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不妊治療の一種で、通常は体内で行われる受精を体外で行う方法 ウィキペディアから
ヒトの生殖医療における体外受精(たいがいじゅせい、英: in vitro fertilization, IVF)は、不妊治療の一つで、通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法。体外受精と顕微授精の総称を生殖補助医療技術(Assisted Reproductive Technology=ART)と呼ぶ。
In vitro fertilisation | |
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治療法 | |
シノニム | IVF |
ICD-10-PCS | 8E0ZXY1 |
MeSH | D005307 |
受精して分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET、ET=embryo transfer)という。 胚盤胞まで成長させてから子宮内に移植する場合は、IVF-BT(BT=blastocyst transfer)という。
一般では体外授精と表記されることもあるが、これは人工授精や顕微授精などと混同したものであり、日本産科婦人科学会の用語集では「体外受精」の表記を用いている。 日本語では「受精」と「授精」が、表記・音ともに似ているため混同されやすいが、英語では元々、受精はFertilization、授精はInseminationの訳であり、全く別のものである。
排卵誘発剤や外科的手法などによって所得した卵子を、体外で精子と接触させて人為的に受精を行ったのち、培養した胚(受精卵)を子宮内などに戻して妊娠を図る。
通常、卵管閉塞などの器質的原因や、タイミング法や人工授精を試みたが妊娠に至らなかった場合に用いられる。通常は精子を自然受精させるが、乏精子症など精子側の受精障害がある場合には顕微授精(多くの場合、卵細胞質内精子注入法:ICSI(intracytoplasmic sperm injection))を行う[1]。卵子を包む透明帯に問題が有り孵化しにくい時は、アシステッドハッチングと呼ばれる技術で着床の手助けをする事もある。
自然での人間の周期あたり妊娠率は平均15%前後[要出典]だが、IVF-ETの場合25%程[2][3]となる。
体外受精は現代では広く行われる不妊治療の一つである。あくまでも女性の卵子を使用するため、卵子そのものの老化の影響は確実に受ける。体外受精を用いたとしても、45歳を超える女性の場合、妊娠できる可能性は0.5%ほどである。しかしその実態を知らず、体外受精をすれば50歳まで妊娠は可能と考える女性もいる[4]。
イギリスの生理学者ロバート・G・エドワーズが1978年に最初に成功し、女児(ルイーズ・ブラウン)が生まれた。エドワーズはこの業績により2010年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した[5]。日本では1983年に東北大学の鈴木雅洲らが成功した[6]。
ルイーズの誕生以来およそ40年間で、世界全体としては700万人以上が体外受精で生まれた。そのうち日本人は約48万人(2015年末時点までの日本産科婦人科学会による集計)である。体外受精で生まれた人々の健康状態や生殖能力などの長期追跡調査も行われており、大きな問題は報告されていない[7]。
開始初期の費用は、HMGと呼ばれる注射の排卵誘発剤を用い約30万 - 60万円と高額であった。近年、クエン酸クロミフェン内服錠を用いた誘発法を用い、10万円前後で治療を行う施設も出てきている。
「in vitro(イン・ビトロ)」はラテン語で「ガラスの中で」を意味する。初期の生物学実験において、組織や細胞を生体内(in vivo)ではなく、ガラスの容器、例えばビーカーや試験管、ペトリ皿(シャーレ)の中で培養・実験することを言った。今日では、科学用語の「in vitro」はあらゆる生物学手法で用い、生体内ではなく生体外で行うことのうち、通常であれば生体内で起きること、を指す。
俗語では、体外受精により生まれた赤ちゃんのことを「試験管ベビー(test tube babies)」と呼ぶことがある。化学や生物の実験室で汎用される試験管状のガラスやプラスチック樹脂の容器内で受精させるイメージから、そう呼ばれてきた。しかし実際には、体外受精はもっと浅い容器であるペトリ皿を用いている。自己子宮内膜共培養という方法では、生体成分の上で培養されるが、依然、体外受精の一つの方法として考えられている。
子宮に戻されなかった余剰受精卵は通常、妊娠が成功しなかった場合や次の妊娠に備えて、凍結保存剤を加えて冷凍し、液体窒素タンク中で保存される。これは、排卵誘発および卵子採取に関わる女性への負担を低減する利点もある。冷凍保存を維持するのにかかる費用(定期的な液体窒素の補充や機器の維持管理等)もすべて、不妊治療を受ける夫婦の自費負担となる。体外受精法による不妊治療は、そのほとんどが健康保険が適用されない。
多数の受精卵を子宮内に戻せば当然妊娠率が上がるため、不妊治療クリニックの中には一度の体外受精で多数の受精卵を子宮に戻すこともあり、3胎以上の超多胎妊娠の例も増えていた。2008年(平成20年)には「体外受精で一度に子宮へ戻す受精卵は原則1個」という日本産科婦人科学会によるガイドラインができている[8]。
英国NHSにおけるIVF受給適用は、それぞれの地域の臨床コミッショングループ(CGC)によって決定される。英国国立医療技術評価機構(NICE)は、最低2年間は通常のセックスを試した40歳以下の女性について、3サイクルまでのIVFを適用としている。40歳を超えた女性についてはトライアルは継続されない[9]。エセックス、ベッドフォードシャー、サマセットのCCGは、IVF予算を1サイクルへと削減するか、または廃止した。今後削減するCGCはさらに増加すると予想される。 例外的なケースでは受給可能となることもあり、たとえば男性パートナーに伝染性疾患がある場合や、パートナーががん治療の影響を受けている場合など。運動組織Fertility Fairnessによれば、2014年にはイングランドの全てのCGCにおいて、最低1回のIVFを受給可能としていた[10]。 NHSの負担額は、イングランドでは2014年5月においては3000-6000イギリスポンドの範囲であった[11]。
オーストラリアでは、ART治療を受ける女性の平均年齢は、自分の卵子を使用する人では35.5歳(4人に1人が40歳以上)、提供された卵子を使用する人では40.5歳である。オーストラリアでは体外受精が可能であるが、体外受精を行うオーストラリア人は赤ちゃんの性別を選ぶことはできない。
1998年、カメルーン初の体外受精児をErnestine Gwet Bellが監修した。
2022年8月、中国の国家衛生局は、生殖補助医療技術を国の医療制度に含めるよう地方政府に指導し、生殖補助医療技術をより利用しやすくするための措置を講じると発表した。
クロアチアでは卵子や精子の提供は行われていないが、ARTやIUIにおいて提供された精子や卵子を使用することは認められている。提供された卵子、精子、胚を使えば、異性カップルや独身女性は体外受精を合法的に受けることができる。男性または女性のカップルは、生殖の一形態としてARTを利用することはできない。クロアチアでは、男性も女性もARTを利用できる最低年齢は18歳で、最高年齢はありません。ドナーの匿名性が適用されるが、生まれた子どもは一定の年齢に達すると、ドナーの身元を知ることができる。
インドの体外受精市場の普及率は非常に低く、生殖年齢層(20〜44歳)の不妊人口100万人あたりわずか2,800サイクルで、6,500サイクルを持っている中国と比較して低い水準になっている。主な課題は、認知度の低さ、手頃な価格、アクセスのしやすさである。しかし、2018年以降、インドは欧米諸国よりも費用が安いため、不妊治療の観光地となっている。2021年12月、ローク・サバーは、体外受精センター、精子バンク、卵子バンクを含むARTサービスを規制するための を可決した。
米国における2005年の体外受精の実施率は、人口10万人当たり2.5人、実施件数は10万人当たり236件であった。年間100万人当たり126件の手術が行われている。利用率は、体外受精保険が利用可能かどうか、また保険が適用されるかどうかによって大きく増加し、独身者の割合や所得の中央値によっても大きく増加する。米国では、採卵から胚移植までの平均的な1サイクルの費用は12,400ドルで、治療を部分的にでもカバーする保険会社は通常、支払うサイクル数に上限を設けている。2015年の時点で、100万人以上の赤ちゃんが体外受精の技術を利用して誕生している, 例 gonal-f と 体外受精 (生物)。
イスラエルは世界で最も体外受精の実施率が高く、100万人あたり年間1,657件の体外受精が行われている。子供のいない夫婦は、2人までの体外受精のための資金援助を受けることができる。また、ひとり親の家庭で2人までの子どもを育てる子どものいない人にも、同様の資金が提供される。体外受精は18歳から45歳まで受けることができる。イスラエル保健省によると、1回の処置にかかる費用はおよそ3450ドルである。
スウェーデンでは、40歳未満で子供がいない人を対象に、1回、2回、3回の体外受精が政府から助成されています。助成対象となる治療回数や年齢の上限は、ランスティングによって異なる。独身者でも治療が受けられ、胚の養子縁組も認められている。また、有料で治療を行っている個人クリニックもあります。
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