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4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック(4ほんのホルンとかんげんがくのためのコンツェルトシュテュック)ヘ長調作品86は、ロベルト・シューマンが1849年に作曲した楽曲であり、通常、協奏曲に分類される。「コンツェルトシュテュック」(独: Konzertstück)については「コンチェルトシュトゥック」の表記のほか、「小協奏曲」「協奏的小品」などという日本語訳が用いられることもある。
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音楽・音声 | |
Concertpiece for Four Horns and Orchestra in F Major, Op. 86 - ゲルト・ザイフェルト、Norbert Hauptmann、Christoph Kohler、Manfred KlierのHrn独奏4名、クラウス・テンシュテット指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、Warner Classics提供のYouTubeアートトラック。 | |
(ピリオド楽器演奏)Schumann: Konzertstück Op. 86 In F For 4 Horns And Orchestra - Roger Montgomery、Gavin Edwards、Susan Dent、Robert MaskellのHrn独奏4名、ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック、Universal Music Group提供のYouTubeアートトラック。 | |
映像 | |
Schumann: Konzertstück für 4 Hörner und Orchester - Marc Gruber、Kristian Katzenberger、Maciej Baranowski、Charles PetitのHrn独奏4名、アラン・アルティノグリュ指揮hr交響楽団、hr交響楽団公式YouTube。 |
ドレスデン在住時代の1849年に作曲された。この年は他にも、歌劇『ゲノヴェーヴァ』を始め、多数の楽曲が作曲され、作曲の油が乗っていた年といえる。作曲の背景として、バッハの「4台のハープシコードとオーケストラのための協奏曲」(ヴィヴァルディ原曲)を指摘する研究者もいる(作曲の2年前、シューマンはこの曲の研究を行っており、バロック音楽のコンチェルトグロッソ形式を応用した試みがこの作品であるとの指摘である)。
初演は1850年2月25日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスにて行われた[1]。その際のソリストとして、Pohle・Jehnichen・Leichsenring・Wilkeの4名の記録が残っている。
この作品は4本のホルンを独奏群にしているが、特定のホルン奏者や演奏機会を想定して作曲されたという記録は残っていない。またホルンをピアノに置き換えたピアノ協奏曲版も存在する。「ピアノ協奏曲版の方が先に作曲された」とする説もあるが、これは疑わしい(後述)。
独奏ホルン4、ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦五部
シューマンの管弦楽曲は、スコアのオーケストレーションを一部細工して演奏することがしばしばある。この曲においては、以下の2点について、少なくない指揮者がスコアを変更している。
冒頭のファンファーレを除き、いずれの楽章も、まず管弦楽で旋律が一節奏でられた後、独奏群が旋律を奏で始めるが、同一の旋律の模倣となっておらず、微妙に違った旋律となっている。そのため、この曲のアナリーゼ(どれが楽章の主題であるか)には、解説書によって若干異なる部分がある。
ヘ長調。一旦終止し、そのまま次の楽章に続く。
ニ短調。楽章最後は、緩徐楽章の旋律が続く中、トランペットが割り入るように次の楽章の主題を予告し、次第に曲想を変えながら、そのまま次の楽章に繋がる。
ヘ長調。シューマン自身の交響曲第4番最終楽章を彷彿とさせる、リズミックな楽章。
シューマン自身は、この作品を「非常に奇妙な作品」と述べた、と伝えられる[2]。
後世の音楽家・指揮者によってオーケストレーションが変更される[3]事が多いシューマンだが、この曲については後期(交響曲で言えば交響曲第2番と交響曲第3番の間)に書かれており、管弦楽の扱いも手慣れている。
ホルンの扱いという点では、吹奏可能な音域の限界まで用いており、難曲の一つと言われることが多い。[4]
この曲の独奏ホルンは、半音階が自由に出せるヴァルヴホルンを前提に作曲されたとみなされている。ただしその一方で、初演時に1番ホルン奏者がインベンションホルン(ヴァルヴのないナチュラルホルン)を用いたとの記録もあると言われている[5]。
もっとも、ホルン奏者の立場から、再三にわたって独奏ホルンに超高音域を要求しているこの曲を、ホルンの使い方として必ずしも優れていない例として言及する人もいる。例えばガンサー・シュラーの著書(後述)の中では「貧弱」「画期的な効果とはまったくほど遠い」という言葉で、この作品を例に出している。
ただ、クラシック音楽の世界における管楽器と管弦楽のための協奏曲のレパートリーの中で、ロマン派時代の著名な大作曲家が残した楽曲は極めて少ない。その意味でもこの作品は貴重である。
ロマン派の大家が作曲した管楽器の協奏曲という側面があるためか、難曲と評される割には、コンスタントに演目に取り上げられている。演奏効果があること、曲調が明るいこと、そのほかオーケストラのホルン・セクションでそのまま独奏群が組めること、などが背景にあると思われる。独奏群としては、前記のようにオーケストラのホルン・セクションでそのまま結成することが多いが、客演奏者を含める、あるいは全員客演奏者で結成する場合もある。
シューマンの管弦楽曲は吹奏楽編曲で演奏される機会がほとんどないが、この「コンツェルトシュテュック」は例外的に、吹奏楽編曲で演奏される機会がある。例えば東京佼成ウインドオーケストラでは、1986年と1996年に近藤久敦の編曲により定期演奏会でこの曲を演奏している。
古くから多数の演奏家が録音している。曲名に「4本の」ホルンとあるが、5人以上のホルン奏者で分担した録音も存在する。
音楽・音声外部リンク | |
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第1楽章・第2楽章・第3楽章 アントン・クエルティ(ピアノ)、マリオ・ベルナルディ指揮CBC放送管弦楽団による演奏。ナクソス・オブ・アメリカ提供のYouTubeアートトラック。 |
独奏楽器をホルン4本からピアノに置き換えたピアノ協奏曲版の譜面がシューマン自身によって作られており、シューマンの生前に出版もされている[6]。ピアノ協奏曲版の録音としては以下のものがある。
上記のうちベネデット・ルーポ独奏のCDの解説書には、通常用いられるホルン4本の版よりもピアノ協奏曲版の方が先に作られたという説が述べられている。ただしこの主張についての詳細な解説や出典はない。「本来ピアノ協奏曲として書かれた」という説は一般にも時折語られるが、ほとんどこのCDから派生した情報であり、それ以外の情報源は現在のところ公になっていない。シューマンはこのほか、自身のチェロ協奏曲へヴァイオリンでも演奏可能な版[7]を作成しており、改作を躊躇しなかった。
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