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陸戦(りくせん Land warfare)とは、陸上での戦闘。陸上戦のことである[1]。武力紛争は、それが展開される地域の区分に従って、陸上は陸戦、海上は海戦、空中は空戦とされ、国際法はおおむねこの区分に従って規定されている[2]。
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古くは欧米において戦争といえば、陸戦のことであった。政府内に戦争大臣(戦争長官、陸戦大臣)が置かれたが、海軍の仕事は戦争とは別で、政治的に補助的・副次的にすぎないとして序列区別がついており、海軍大臣は格下の閣僚に過ぎなかった。そのため、1832年に発表されたプロイセン王国軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツの『戦争論』(『ON WAR』)のタイトルは、陸上の戦争における全般についてという意味合いを持つ。
海軍力や海洋支配も強国の存立を左右する死活問題とされたのは、19世紀後半、アルフレッド・セイヤー・マハン、J・S・コルベット、ハルフォード・マッキンダーらによって海洋戦略を陸戦と同格に研究しなければならないという主張が起こり、列強がそれを受容してからである[3]。
クラウゼヴィッツは、「敵戦闘力の撃滅」と「自己戦闘力の保持」に戦闘の形態を大別している。毛沢東も同様に分類した。これら2つの側面のどちらを重視するかで、作戦の形態は2種類に分類できる。
その他に以下のような分類もある。
陸戦では地形の戦力化が行われることがある。海軍力・空軍力と比較して、陸軍力は地形の影響を多大に受ける。陸地には高低起伏・地表面土質・水系・植生・人工物など多様な性格があり、しかも気候・時間によって逐次変化していく。これらは陸上作戦において有利にも不利にもなり、地形は部隊の位置的な優位・視界・射界・偽装・隠蔽・掩蔽などに影響する。したがって地形を戦力に取り込むことができ、特に築城はこの効果を高める。
陸戦では、作戦地域が拡大するほど作戦線が伸長して戦力の密度が下がり、兵站の負担は増し、指揮統率はより困難になる。特に敵地へ侵攻する場合にこの性質が顕著となる。作戦線の伸長に伴う戦力逓減と逆の場合の戦力逓増の原則はカール・フォン・クラウゼヴィッツが「頂点の思想」で述べており、また「山は兵を飲む」と古来より戦訓として伝えられている。
陸上作戦は後方支援に基づいて展開し、かつ後方支援は道路・鉄道・水路・都市などに基づいて行うため、作戦は固定的な性質を持つ。また後方支援は厳密な計画に沿って業務を進めるため、簡単には変更できない。
海軍力・空軍力に比較して、陸軍力は指揮統制に限界がある。作戦地域の各地で同時多発的に戦闘が起こり、同時進行で事態が進み、また現場指揮官は自己の判断に基づいて行動するためである。大規模な陸戦になればなるほどこの性質は高まり、全体の戦闘をすべて一元的に完全掌握するのは不可能である。
陸軍力の最小単位は一人の人間であり、一人ひとりの判断の蓄積で戦闘行動は進行する。これらすべては把握できないので、個々の現場指揮官とその指揮下にある兵士たちの高度な士気、強固な意思、各員のチームワークと各級指揮官のリーダーシップが重要となる。
ハーグ陸戦条約のような国際条約によって、事前に各国で陸戦における禁止事項を同意しておき、紛争の当事者全てが望まない事態の予防を図る方法もある。
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