VeraCrypt

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VeraCrypt

VeraCryptオープンソースフリーウェアオンザフライ暗号化英語版に使われるユーティリティソフトウェアである[4]。VeraCryptはファイルパーティション[5]の暗号化や、ストレージ全体の暗号化が成されたブート前認証付き仮想暗号化ディスクを作成することができる。

概要 開発元, 初版 ...
VeraCrypt
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VeraCrypt 1.17 on Windows 10
開発元 IDRIX
初版 2013年6月22日 (11年前) (2013-06-22)
最新版 1.26.20 - 2025年2月3日 (2か月前) (2025-02-03)[1] [±]
リポジトリ
プログラミング
言語
CC++アセンブリ言語
対応OS
対応言語 37言語[2]
サポート状況 継続中
種別 暗号ソフトウェア/ディスクドライブ仮想化ソフト
ライセンス Apache License 2.0およびTrueCrypt License version 3.0[3]
公式サイト www.veracrypt.fr
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VeraCryptは開発が終了したTrueCryptフォークである[6]。初版のリリースは 2013年6月22日で、2015年9月には10度目のリリース(バージョン 1.15)がなされた[7]。開発者によると、セキュリティの改善がなされ、初期のTrueCryptのソフトウェア監査英語版において提起された問題が対処されている[8]

暗号化の仕組み

アルゴリズム

VeraCryptでサポートされている暗号AESSerpentTwofishCamelliaKuznyechik英語版である。さらに、10種類のカスケードアルゴリズム英語版の組み合わせを利用できる。AES–Twofish、AES–Twofish–Serpent、Camellia–Kuznyechik、Camellia–Serpent、Kuznyechik–AES、Kuznyechik–Serpent–Camellia、Kuznyechik–Twofish、Serpent–AES、Serpent–Twofish–AES、そしてTwofish–Serpentである[9]。VeraCryptで利用可能なハッシュ関数RIPEMD-160SHA-256SHA-512Streebog英語版Whirlpoolである[10]

暗号利用モード

VeraCryptは暗号モードとしてXTSを利用する[11]

ヘッダキーとセカンダリヘッダキー(XTSモード)は512ビットソルトPBKDF2を用いて、327,661回から655,331の反復で生成される[12]

セキュリティの改善

開発者により、VeraCryptはおおむねTrueCryptよりもセキュリティが改善された。

TrueCryptはシステムパーティションに対し、PBKDF2-RIPEMD160アルゴリズムで1000回の反復を行うが、VeraCryptは327,661回の反復を行う。標準コンテナとその他のパーティションに関してはRIPEMD160で655,331回、SHA-2とWhirlpoolでは500,000回の反復を行う。これによりVeraCryptで暗号化パーティションを開く際にわずかに遅くなるが、総当たり攻撃に対して最低10倍から最大300倍強くなる[6]

Windowsでのブートローダーの脆弱性は修正されたほか、さまざまな最適化が行われた。開発者はシステムブートの暗号化にSHA-256のサポートを追加し、ShellExecuteのセキュリティ問題も修正された。LinuxmacOSユーザーは512超のセクタサイズのサポートで恩恵を受けられる。Linux版もNTFSフォーマットをサポートしている。

セキュリティ改善により、VeraCryptフォーマットはTrueCryptとは非互換である。VeraCryptの競合、CipherShedとの違いはCipherShedはTrueCryptフォーマットを使っていることである。VeraCryptのバージョン1.0fから、TrueCryptフォーマットを開いたり、TrueCryptフォーマットをVeraCryptフォーマットへ変換したりすることができるようになった[13][14][15]。しかし、TrueCryptモードのサポートはバージョン1.26.4 BETA (正式版では1.26.7) で削除された。その後もVeraCryptフォーマットへ変換できるように、TrueCryptフォーマットに対応した最後のバージョン1.25.9が公式サイト上に残されている。

もっともらしい否認

VeraCryptはもっともらしい否認(plausible deniability)と呼ばれる構想をサポートしている[16]。これはひとつの「隠されたボリューム」をもう一つのボリュームの中に作成できるものである[17]。さらに、Windowsバージョンでは、否認可能暗号化英語版された隠しオペレーティングシステムを作成し実行することができる[18]

性能

VeraCryptは暗号化と復号による性能への影響を減らすため、マルチコアシステムで並列化[19]処理、Windows上でパイプラインを利用した読み書き(非同期処理方式)による暗号化をサポートしている。AES-NI命令セットをサポートした新しいプロセッサでは、VeraCryptはハードウェアアクセラレーションを利用して大きく性能が向上する。

セキュリティ監査

VeraCryptの中立なコード監査は初期の計画段階である[20]

VeraCryptは中立なセキュリティ監査を通過したTrueCryptソースコードに基づいている。監査の第一段階は2014年4月14日に完了し、"no evidence of backdoors or malicious code."[21](バックドアあるいは悪意のあるコードの証拠はない)とされた。監査の第二段階は2015年4月2日に終了し、"no evidence of deliberate backdoors, or any severe design flaws that will make the software insecure in most instances."[22][23](故意のバックドアや、セキュリティが失われる重大な設計上の欠陥の根拠はない)とされた。

ライセンスとソースモデル

VeraCryptは2015年6月28日からApache License 2.0でライセンスされている[24]。以前はMicrosoft Public Licenseでリリースされていた[25]。VeraCryptは大部分のコードをTrueCryptから引き継いでいるためTrueCrypt独自の「TrueCrypt License 3.0」の支配下にある[26][27]。このライセンスは改変と再配布に対して制限があり、オープンソース・イニシアティブ(OSI)が定める「オープンソースの定義」に合致しない、非オープンソース・ソフトウェア・ライセンスである。[28]

その他

 ドライブ全体の暗号化に関しては、「EFIシステムパーティション領域」が存在する場合、「システムパーティションあるいはシステムドライブ全体を暗号化」は選択できない。

 上記の選択をできるようにしたい場合には「EFIシステムパーティション領域」を設定しないクリアインストールによるWindowsのインストールが必要になる。

出典

関連項目

外部リンク

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