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『The Who's Tommy』(ザ・フーズ・トミー)は、1992年に発表されたロック・ミュージカルである。イングランドのロック・バンドのザ・フー(The Who)のアルバム『トミー』(Tommy)[注釈 1]を、カリフォルニア州サンディエゴのラ・ホヤ・プレイハウスの芸術監督だったデス・マカナフ[1]がミュージカル化した。
The Who's Tommy | |
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作曲 | ピート・タウンゼント(ザ・フー) |
作詞 | ピート・タウンゼント |
脚本 | ピート・タウンゼント、デス・マカナフ |
原作 | アルバム『トミー』(1969年) |
上演 |
1992年夏 ラ・ホヤ・プレイハウス 1993年4月22日 セント・ジェームス・シアター 2007年3月 東京 2007年4月 大阪 |
受賞 |
第47回トニー賞 |
先の大戦で死亡したと思われていたウォーカー大佐が、ある夜突然、妻ノーラのもとに帰還する。ノーラは夫の出征中に息子トミーを出産して育てていたが、夫が戦死したとの知らせを受けて、フランクと再婚していた。それを知った大佐は逆上してフランクを殺害。その一部始終を目撃していたトミーは、あまりのショックで精神状態がおかしくなってしまう。さらに彼は、殺人について、何も見ていない、聞いていない、人に喋らないことを両親に強要され、視覚、聴覚、言語機能を失い三重苦になってしまう。
青年となったトミーは、ある時、感覚だけでピンボールを打ち、永遠にリプレイを続けることができる能力を授かる。その噂を聞いたピンボールの世界チャンピオンが、トミーに勝負を挑む。勝負に勝ったトミーは一躍有名人となり、巨万の富を得る。ノーラはその大金でトミーの治療をしようと決意。しかし、さまざまな治療法を試してみてもまったく効果がなかった。ある時、大きな鏡に飛び込んだトミーはもとの自由な身体に突然戻る。三重苦から解放され、大衆のアイドル的存在となっていくトミー。ノーラと大佐は、この人気に便乗してトミー・グッズを販売して成功をおさめる。さらに、この奇跡を知った周囲の人間がトミーを教祖に祭り上げていく。
※以下は、CDThe Who's Tommy Original Cast Recording[2](後述)に添付されたブックレットに掲載されたSynopsis[3]に基づく。括弧内は曲名。
第一幕
1940年。第二次世界大戦。ウォーカー大佐は出征し、捕えられて捕虜になった(「序曲」)。ロンドンでは、二人の士官が22 Heathfield Gardensを訪れて、ウォーカー夫人に夫の戦死という悲報を伝えた(「キャプテン・ウォーカー」)。
1941年、看護婦が夫人が産んだばかりの男児を彼女に優しく手渡した(「イッツ・ア・ボーイ」)。
1945年、大佐は解放されて帰宅すると、夫人が自分の誕生日を恋人と4歳になった息子トミーと一緒に祝っていた(「21」)。トミーが鏡を覗いていると、大佐が激昂して母親の恋人を射殺する光景が映った。大佐夫妻は息子が何を目撃したかを悟り、警察が来て捜査したが、彼は鏡に映る自分の姿を見つめているだけだった。トミーの前に成人になった自分が彼にしか見えない語り手として現れた(「すてきな旅行」)。ウォーカー大佐改めウォーカー氏は法廷で無罪を宣告されるが、夫妻は息子が今や視覚、聴覚、言語機能を失った三重苦になってしまったことを知って、無罪の喜びなど微塵も感じられなかった。病院では、医師や看護婦がトミーを検査した(「スパークス」)。
1950年。クリスマスに夫妻は10歳になったトミーを教会と家族の夕食に連れて行った(「クリスマス」)。そこで彼は、伯父のアーニーが演奏するフレンチ・ホルンと再び現れた成人になった自分の姿に反応した(「シー・ミー、フィール・ミー」)。帰宅した夫妻は、トミーを泥酔したアーニーに預けて留守にしても大丈夫だろうかと不安になる(「大丈夫かい」)。果たしてアーニーは、夫妻が外出するとトミーを弄んだ(「フィドル・アバウト」)。次のベビー・シッターだった従兄弟のケヴィンは、トミーを無慈悲に扱った(「従兄弟のケヴィン」)後、彼を若者が屯するクラブに連れて行った。するとトミーは置いてあったピンボールを見事に操作して、居合わせた若者達を驚嘆させた(「センセーション」)。この出来事に勇気づけられた夫妻は、彼を精神科医に診せた。しかし医師は彼を検査したものの、治せなかった(「スパークス(リプライズ)」)。藁をもすがる思いのウォーカー氏の前に行商人とハーモニカの演奏者が現れて(「光を与えて」)、トミーの為の奇跡の治療を約束した。二人はウォーカー氏とトミーをドッグ島に連れて行き、ジプシーという名の売春婦を探した(「アシッド・クィーン」)が、ウォーカー氏は恐怖に駆られてトミーを連れ戻して逃げ帰った。
1958年。ティーンエイジャー達はゲーム・センターに集まり、17歳になったトミーがやって来るのを待ち焦がれていた(「ピンボールの魔術師」)。
第二幕
1960年。トミーはピンボールのチャンピオンになり、近所の少年達の英雄になった(「アンダーチュア」)。まだ彼の治療法を探し求めていたウォーカー氏は、もう一度試してみようと夫人を説得した(「ドクター」)。二人はトミーを専門医に診せて(「ミラー・ボーイ~リスニング・トゥ・ユー」)検査を受けさせたが、無益に終わった。地元の若者グループが路上でトミーを取り囲んで(「トミー、聞こえるかい」)家に連れて帰った。途方に暮れたウォーカー夫妻は、彼を施設に入れることも考慮しつつ、互いを励ましあった(「アイ・ビリーヴ・マイ・オウン・アイズ」)。夫人が必死になって意志の疎通を図ろうとしてもトミーは鏡を覗き込んでいるだけだった(「鏡をこわせ」)。彼女に鏡を壊されて、トミーは意識を取り戻し(「僕は自由だ」)、家を出て行った。一方、彼の治癒はニュースに取り上げられた(「奇跡の治療」)。
1961‐1963年。トミーは大衆と報道機関にもてはやされ(「ピンボールの魔術師(リプライズ)」)、スタジアムに登場するようになっていた。アーニーは彼の名声を利用して一儲けしようとしていた(「トミーズ・ホリデイ・キャンプ」)。ティーンエイジャーのサリー・シンプソンはやっとの思いでステージにたどり着いてトミーに触れた。しかし彼に脇に押しやられ、ステージから落ちて警備員から殴られてしまった(「サリー・シンプソン」)。トミーは自分が名声という機械に巻き込まれてしまったことを悟って衝撃を受け、サリーに付き添い、皆を自分の家に招待した(「ウェルカム」)。そこでサリーはトミーに、どうすれば彼のようになれるか、と尋ねた(「サリー・シンプソンの質問」)。トミーは、自分のようになる必要などない、今のままで十分だ、と答えた。自分達の英雄が即座には救いを与えないことに失望して、大衆は彼に反旗を翻して去っていった(「俺たちはしないよ」)。トミーは10歳の自分の声を聞いて(「シー・ミー、フィール・ミー」)、一瞬、過去の状態に戻ってしまいそうになった。しかし彼は家族の方を向き、全てを受け入れて彼等と抱擁しあい、若い自分と再び一体になった(「リスニング・トゥー・ユー」)。
— Rita D. Jacobs
with (in alphabetical order): Michael Arnold, Anthony Barrile, Bill Buell, Maria Calabrese, Victoria Lesta Cave, Michael Cerveris, Tracy Nicole Chapman, Paul Dobie, Jonathan Dokuchitz, Tom Flynn, Cheryl Freeman, Romain Frugé, Jody Gelb, Christian Hoff, Todd Hunter, Paul Kandel, Donnie Kehr, Pam Klinger, Tracey Langran, Lisa Leguillou, Norm Lewis, Crysta Macalush, Michael McElroy, Marcia Miltzman, Lee Morgan, Alice Repley, Sherie Scott, Buddy Smith, Carly Jane Stinborn, Ari Vernon, Timothy Wormen
1993年5月9日から11日まで、ニューヨークのザ・ヒット・ファクトリーで、プロデュ―サーにジョージ・マーティン、アシスタントにジャイルズ・マーティンを迎えて録音された[2][5]。
# | タイトル | 作詞・作曲 | Featuring | 時間 |
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1. | 「トミー序曲」(Overture) |
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2. | 「キャプテン・ウォーカー」(Captain Walker) |
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3. | 「イッツ・ア・ボーイ」(It's a Boy) |
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4. | 「ウィヴ・ウォン」(We've Won) |
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5. | 「21」(Twenty-One) |
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6. | 「すてきな旅行」(Amazing Journey) |
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7. | 「法廷の場面(会話)」(Courtroom Scene (dialogue)) |
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8. | 「スパークス」(Sparks) |
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9. | 「すてきな旅行(リプリーズ)」(Amazing Journey (reprise)) |
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10. | 「クリスマス~シー・ミー、フィール・ミー」(Christmas / See Me, Feel Me) |
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11. | 「大丈夫かい」(Do You Think It's Alright?) |
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12. | 「フィドル・アバウト」(Fiddle About) | John Entwistle |
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13. | 「シー・ミー、フィール・ミー(リプライズ)」(See Me, Feel Me (reprise)) |
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14. | 「従兄弟のケヴィン」(Cousin Kevin) | John Entwistle |
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15. | 「センセーション」(Sensation) |
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16. | 「スパークス(リプライズ)」(Sparks (reprise)) |
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17. | 「光を与えて」(Eyesight to the Blind) | Sonny Boy Williamson |
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18. | 「アシッド・クイーン」(Acid Queen) |
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19. | 「ピンボールの魔術師」(Pinball Wizard) |
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合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | Featuring | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「アンダーチュア」(Underture (Entr'acte)) |
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2. | 「イッツ・ア・ボーイ~ドクター」(It's a Boy (reprise) / There's a Doctor) |
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3. | 「ミラー・ボーイ~リスニング・トゥ・ユー」(Go to the Mirror / Listening to You) |
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4. | 「トミー、聞こえるかい」(Tommy, Can You Hear Me?) |
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5. | 「アイ・ビリーヴ・マイ・オウン・アイズ」(I Believe My Own Eyes) |
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6. | 「鏡をこわせ」(Smash the Mirror) |
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7. | 「僕は自由だ」(I'm Free) |
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8. | 「ストリーツ・オブ・ロンドン 1961-63(会話)~奇跡の治療」(Streets of London 1961-63 (dialogue) / Miracle Cure) |
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9. | 「センセーション(リプリーズ)」(Sensation (reprise)) |
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10. | 「僕は自由だ~ピンボールの魔術師(リプライズ)」(I'm Free / Pinball Wizard (reprise)) |
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11. | 「トミーズ・ホリディ・キャンプ」(Tommy's Holiday Camp) | Keith Moon |
| |
12. | 「サリー・シンプソン」(Sally Simpson) |
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13. | 「ウェルカム」(Welcome) |
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14. | 「サリー・シンプソンの質問」(Sally Simpson's Question) |
| ||
15. | 「俺たちはしないよ」(We're Not Gonna Take It) |
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16. | 「シー・ミー、フィール・ミー(リプライズ)~リスニング・トゥ・ユー(リプライズ)」(See Me, Feel Me (reprise) / Listening To You (reprise)) |
| ||
合計時間: |
※出演順。
音楽監督 – Joseph Church
Musical Coordinator: John Miller
Music Preparation: Don Oliver & Evan Morris, Chelsea Music Services Inc.
日本版『TOMMY』は、いのうえひでのり演出、中川晃教主演により初上演。
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