BUB3
ウィキペディアから
BUB3(budding uninhibited by benzimidazoles 3)は、ヒトではBUB3遺伝子にコードされるタンパク質である[5][6]。
BUB3は紡錘体チェックポイント(SAC)の調節に関与するタンパク質であり、酵母では必須ではないが、高等真核生物では必須である。チェックポイントタンパク質の1つとして、BUB3は前中期の間に他のタンパク質のキネトコアへの局在を指揮し、後期の不可逆的開始を防いでいる。BUB3はキネトコア-微小管間の相互作用を指揮することで、後期が開始される前に染色体が適切な二方向型(biorientation)の接着を行うよう保証している。BUB3とその関連タンパク質は紡錘体チェックポイントを構成して後期促進複合体(APC/C)の作用を阻害し、時期尚早な後期の開始と有糸分裂の終結を防いでおり、染色体分離の正確性を高める機構として機能している[7]。
機能
BUB3は、有糸分裂期の紡錘体の組み立てに関与する複合体の重要な構成要素であり、他の重要なタンパク質と複合体を形成する[8]。染色体が適切に分離されるためには、各染色体のキネトコアが適切な形で紡錘体に接着していることが必要である。この過程は紡錘体チェックポイント複合体によって制御されており、この複合体はフィードバック応答として作動する[8]。接着の欠陥を示すシグナルが存在する場合には有糸分裂は停止し、全ての染色体が紡錘体に対してアンフィテリックな(二方向性の)結合を行うよう保証している。欠陥が解消されると、細胞は後期の過程へと進行する。細胞周期の停止を調節するタンパク質複合体には、BUB1、BUB2、BUB3、Mad1、Mad2、Mad3(BubR1)、MPS1などが含まれる[8]。
紡錘体チェックポイントにおける役割
未接着状態のキネトコアでは、BubR1、Bub3、Cdc20からなる複合体がMad2-Cdc20複合体と相互作用してAPCを阻害し、それによって活性型APCCdc20の形成は阻害されている[9][10]。Bub3はBubR1と恒常的に結合しており、阻害複合体の形成という点でSACの重要な構成要素として機能している[11]。また、後期への移行前にはセキュリンとサイクリンBも未接着のキネトコアによって安定化されている[12]。このサイクリンとセキュリンの安定化によって分解が防がれることで、姉妹染色分体の迅速かつ不可逆的な分離が防がれている。こうした阻害複合体の形成や各段階は、セパラーゼ活性化前の「待て」というシグナルとなる。後期への移行前の段階では、セキュリンはセパラーゼ活性を阻害し、コヒーシン複合体を維持している[7]。
キネトコアの接着が完了すると、紡錘体チェックポイント関連複合体(BubR1-Bub3複合体を含む)の濃度は低下する[13][14]。
構造
Bub3の結晶構造からはWD40リピートを持つ7枚のブレードからなるβプロペラ構造が示されており、4本の逆平行βシートからなる各ブレードが先細った形状のチャネルの周囲に配置された形状となっている。SACの形成のための相互作用に重要な表面が変異解析から示唆されており、特にブレード1、3の保存されたトリプトファン残基、ブレード5の保存されたWAVEは配列の重要性が示唆されている。
WD40タンパク質がファミリーの他のメンバーであるRae1(mRNA核外搬出因子)は、Bub3と高度な配列保存性を示す。どちらもGLEBS(Gle2p binding sequence)モチーフに結合し、Bub1に対するBub3とRae1の相互作用の類似性が示唆されるが、Bub3はMad3とBub1に対して特異的に結合するのに対し、Rae1はより曖昧性が高く、核膜孔複合体とBub1の双方に結合する[15]。
相互作用
BUB3はBUB1B[5][16][17]、HDAC1[18]、HDAC2[18]と相互作用することが示されている。
Bub3はMad1-Bub1、そしてCdc20(この相互作用はキネトコアを必要としない)と複合体を形成することが示されている。さらに、Mad2、Mad3と結合することも示されており[11][19]、Mad3のMad2への結合に影響を与える調節因子としても作用する[11]。
Bub3はBub1のキネトコアへの局在を指揮し、SACを活性化する[5]。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeと後生動物の双方で、Bub3はBubR1とBub1に結合することが示されている[7]。
出典
関連文献
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.