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エンソニック(Ensoniq)とは、かつて存在したアメリカの電機メーカーである。
1983年春、元モステクノロジーのロバート・ヤーン、ブルース・クロケット、 チャールズ・ウィンターブル、デイヴィッド・A・ジンビッキ、アル・カーペンターのコモドール64を設計したチームによってペリフェラルビジョンを設立。Atari 2600用のキーボードを設計するプロジェクトが計画されていたが、アタリショックによりキャンセルされた上、コモドール社にプロジェクトが盗用されたと訴えられる。
その後、エンソニックと改名。周辺機器の代わりにシンセサイザーを設計する。[1]
1998年1月、7700万ドルでクリエイティブテクノロジーに買収され、 同じ傘下のE-mu Systemsと合併し、E-Mu/Ensoniqとなる。 その後、イーミューはMK6/PK6、 エンソニックはHalo keyboardsを2002年に出した後、E-Mu/Ensoniq部門は解散し、過去の製品のサポートも中止となり、事実上ブランドは消滅した。
1985年、エンソニックはサンプラーのミラージュで楽器市場に参入。1695ドルというこの時代のサンプラーにしてはかなり安価な値段で販売[2]。 その後、ウェーブテーブル方式のシンセサイザーであるESQ-1を発売。1987年に日本に子会社を設立。
エンソニックのシンセサイザーの特徴は使いやすく、 特徴のある太い音である。ミラージュの販売後、すべての製品に同じシーケンサー、 高品質なエフェクター、ストレージ用のディスクドライブやRAMカードが搭載されていた。
1988年、 ディキシー・ドレッグスの限定版プロモーションCD Off the Recordに参加。バンドはEPSとSQ-80を使用。
90年代初頭、低価格な製品であるSQシリーズを販売。 ラインナップはSQ-1 (61鍵), SQ-2 (76鍵) 、SQ-R (ラックマウント)。 その後、32音バージョンを発売。
続いて販売したTSシンセサイザーは昔のVFXシリーズを彷彿とさせながらもポリフォニー、エフェクトエンジン、サンプルローディング機能の改善、音源を強化した。DPシリーズのエフェクターラックマウントは、並列処理とレキシコンのエフェクターと同等のリバーブプリセットが搭載されていたが、高価だった。
これらの強みにもかかわらず、初期のエンソニックの製品は、 品質の悪いキーボード(Mirage DSK-8)、電源ユニットの不備 (初期のESQ-1)そして、機械的な問題 (EPSのポリプレッシャー・キーボード)のように信頼性と品質の問題に苦しんでいた。 そのため90年代初頭から中期まで、 製品の信頼性の改善に多くの努力が注がれていた。90年代中期から後期に掛けて、会社はワークステーションのコンセプトを一新。そしてSQシリーズに変わる低価格製品は販売しなかった。
最終的に、競合製品が物理モデル音源のような最新の技術を取り入れる一方、エンソニックは古い技術を再利用した新製品が多かったため、90年代後半の市場指向に合わなかった。その間、 後述するパソコン用のサウンドカードに沢山のエンジニアリングと会社のリソースを集中させた。
エンソニックはシンセサイザーだけではなく、 パソコンのオーディオチップも作っていた。 1986年にアップルコンピューターと契約した後、ミラージュやESQ-1、ESQm、SQ80、SDP1に使われたのと同じES5503 DOC (Digital Oscillator Chip) がApple IIGSに搭載。
16ビットのサンプラーとデジタルフィルターを搭載した後期エンジンのES5504 DOC-II (EPSサンプラーに使用) とES5505 OTIS (EPS16+と21音のVFXに使用)。 最終的に後続の32音の製品に使用したES5506 OTTO (SD-1/32、TS10/12、ASR-10/88)。 最新の商品であるES5548 OTTO-48は最後のエンソニック製品に使用 (ASR-X、FIZMO、MR)。
エンソニックは 汎用性の高いエフェクトをつけれるDSP、ES5510 ESP (Ensoniq Signal Processor) を開発。 それらはVFXで使われた。 OTTO-48世代は大幅に強化されたES5511 ESP V2を使用。 OTTOとESPを組み合わせた、ES5540 OTTOFXも開発されていたが、そんなに使われなかった。
またES5505 OTIS/OTISR2、ES5506 OTTO、ES5510 ESPは 色々なアーケードゲームで使われた。これらは全てCMOSプロセスで使われている。 OTTOは Advanced GravisがGravis Ultrasound cardで使うためにライセンスを与えた。 1994年に家庭用コンピューターの為のサウンドカードを製造開始。 ゲーム機のAtari PantherにはOTISチップが使われる予定であったが、開発が中止。 OTTOの専用バージョンであるES5530/35 OPUSはAT-busサウンドカード用に作られたものであり、ジョイスティックとCD-ROMインタフェースがついていた。
エンソニック製のサウンドカードはアメリカではとてもポピュラーな物であり、 殆どの新しいDOS時代のゲームがSoundscapeを直接、もしくは General MIDIを通じて対応していたため、多くのOEMが生涯を通して得をした上に優れた互換性を受け継いだ。 さらに、殆どのDOSで動くゲームと互換性のある新しいPCIサウンドカード用のISAソフトウェアオーディオエミュレーションを考案。 Creative/E-MUでは、高性能PCIオーディオとDOSの互換性に苦労していたため、これがクリエイティブテクノロジーによるエンソニック買収の要因ではないかと考えられている。ある情報ではエンソニックはサウンドカード用のPCIバスサポートを望んでいたことと、E-MUの技術が欲しかったため、エンソニックの買収は両者の長所となったと言われている。
AudioPCIとは低コストでありながら、マザーボードと統合が出来るなど、多機能なサウンドカードである。 とても小型のCPU駆動のオーディオチップ (S5016、ES1370、ES1371のどれか) とDACだけで構成されている。AudioPCIは低コストで小型でありながら、Soundscape ELITEカードと同等の処理能力を持っている。 AudioPCIシリーズはNMIベースでエミュレーションしたTSRプログラムを利用して、ISAバスから送られる信号なしで妥当なレベルの古いDOSへの互換性を提供するために開発されていた。 TSRに依存したゲームでは問題が起こる可能性がある。
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