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『食人族』(しょくじんぞく、原題:Cannibal Holocaust)は、食人や強姦を題材にした、ルッジェロ・デオダート監督によるセクスプロイテーション、ホラー映画である。日本では1983年1月に公開され、インパクトの強いCMの影響もあり、大ヒットを記録した。
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本作は、焼却を命じられたフィルムが流出されたという設定で、ドキュメンタリー映画調に構成されたフィクション(フェイク・ドキュメンタリー=モキュメンタリー)である。しかし、配給側は意図的にスナッフフィルムのように宣伝したため、実際に起こった事件だと誤解する観客が続出した[3]。
「本物の映像記録」という宣伝方法は、後に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)で再び注目された。
ドキュメンタリー制作のためにアマゾン川上流の“グリーン・インフェルノ”と呼ばれる密林地帯に向かった、フェイ・ダニエルズ、アラン・イエーツ、ジャック・アンダース、マーク・トマソの4人の探検隊が消息を絶った。捜査に向かったニューヨーク大学のハロルド・モンロー教授は、原住民の襲撃や残虐な儀式などを目の当たりにしながら、ヤマモモ族に接触、4人の白骨死体の周囲に遺されたフィルムを入手する。
そのフィルムには、密林の奥でヤマモモ族と出逢ってからの4人の行動が克明に記録されていた。彼らはカメラの前でセックスするなどの異常性をのぞかせながら、原住民の少女をレイプし、部族間の抗争を演出するために、放火した家に原住民たちを閉じ込めて焼き殺すなど、さまざまな蛮行を繰り返し、ついにヤマモモ族を怒らせたのだ。フィルムには次々と襲い掛かる原住民によって4人が狩り出され、強姦され、殺害された末に食われる様が最後まで収められていた。
試写を終えた教授は激怒し、フィルムを焼却しろと訴える。……そしてふと呟いた。
「真の野蛮人はどっちなんだろうな」。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
---|---|---|---|
DVD版 | UHD BD版 | ||
モンロー教授 | ロバート・カーマン | 野村達也 | 江原正士 |
フェイ | フランチェスカ・チアルディ | 塩谷綾子 | 東條加那子 |
アラン | ガブリエル・ヨーク | 里卓哉 | 高木渉 |
ジャック | ペリー・ピルカネン | 加藤優季 | 岩河拓吾 |
マーク | ルカ・ジョルジオ・バルバレスキー | 斎藤亮太 | 平林剛 |
チャコ | サルヴァトーレ・ベイジル | 児玉安男 | 浦山迅 |
ミゲル | リカルド・フエンテス | 阿部晋一 | 高野憲太朗 |
フェリペ | ギレルモ | 烏田裕志 | |
TVレポーター | エンリコ・パパ | 金親義彦 | |
女性プロデューサー | ケイト・ワイマン | 吉崎藍 | 野々山恵梨 |
編集スタッフ・ビル | 三好翼 | ||
アランの妻 | 小松茜 | ||
演出 | 岡崎喜之 | 吉田啓介 | |
翻訳 | 川岸史 | ||
制作 | テレトップスタジオ | グロービジョン | |
本作の「野蛮を撮影する文明人こそ野蛮」というモチーフは、ドキュメンタリーを装ってさまざまなヤラセを行ってきた、グァルティエロ・ヤコペッティの『世界残酷物語』などに代表されるモンド映画に対するセルフパロディともいえる。それを意識してか、音楽に関しても『世界残酷物語』の「モア」など、モンド映画に数々を提供してきたリズ・オルトラーニを起用している。 ポスターのイメージとなった串刺し女性は、映画のスタッフである。彼女は杭の先端を口にくわえ、地面に突き刺したサドル付きの杭の上に腰掛けて、撮影に臨んだという。
ちなみに劇中で、やらせという設定で銃殺刑の映像が流れるが、これは実際の銃殺刑の映像である。また、映画内で行われる動物虐待は全て本物であり、実際に動物を殺しているため内臓類は全て本物である。監督は「殺した動物は食べたから問題ない」という意見を述べている。
本作は1983年1月に日本で正月映画第2弾として公開。「あなた、食べる? 食べられる?」という不気味なナレーションと共に、ショッキングな映像を小出しにして「テレビではこれ以上お見せできません」「超・残酷ドキュメント」と銘打ったインパクトのあるテレビCM、その内容からスナッフフィルムのように見せかけた宣伝方法などで注目を浴び、動物虐待、人肉食、強姦シーンが盛り込まれた映画でありながら10億円近い配給収入を上げる[要出典]大ヒットを記録した[4]。
なお、ヘア解禁と謳ったDVD版は廃盤になり、一時は入手は困難であったが、2008年新編集を含む再発版がリリースされている(ヘア以外は修正されている)。
強姦や女性器への拷問など猟奇的な性描写が含まれているが、ポルノの代替として観客の性的興奮を煽り興行収入を得ようとする本作のような手法はセクスプロイテーション映画と呼ばれている。
怪談史研究家の小池壮彦は、「この映画の何がすばらしいといって、リズ・オルトラーニの音楽がいい。最初からフィクションとして作られた映画だが、いちおうヤコペッティの血筋を引く作風ということもあり、残酷なシーンにあえて美しいメロディーを絡ませている。これは『世界残酷物語』が「モア」という名曲を生んで以来の残酷ドキュメンタリーの伝統である」、「劇中で紹介される『地獄へ続く道』の映像は、実はヤラセではなく、すべて実際のニュースフィルムである。『食人族』という映画自体がヤラセと事実を混乱させるねらいで作られているのだ」と肯定的な評価を下している[5]。
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