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『39 刑法第三十九条』(さんじゅうきゅう けいほうだいさんじゅうきゅうじょう)は、1999年に製作された日本映画。主演は鈴木京香と堤真一の二人である[1]。
日本の刑法は39条において、心神喪失者を責任無能力として処罰せず、また、心神耗弱者を限定責任能力としてその刑を減軽することを定めている(詳細は責任能力を参照のこと)。
特に心神喪失と認定されると不起訴になるか、起訴されても無罪となるということに関しては、社会的に抵抗感を抱く向きもあり、本作もこの点に対し問題提起している。
「銀残し」による陰鬱な色彩や不安感を煽る構図、ベテラン俳優陣の抑制の効いたリアルな演技など、個性の強い演出が際立つ。
なお、本作品を最後に、松竹系の邦画上映館であった丸の内松竹(有楽町マリオン新館5階)は館名を丸の内プラゼールと改称した。
夫と妊娠中の妻が刃物で惨殺されるという猟奇的な殺人事件が発生した。警察は現場に落ちていた舞台のチケットから犯人を劇団員の柴田真樹(演:堤真一)と断定、劇場で一人芝居を公演中であった柴田を逮捕した。
柴田の国選弁護人に任命された弁護士の長村時雨(演:樹木希林)は、おとなしかった柴田の表情が、突然人が変わったように凶悪に変貌するのを目撃する。法廷でも突然意味不明の言葉を発する柴田に、長村は精神鑑定を請求した。
精神鑑定人に選任されたのは精神科教授の藤代実行(演:杉浦直樹)。藤代は教え子の小川香深(演:鈴木京香)に助手を依頼する。藤代は精神鑑定の結果、柴田は解離性同一性障害(多重人格)で、犯行時は解離状態であったと鑑定する。心神喪失者の行為は「刑法第39条」によって罰せられない定めだ。しかし、香深は藤代とは別の仮説を立てて関係者たちを調べ始めた。
被害者の畑田修には過去に婦女暴行と殺人の経歴があった。15歳の頃に小学一年生の少女を惨殺したが、心神喪失を認められて罪を免れ、社会復帰していたのだ。被害者の兄である工藤啓輔を探し当てる香深。だが啓輔は、今回の事件に興味がないと言い張った。
工藤啓輔として生活している男は偽物だと見抜く香深。被告の柴田真樹こそ工藤啓輔に違いない。他人の戸籍を手に入れる為に、啓輔は巧妙に長い時間をかけ、多重人格に関する精神医学書を読み漁ったのだ。
公判での公開の精神鑑定を申請する香深。日本初の多重人格を扱う裁判として、被告の柴田(工藤啓輔)の鑑定が始まった。啓輔には正常な判断力があり、そもそも妊婦を虐殺する人間ではないことを証明する香深。啓輔が敢えて逮捕された目的は、刑法第39条で罪を免れることではなく、第39条の不条理を告発する為だったのだ。
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