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麻糸を平織りしてできる麻布 ウィキペディアから
上布(じょうふ)は、細い麻糸(大麻と苧麻)を平織りしてできる上等な麻布[1] 。過去に幕府などへ献上、上納された[1]。縞や絣模様が多く、夏用和服に使われる。
近江上布の製作工程[13]
最も衣料に適する柔らかさとなるのは大麻の晒であり、苧麻の晒は、麻の晒ほど柔らかくはならない[8]。透かしの美しさを使った布もいつの時代にもあり、古くは平安時代の、虫の垂衣(むしのたれぎぬ)は平安時代の上流階級の夫人が用いた笠に使われた、苧麻製の薄い布で[8]、顔を隠したとも言われる。
中世から近世での三大麻布は奈良晒、越後縮、高宮布であり、江戸時代にも改良が重ねられた[2]。江戸時代末にはコピー品も出回った[2]。
越後縮以外はどのような糸であるか特徴が分からなかったが、奈良晒には布に押した朱印の慣行があり、その詳細についての江戸時代の資料があったため解明が進み、2000年には博物館にて展示会が開催された[8]。高宮布(近江)や八講布(越中布)では江戸時代の文献にてよく言及があるがなかなか解明が進まなかった[2]。江戸時代の近江上布については資料もなく、印もなく、僅かに生産組織についての文献があり、『万金産業袋』には奈良より勝るとか、近江晒の「しろ高宮」と記載されている程度だった[8]。1986年に滋賀県の能登川博物館に寄贈された『切本帖』(1819年)が、近世麻布研究所の吉田真一郎によって高宮布の布見本帳だと判明し、麻と苧麻を使い分けていた実態が解明され、2007年には同博物館で「謎の近江上布に迫る」という展覧会が開催された[20]。これは柄の白糸を際立たせるために、大麻では限度があるため苧麻を真っ白な糸にしたもので、使われている大麻の糸は未晒しから五分晒しであった[8]。大麻の特徴を生かし作られていた、近江特有の渋い色調の高宮縞や、大麻で作られた「しろ高宮」が判明した[8]。
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