2S19ムスタ-S 152mm自走榴弾砲
ソ連・ロシアの自走榴弾砲 ウィキペディアから
2S19 ムスタ-S(ロシア語:2С19 Мста-С ドヴァー・エーズ・ヂヴィナーッツァチ・ムスター・エース)は、ロシアの自走榴弾砲である。
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概要
2S19は、従来の2S1・2S3および2S5を置き換えるために、ウラル運輸車両工場で開発され、1989年から配備が開始された。
基本的にはT-80の車体を流用し、そこに新たに設計された砲塔を搭載したものとなっている。T-80で信頼性などの点で不評だったガスタービンエンジンは、T-72B型以降およびT-90でも採用されているものと同じ型のディーゼルエンジンに変更されている。
砲塔に必要なシステムをすべて搭載しており、その点では同じ主力戦車の車体を流用したフランスのGCT自走榴弾砲と類似している。砲塔の後部には21.6hpのガスタービン補助エンジンが搭載されており、主エンジンを停止していても射撃が可能である。
搭載砲は2A65 ムスタ-B榴弾砲を改良した2A64榴弾砲(48口径152mm)で、第二次世界大戦後開発され実用化されたすべての152mm砲弾を使用する事ができ、さらにレーザー誘導砲弾ZOF-39 クラスノポールが使用できる。ZOF-39は前線観測班が照射するYAGレーザーによって誘導される砲弾である。最大射程は、通常弾の場合24.7km、RAP(ロケットアシスト弾)では36km、ZOF-39の場合は20kmである。
砲塔内には50発分の砲弾および装薬が搭載されており、装填は自動で行われる。車体外部から給弾し発射することも可能で、砲塔の後部にあるベルトコンベアに要員が砲弾と装薬を載せ、それが半自動で装填される。
発射速度は車内の物を使用した場合毎分7-8発、外部給弾の場合は毎分6-7発になる。
2S1・2S3・2S5の3車種を統合できる車両として開発されたが、財政難のため更新は進んでいないと言われている。輸出も積極的に提案されており、改良型や西側諸国で主要な155mm榴弾砲を搭載したタイプ、装輪型もあるが、開発が進んでおらず、採用した国も無い。
派生型
- 2S19M1
- 2000年に発表された改良型。衛星測位システムであるGLONASSを利用した精密射撃が可能。
- 2S19M2
- 2013年に発表された改良型。新射撃管制システムにより装填速度を向上。電子地図情報により、地理的に困難な状況での即応性を上げ、効率的に任務を遂行可能となった。
- 2S21 ムスタ-K
- KrAZ-Sibir 8x8 トラックに砲塔を搭載した装輪型。
- 2S30 イセット
- 改良型。試作車のみ。
- 2S33 ムスタ-SM
- 改良型。詳細は不明。

- 2S35 コアリツィヤ-SV
→詳細は「2S35 コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲」を参照
- 「SV」は「Sukhoputniye Vojska」の略。2S19の砲塔に試作型は152mm榴弾砲を縦に2門装備した連装自走砲であった。2010年に調達計画が一時中止されたが、設計を変更して再開、2015年に量産先行車が完成している。この量産先行型では、主砲は2門から1門に減らされている。シャーシにはアルマータと共通のものが使用されていると伝えられていたが、2015年の戦勝パレードで披露された車両はT-90系と同型と見られる走行装置を持ち、転輪配置は2S19と類似していた。
- 1K17
→詳細は「1K17」を参照
- 2S19の車体を流用した自走レーザー兵器システム。
採用国
登場作品
ゲーム
- 『エースコンバット7』
- エルジア陸軍が運用している。
脚注
参考文献
関連項目
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