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船舶が目的地に到達するための最も合理的な進行方向・速度を決定する為の技術 ウィキペディアから
航海術(こうかいじゅつ)とは、船舶の自位置および方角を算出あるいは推定し、目的地に到達するための最も合理的な進行方向・速度を決定する為の技術の総称である。
方位磁針や六分儀、クロノメーター、海図などを用いる方法(天測航法)、陸地の特徴的な地形を目印にする(地文航法、山アテ)方法、天体の位置や動き、風向、海流や波浪、生物相などから総合的に判断する方法(スター・ナヴィゲーション)などがある。
近年ではGPS(グローバル・ポジショニング・システム)や衛星通信を利用する電波航法が主流である。かつては漁場のピンポイントに船をつけるには、民生用のGPSでは精度が不足していたため、山アテを併用する漁師も多い。また、ポリネシアやミクロネシアでは、民族のアイデンティティのよりどころの一つとして、伝統的な推測航法術を再評価する気運が高まっている。
自船の船位を把握していることは近代の航海術の基本のひとつである。
海図上で確認できる複数の目標物(例:灯台)を同時に視認できる場合に、肉眼・方位磁針(コンパス)・海図を用いて船位を求める方法。「方位線」や「重視線」を用いる。
「方位線」とは肉眼とコンパスを用い、以下の手順によって海図上に引く線。 1.まわりの景色の中に確認でき、かつ海図上でも確認できる目標物を選ぶ。 2.目標物の方位をコンパスで測定する。 3.海図上で目標物から測定した方位の線を引く。自船はこの線上のどこかにいる、ということが判る。
「重視線」は「トランシット」とも呼ばれ、コンパス無しでも海図上に引ける線。まわりの風景の中に二つの目標物が同一線上に(一直線に)見えている時に、海図上でそれらを特定し、二つを結ぶ線を引く。自船はこの線の延長上のどこかにいる、ということが判る。
以上の「方位線」や「重視線」などの線を2本以上海図上で引くと、線の交点ができる。その交点が船位である。
航海に使用する測定器や計器類、航法装置は航海計器と呼ばれる。
船舶が備える航海用レーダーには、Sバンド(3GHz/波長10cm)とXバンド(9GHz/波長3cm)の2種類のパルス・レーダーがある。
Sバンドは比較的探知距離が長いが分解能が低い。このため大型船では分解能は高いが雨天時の減衰や海面による乱反射による影響を受けやすいXバンド・レーダーを併用することで弱点を補う使い方している場合が多い。
2008年現在では、おそらくほぼ全ての船舶がGPS装置を備えるようになっている。 GPS衛星の利用が世界的に一般化した21世紀初頭の現在では、これまで航海に使用されてきたデッカは2001年4月1日、ロランCは2015年2月1日、に日本での運用を停止した。磁気コンパスは、緊急時の六分儀による航海技術と同様に今でも使用されている。GPSの位置情報はDGPSによってさらに高精度になっている。
GPS装置による自船位置の情報はECDISと呼ばれる航法装置によって、さらに有効に利用できるようになっている。
一度設定した方位を保持し続けて針路の決定に利用する装置であるジャイロスコープと、地球の自転とジャイロ効果の作用により方位を自己修正するジャイロコンパスがある。
物理的なコマの回転を利用するジャイロコンパスから、精度が高くコンパクトなレーザーリング型やレーザーミラー型のジャイロスコープへとかわって来ている。しかし、ジャイロスコープには方位を自己修正する能力がなく、また、いずれも停電時に使用できなくなるため、磁気コンパスとの併用が規則によって定められている。機能上、自動操舵装置とのつながりが深いので、自動操舵装置に含まれているものも多い。
ジャイロスコープのみで方位を示す場合、いくら精度が高くても、時間と共に誤差が蓄積してくるため、時々は修正が必要になる。
ともに水に対する速度を測る装置である。流圧式ログはピトー管による圧力によって、電磁式ログでは水の電磁誘導によって速度を測る。GPSの利用が進んだ21世紀初頭現在では、大型船を中心に海流の影響を受け測定誤差も大きなこれらの測定器に代わって、GPS装置が描く自らの航跡に基づいた速度の利用が多くなっている。
航海計器としてのドップラーソナーは、船底から前後に向けて発射した水中超音波の反射波を測定し周波数のずれから、水底までが近ければ対地速度を、遠ければ対水速度を測る装置である。側方に発射・測定すれば港での岸壁までの距離が測れる。
航海計器としての音響測定器は、船底から下に向けて発射した水中超音波の反射波を測定し、船底から水底(海底など)までの距離を測るものである。
自動操舵装置(オートパイロット)はジャイロコンパスや航法支援装置からの情報によって設定した方位から針路がずれると、自動的に舵を操作することで針路を保持する。風や潮流によって横に流されるズレには対応できず、他船舶との回避運動も行なえないので、人間が常に船橋(ブリッジ)から見張り(Look out)をして適切に操船する必要がある[3]。
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