CoffeeScript

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CoffeeScriptプログラミング言語のひとつである。コードはJavaScript のコードに変換される。

概要 パラダイム, 設計者 ...
CoffeeScript
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CoffeeScriptのロゴ
パラダイム マルチパラダイム: プロトタイプベース, 関数型言語, 命令型, スクリプト言語
設計者 Jeremy Ashkenas
開発者 Jeremy Ashkenas, et al.
最新リリース 2.7.0/ 2022年4月23日 (2年前) (2022-04-23)
影響を受けた言語 JavaScript, Python, Ruby, Haskell
影響を与えた言語 JavaScript, LiveScript
プラットフォーム クロスプラットフォーム
ライセンス MIT License
ウェブサイト coffeescript.org
拡張子 .coffee
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RubyPythonHaskell [1] から影響を受けたシンタックスシュガーの導入により、JavaScript に比べ簡潔さと可読性を向上させたほか、配列内包 (Array comprehensions) やパターンマッチングといった機能を追加している。

CoffeeScript により、パフォーマンスを下げることなく、より短いコードでプログラムを記述することができる (JavaScript に比べ 1/3 程度の行数が削減できる)[2]。 2011年3月16日から一時、CoffeeScript は GitHub でもっともウォッチされているプロジェクトであった[3]

この言語は Ruby コミュニティによく受け入れられており、(Ruby on Rails 開発者のデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンが所属する) 37signalsでは、実際に製品の開発に使われている[4]。また Ruby on Rails 3.1以降 でも正式にサポートされている。

ブレンダン・アイクは、氏が考える「JavaScript の未来」に影響を与えたものとして CoffeeScript に言及している[5][6]

歴史

2009年12月13日、Jeremy Ashkenas は、この言語を「謎の言語を初回コミット(initial commit of the mystery language)」というコメントとともに Git リポジトリにコミットした[7]。CoffeeScript は電子書籍である "Create Your Own Programming Language" [8] を読んで開発された。このときのコンパイラは Ruby で書かれている。同年12月24日には初めてタグとドキュメントのついた、バージョン 0.1.0 がリリースされた。2010年2月21日には、コンパイラを純粋な CoffeeScript で記述した、バージョン 0.5 がコミットされる。この頃にはこのプロジェクトは GitHub を利用する他の開発者の興味を引き、1日に300回ほどプロジェクトページが参照された。

2010年12月24日、Askenas は、安定版であるバージョン 1.0.0 のリリースを、Hacker News で発表した[9]。 なお、Hacker News は、最初のバージョンを発表した場でもある[10]

2017年9月18日、コンパイル後の出力を ES2015+ 構文に変更した2.0.0 がリリースされた。ES2015+ の実装に合わせて、1.x とは仕様の一部が変更及び追加されており、JSXや型アノテーションコメント等の機能が追加されている。また、Babel と連携してES5へのトランスパイルを同時に行うことができるようになった。

下記は jQuery を使った典型的な JavaScript のコード例である。

$(function() {
  // 初期化のためのコード
});

CoffeeScript では function キーワードが -> で置き換えられている。また、波括弧のかわりに、PythonHaskell のようにインデントで構造を表現する。さらに、丸括弧は曖昧性がない場合は省略できる。これらの特徴により、はじめに挙げたコードと同等の内容を CoffeeScript で記述するとこのようになる。

$ ->
  # 初期化のためのコード

jQuery などではクロージャを多用するが、CoffeeScript ではクロージャが簡潔に書けるようになっている。これは /info の内容を取ってきて、#info にそれを入れる場合の jQuery を使ったJavaScript の例である。

$.get("/info", function(txt) { $("#info").text("info = " + txt) }, "text")

CoffeeScript でも以下のように1行で書け、75文字が67文字へと1/10程度文字数が減っている。

$.get("/info", ((txt) -> $("#info").text("info = #{txt}")), "text")

コンパイル

以下の方法で CoffeeScript から JavaScript にコンパイルできる。

  • Node.js を併用する方法。Node.js をインストール後、npm install --global coffeescript でインストールできる。CoffeeScript のコンパイラはバージョン 0.5 より、 CoffeeScript 自身で記述されているが、npm ではコンパイル済みのJavaScriptが配付されるため、Node.js のユーティリティとして使用することができる。しかし、コンパイラの中核部分は Node.js に依存しないため、ブラウザ上の JavaScript 実行環境で動作させることができるコンパイル済みモジュールも用意されている[11]
  • Apache Maven のプラグインである Coffee Maven Plugin がある。これは Java で書かれた JavaScript エンジンである Rhino を利用している。
  • CoffeeScript の公式サイトではメニューバーにある "Try CoffeeScript" をクリックすることで、ブラウザ上で CoffeeScript の入力、JavaScript へのコンパイル、実行を行うことができる。
  • Windows 向けのコンパイル済みの coffee.exe 。ただし、Node.js を使うことが推奨されている。
  • Debian/Ubuntu ではレポジトリに coffeescript がある。ただし、必ずしも最新版ではない。
  • <script type="text/coffeescript"> を使い、HTML の中に埋め込む方法。実運用環境では非推奨。

下記の方法で、coffee/*.coffee が js/*.js にコンパイルされる。

coffee --compile --output js/ coffee/

統合開発環境

  • IntelliJ IDEA - リファクタリングを含めサポートしている
  • Visual Studio - 2012より標準でサポート。無償版のVisual Studio Express 2012 for Webでもサポートされる。有償のPro以上では拡張機能のWeb Essensials 2012を導入することでリアルタイムにJavaScriptへのコンパイル結果を表示しながら編集を行うことが可能。

脚注

参考文献

外部リンク

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