設計図が反乱同盟軍の手に渡って弱点が露見し、破壊された。
初代デス・スターはエピソード3『シスの復讐』の終盤で建造が開始され、エピソード4『新たなる希望』の時点では既に完成していた。乗員は計約100万人。開発段階のコードネームは「スターダスト」とされており、惑星の完全な破壊力を有することから、帝国内部では「プラネット・キラー」の通称でも呼称されていた。
スーパーレーザー砲の低出力での試射のために、惑星ジェダの聖都及び初代デス・スターの設計図が保管されていた惑星スカリフのシタデル・タワーとを、そして反逆者への見せしめと、フルパワー状態での試射のために、惑星オルデランをそれぞれ破壊している。
アナキンがダース・ベイダーへと変貌した頃には既に着工していたことが明かされており、完成まで約20年掛かっていたことが分かる。一方の第2デス・スターは、エピソード5と6の間の約1年でその大部分が既に完成しているが、ジョージ・ルーカスはこの工期の差について「シスの復讐」のDVDの解説音声で「最初のデス・スターは物資の調達に苦労したから」と語っていた。後に正史のスピンオフ作品では、デス・スターの建設資材の中継基地が反乱軍のテロ攻撃の標的となったり、設計図の完成に協力を強いられていた技術者たちが逃亡したりといったアクシデントが起きていた事が明かされており、そうしたトラブルが工事の遅延に繋がっていた事が示唆されている。
スピンオフとなる映画『ローグ・ワン』では、主任開発者ゲイレン・アーソの存在が語られた。彼は、デス・スターの計画の総責任者オーソン・クレニックの旧友であり、当初は開発に協力していたが後に逃走した。クレニックはデス・スター建造の遅れを取り戻すためにゲイレンを連れ戻し、その際に抵抗した彼の妻を殺害した。娘とも生き別れとなったゲイレンは復讐のために「デス・スターを破壊するための弱点」を密かに用意し、わざと反乱軍の手にその情報を渡らせた。また、本作ではオルデラン破壊以前に「スーパーレーザー砲のテスト」と称して、カイバー・クリスタルの採掘がおこなわれていた惑星ジェダの中心地にして、ジェダイを始めとするフォースの信奉者たちの聖地でもあるジェダ・シティを破壊している。この"テスト"は帝国元老院には「事故」として報告された。なお、デス・スターの存在を知る反乱軍は、デス・スターの設計図が保管されていた帝国軍のスカリフ基地に果敢な攻撃を仕掛け、多大な犠牲を払った上で遂に設計図のデータ奪取に成功した。
その後、前述の通りオルデランを破壊後、密かに追跡装置を取り付けられたミレニアム・ファルコンを追跡して反乱軍の本拠ヤヴィン4へと侵攻するが、そこで多数の反乱軍機による猛攻撃を受ける。最終的にXウイングに搭乗したルーク・スカイウォーカーがダース・ベイダーの追撃を巧みにかわしながら、デス・スター表面上のトレンチ内を疾走し、ハイパーマター(超物質)反応炉へと通じる換気ダクトにプロトン魚雷を打ち込んで、大規模な連鎖反応的爆発を引き起こさせることで破壊した[1]。この排熱孔とダクトこそ、アーソによって仕組まれた唯一最大にして致命的な弱点であった。また、反乱軍を見くびり、換気ダクトに必要最低限の電磁シールドしか搭載しておらず、プロトン魚雷などの物理的な物体の侵入を防ぐことができなかったこともその一因である[6]。
さらに、戦闘機による攻撃を一切想定しておらず、小型且つ高速の標的に対する照準システムの設計に不備があったとされており、換気ダクトを攻撃する敵機を撃墜出来なかったことも災いした[注釈 2]。
第2デス・スターは、エピソード6『ジェダイの帰還』に登場。乗員は200万人を超える。
初代デス・スターでの惨敗に失望した皇帝は右腕のダース・ベイダーを降格する一方で、かねてから初代デス・スターの脆弱性に強く警鐘を鳴らしていたカシオ・タッグを新たに大将軍に任命し、第2デス・スターの建造には彼の意向を最大限に反映するよう命じた。その結果、初代の問題点は大幅に改善され、根本的な再設計が行われた。第2デス・スターのスーパーレーザー砲は、航行中の敵艦を迅速かつ的確に捕捉し砲撃することが可能となった[注釈 3]。また、発射に要する充電時間も、動力炉を大型化することで大幅に短縮することに成功した。そのため、第2デス・スターは初代より大型で、直径160km[注釈 4]にもおよぶ。
加えて他の兵装も大幅に強化し、初代のもう一つの欠点とも言われていた、戦闘機に対する強固な防空対策も実施された。対空レーザー砲を大幅に増備することで、敵機がほぼ突破不能な対空砲火を可能とした上[7] 、迎撃用に無数のTIEファイターも配備した。
皇帝は反乱同盟軍を一挙に殲滅すべく、スーパーレーザー砲が完成済みであることは敢えて隠し、新たなデス・スターを衛星エンドア付近で建造中であるという機密情報を故意に漏らした。そのため、エンドアの戦いの時点では第2デス・スターはまだ未完成であった。
しかし、敵機の侵入を防御していたシールド発生装置を、ハン・ソロ将軍率いる反乱軍特殊部隊により破壊されたことで、ランド・カルリジアンの操縦するミレニアム・ファルコン号と反乱軍戦闘機部隊との防衛線突破を許してしまった。増強した対空砲火もウェッジら反乱軍のエースパイロット達を止めることは出来ず、迷路の様に複雑なダクトを伝って直接内部に侵入され、中心部の核融合炉を破壊されたことで第2デス・スターは大規模な誘爆を起こし、皇帝共々完全に消滅した。
後に、『エピソード9』に当たる『スカイウォーカーの夜明け』において、爆散した第2デス・スターの残骸はエンドアの衛星であるケフ・バーの海上に大量に落下しており、その残骸の中には皇帝の謁見室やそれに隣接するウェイファインダーの保管室などが残存していた。また劇中の描写から、シスを信奉するカルト集団「シス・エターナル」に属するベストゥーンのオーチが、同組織の拠点である惑星エグゼゴルへの道標となるウェイファインダーの番人を務めていたが、当の本人が惑星パサーナにて流砂に呑まれて死亡したことで番人の役目を果たせなくなり、結果としてウェイファインダーを探すレイ達がその在り処を突き止めるに至ったことが示唆されている。
スピンオフ作品にはデス・スターと同等の破壊力、機能を備える兵器が多数登場する。しかし、現在ではこれらは全て「レジェンズ(非正史)」のものである。
初代デス・スターは「恐怖による支配」というターキン主義(「カノン(正史)」におけるターキン・ドクトリンとは異なる)を全銀河に浸透させるための道具として利用されていた。事実、ターキンは独自にスーパーレーザーの使用権限を付与されており、劇中での描写の通り私意で自由に使用できるばかりか、ターキン総督の副官であるモッティ提督などはデス・スターの力で皇帝に謀反を起こすよう密かにターキンに進言するなどしており、デス・スターの司令官たちが皇帝に対し強い独立性を保っていたことがうかがえる。また、エピソード4のダース・ベイダーはターキンの監視の密命を帯びていたともいう。
初代デス・スターの完成までに約20年もの長い工期を費やした理由について、「ジオノーシアンによる当初の設計に重大な欠陥が見つかり、ケッセルに程近いモー秘密研究所で再検討を余儀なくされたため、一時建造が中断されていた」という後付けによる公式設定が発表されていた。後に発表されたスピンオフ小説『デス・スター』では、他の政治的な理由も絡んで初代デス・スターが何度も休工を余儀なくされたとなっている。
また、ジオノーシスやモー秘密研究所で初代と2代目の設計を担当した帝国の技術者ベヴェル・レメリスクの存在も大きい。彼は初代デス・スターの喪失後に、激怒した皇帝の命令によって巨大かつ獰猛な肉食昆虫に生きながらにして捕食されるという残虐極まりない方法で処刑された後、クローンとして強制復活させられた。その後レメリスクはまず最大の弱点を克服するため、2代目の大型排熱ダクトを何百万ものミリ単位の小型排熱ダクトに置換し、それらによって初代デス・スターに搭載されていた機能を完全に補完可能な様に改良した。これによって、初代デス・スターの様に排熱孔に魚雷を撃ち込まれることを防ぎ、万が一攻撃を受けたとしても、ダクト内部は外圧のエネルギーを完全に吸収可能に設計されているため、攻撃は動力炉に到達する前に無力化してしまう。
最大の弱点を克服した後、レメリスクはデス・スターの主兵装であるスーパーレーザーの改良にも着手した。初代のスーパーレーザーは威力は申し分無しであったが、照準システムと火力調節機構を更に改良する必要があった。このレメリスクによる試みは大きな成功を収め、第2デス・スターはこれらの対策で鉄壁の防御を誇り、レメリスクは「万が一敗れる可能性があるとすれば、それは建設中に攻撃された時である」と予想していた。彼はこの事実を皇帝にも進言していたとされる。また、「完成さえすれば、絶対に破壊は不可能である」と断言していたともいう[8]。
なお、デス・スターを完成させたモー秘密研究所では、他にも極秘に各種超兵器の研究開発が行われ、その内の幾つかは実際に帝国軍によって実戦投入されていたが、後に新共和国によって研究所共々完全に破壊された。
アメリカでは2012年に「雇用の創出と国防のため」という目的でホワイトハウス宛にデス・スター建造陳情書と集められた34,435人分の署名が提出された。それに対しホワイトハウスは2013年1月に、建設に85京ドル(約7,580京円)が必要となるために却下する回答を発表した[9]。これは世界中のGDPの13,000年分に相当する。なお、建造に必要な鉄1,080兆トンを掘り出すだけでも833,315年かかるという[10]。
Zachary FeinsteinはarXivに投稿した論文It's a Trap: Emperor Palpatine's Poison Pill (「それは罠だ。皇帝パルパティーンのポイズンピル」)において、デス・スターの建造費用と銀河全体のGDP(GGP)の比率が第二次世界大戦当時の原爆の製造費用とアメリカのGDPの比率と同じであると仮定して、デススターが破壊された際のベイルアウトに必要な金額を見積もった[11]。この額は銀河全体の金融セクターにはGGPのおよそ60%の資金があると各種資料から算出し、期待値、バリュー・アット・リスク、期待ショートフォールなどを用いて計算されている。Feinstein によると1年当たりGGPはおよそ4600000000000000000000ドル(46垓ドル)と見積もられ、デス・スター破壊にともなう銀河経済への破滅的影響の緩和のために、GGP比15%から20%の準備高が必要であるとされた[12]。
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