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SFは現在の世界とは違う作品世界を、社会的、文化的、技術的な考証を元に構築するが、SF映画では非現実の世界を映像で実現する事と、一般大衆を対象にした物語が要求され、作品世界の背景を解説するより、映像的な驚きに主体を置き、勧善懲悪の物語の作品が多い。
実写作品の場合はSFX を駆使して作られることが多い。そのためSF映画の多くはSFXによる特殊映像を売り物にする特撮映画の形をとっている。なお、SFXは映像における特殊効果・特殊撮影のことであり、SF映画に限らず戦争映画などの一般映画でも用いられる。
世界初のSF映画は、1902年にジョルジュ・メリエスがジュール・ヴェルヌの小説に鼓舞され製作した、フランスの映画『月世界旅行』(Le Voyage dans la Lune)と言われている。この映画では、強力な大砲から発射された宇宙船での月旅行を描き、宇宙旅行や異星人の設定、当時では革新的な特殊効果により、空想的な映像を具体化し将来のSF映画に大きな影響を及ぼした。
1910年にはJ・シャーリー・ドーレイがメアリ・シェリーの小説『フランケンシュタイン』(Frankenstein)を映画化。
1925年『ロスト・ワールド』(The Lost World)は、アーサー・コナン・ドイルの原作での人気があるテーマであり、1960年『失われた世界』(The Lost World)でリメイクされている。
1927年のフリッツ・ラングによる『メトロポリス』(Metropolis)は、未来都市とロボットを登場させ、未来社会を描いたSF映画として有名で、前出の『月世界旅行』は空想に重きを置いた物語であるが、SF的設定の確かさでは本作がSF映画の始祖とも言える。1984年には現存するフィルムを集め、ジョルジオ・モロダーにより纏められた再編集版が公開されている。
1930年代からはトーキーが入り、今日のSF映画に直接影響を残す作品が作られている。
1931年のジェームズ・ホエール(James Whale)の『フランケンシュタイン』(FRANKENSTEIN)は、ロンドンの喜劇舞台が元になっているため、原作との相違点が多いが、モンスターの造形は、「フランケンシュタイン」のキャラクターを決定付ける影響があった。
1933年にはメリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザックによる、『キング・コング』(KING KONG)が製作され、アメリカのKING OF MONSTERとして幾度とリバイバル上映され、1976年、2005年に同名でリメイクが作成されている。特にピーター・ジャクソン監督版は、初代に忠実である。
H・G・ウェルズの原作では、1933年『透明人間』(THE INVISIBLE MAN)、『獣人島』(ISLAND OF LOST SOULS):モロー博士の島が製作されており、以後何度かリメイクされることになる。
1941年にはアニメーション、1948年には実写版の『スーパーマン』(SUPERMAN)が、1943年には『バットマン』(THE BATMAN)が製作され、コミックヒーローの映画化がされている。この頃は、スペクタクルなSF映画よりホラーの「吸血鬼」「狼男」「ドラキュラ」「ミイラ男」などが多く作成されている。
1950年代はSF映画ブームと言える。
ジョージ・パルは特撮を生かした4本の本格SF映画を製作している。1950年『月世界征服』(DESTINATION MOON)、1951年『地球最後の日』(WHEN WORLDS COLLIDE)、1953年『宇宙戦争』(WAR OF THE WORLDS)、1959年『タイム・マシン』(THE TIME MACHINE)、それぞれの原作は、ロバート・A・ハインライン『宇宙船ガリレオ号』、エドウィン・パルマーとフィリップ・ウィリー『地球最後の日』、ハーバート・ジョージ・ウェルズ『宇宙戦争』、H・G・ウェルズ『タイム・マシン』。
1951年『地球の静止する日』(THE DAY THE EARTH STOOD STILL)ロバート・ワイズ監督、同年『遊星よりの物体X』(THE THING FROM ANOTHER WORLD)ハワード・ホークス製作(監督)。
1954年には『海底二万哩』(20,000 LEAGUES UNDER THE SEA)をウォルト・ディズニーが製作。ネモ船長とノーチラス号のイメージはこの作品が決定づけていると言っても過言ではない。
1956年『禁断の惑星』(FORBIDDEN PLANET)のロボットロビィは、『地球の静止する日』のゴートと、『宇宙家族ロビンソン』(1965年からのアメリカのTVシリーズ)のフライディと共に、いわゆる「ロボット」のキャラクターを確立した。
『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(INVASION OF THE BODY SNATCHERS)は、独立系プロによる低予算映画である。
1957年『縮みゆく人間』(THE INCREDIBLE SHRINKING MAN)は、リチャード・マシスンの原作で、この時代、放射能を題材にした映画が多く作成されている。
1960年原作アーサー・コナン・ドイルの『失われた世界』(THE LOST WORLD)と、1961年原作ジュール・ヴェルヌの『SF巨大生物の島』(MYSTERIOUS ISLAND)は、共に登場する恐竜などに特撮を使用しているが、前者のウィリス・オブライエンは、1925年の『ロスト・ワールド』を担当しており、後者のレイ・ハリーハウゼンとも関係が深い。この後、レイは1967年『恐竜100万年』1969年『恐竜グワンジ』を手がける。
日本では、東宝のSFシリーズとも言える『電送人間』、『ガス人間第一号』が1960年に、『世界大戦争』が1961年に、『妖星ゴラス』が1962年に、『マタンゴ』、『海底軍艦』が1963年に公開されている。
また、1961年東宝の『モスラ』、1965年大映の『大怪獣ガメラ』、1967年松竹の『宇宙大怪獣ギララ』、日活の『大巨獣ガッパ』と怪獣が次々と生み出された。
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